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いまの政権と民主党政権の、官僚制をめぐる「意外な共通点」
改革された制度はうまく動いているか
牧原 出

2018/09/16

政治と行政の崩落は、国民を失意のどん底に陥れている。政治家や官僚の首をすげ替えても、事態は好転しそうもない。それは、制度の動かし方も考えずに制度改革をしてきたつけ≠ナはないのか――気鋭の政治学者・牧原出氏が新刊『崩れる政治を立て直すー21世紀の日本行政改革論』で考えたこととは?

改革の難しさ

「経済一流、政治三流」と言われたのは、日本の経済力が充実していた一九八〇年代のことであった。

首相経験者だった田中角栄が逮捕されたロッキード事件をはじめ、汚職にまみれた政治家への低い評価を補うのは、日本企業の輝かしいパフォーマンスであった。それはまた、ともすれば個別利害に引きずり回される政治を、ぎりぎりのところで合理的な政策に落としこむ官僚への信頼とも結びついていた。

こうした「政治三流」を変えようとした改革が、リクルート事件で首相、閣僚、さらには企業経営者やいくつかの省の幹部が疑惑の対象となったあとに始まる。

選挙制度改革と政治資金改革を柱とする1994年の政治改革によって、腐敗とは無縁で政策形成能力の高い政治家が登場するとの期待が生じた。引き続き起こった官僚不祥事から、官僚の既得権への不満が巻き起こった。いよいよ政治への期待は増していく。

その頂点が民主党政権であったが、そこでの「政治主導」は惨憺たる結果に終わった。

その反省から第2次以降の安倍晋三政権は、官邸を中心に自由民主党(以下自民党と略す)も官僚も押さえつけたように見えた。

だが、防衛省で廃棄したと発表されていた陸上自衛隊の南スーダン・イラク派遣時の日報が省内で保管されていた「日報問題」、首相への「忖度」が文部科学省・財務省内の反発となって表れた森友・加計学園問題など、今度は現場の官僚の反抗とサボタージュにあっているかのようだ。

そして今、再び政と官の新しい仕切り直しが始まろうとしている。それは歴史を振り返れば、「経済一流、政治三流」の時代に自民党長期政権下で形成された関係のさらなる再編である。
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