自民党の衆院議員・杉田水脈氏が月刊誌『新潮45』で、「同性カップルは生産性がない」と差別発言を行った問題を受け、女性のパートナーと交際していることを今年5月に明らかにした経済評論家の勝間和代氏(49)らLGBT当事者が5日、東京都内の日本外国特派員協会で会見を開き、LGBTに関する議論の広がりや法整備の必要性を訴えた。

この問題をめぐっては、今年7月、杉田氏が月刊誌『新潮45』(2018年8月号)に寄せた寄稿で、同性カップルを念頭に「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」と行政支援に疑問を呈し、与野党から批判の声が相次いでいる。

この日の会見に出席したのは、勝間氏のほか、勝間氏のパートナーでLGBT活動家の増原裕子氏(40)、レズビアンを公表している立憲民主党の尾辻かな子衆院議員(43)、ゲイであることを明らかにしている石川大我・豊島区議(44)、トランスジェンダーを公表している上川あや・世田谷区議(50)の計5人。一連の問題で日本におけるLGBTの現状に対する海外メディアの関心が高まっているとして、日本外国特派員協会からの要請を受け開催した。

勝間氏は自身の学生時代に触れ、近しい友人に性指向を伝えたが否定的な反応を受け次第に話すのをやめるようになったと説明。「約30年間、クローゼットに入っていました」と振り返った。一方で、周囲がカミングアウトをして堂々と生きている姿に影響を受けるようになったといい、今年5月、自身が同性愛者であることや増原氏と共に生活していることを明らかにしたという。

また、会見で勝間氏は英語でスピーチをおこない、杉田氏の発言を牽制しつつ、すべての当事者が心理的に安心して暮らせる社会の実現を訴えた。

勝間氏「私の願いは、全ての人が偏見や無意識な差別なくカミングアウトできることです。そのためには例えば杉田氏のような差別に対して法律を作る必要があります。同氏によるLGBTは生産性がないから税金を使う必要がないという発言は、まったくもって公平ではありません。人口の6〜7%がLGBTといわれる中、カミングアウトしている人は0.5%程度だと思います。残りの人たちにとって"心理的な安全性(Psychological Safety)"はありません。日本におけるすべてのLGBT当事者が、心理的に安心して過ごせる社会を望みます」(編集部意訳)

また、カミングアウト後の周囲の変化に対しては質疑応答で、
「カミングアウトした後、私の元に直接届くメッセージは肯定的なものでしたが、匿名コメントは80%が否定的なものでした。それが今の日本の現状です。だから私は多くの人に会いたいと思っています。(LGBTは)"フェティシズム"でもないし、趣味でもない。私たちそのものなんです」(編集部意訳)

と主張。さらに、この日の会見を生中継しているインターネット放送に寄せられているコメントを手元のタブレットで見ながら、

「画面では、たくさんのネガティブなコメントがまだ並んでいます。けれど、中にはコメントを(ポジティブなものに)変えようと働きかけている人もいます。そして何より大切なのは、お互いが直接知り合うことです」(編集部意訳)

と訴えた。

また、会見ではLGBT自治体議員連盟が杉田氏との面会申し入れの文書と公開質問状を自民党などに提出したことも発表された。連盟の世話人を務める石川氏は「杉田氏本人からの謝罪はなく、TVなどメディアでも自身の意見を話していない。公式の場所で話すべきだ」と訴えている。

【BLOGOS編集部:石川奈津美】
2018年09月05日 19:33
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