自民党総裁選(7日告示、20日投開票)を巡り、動向が注目される小泉進次郎筆頭副幹事長(37)。総裁選で誰を支持するかについて、8月31日に「自分の中で毎日どうすべきか考えている」と語ったと思いきや、すぐさま海外へ“逃避行”だ。国民への発信力が強いことを自覚してか、態度表明には慎重だが、このまま黙っていたら「へタレ」のそしりは免れない。

 進次郎氏は現在、総裁選の報道合戦から逃げるようにニュージーランドを外遊中。現地の党首討論を傍聴するのが目的とかで、総裁選告示の前日(6日)まで滞在する予定だという。

 参院定数6増の公職選挙法改定に否定的な考えを示し、モリカケ問題で安倍政権を厳しく批判してきた姿はスッカリ鳴りを潜めたまま。沈黙を貫いている進次郎氏を巡り、注目を集めているのが8日開催のイベントだ。

 青山学院大で行われる日本財団主催の「ソーシャルイノベーションフォーラム2018」の基調講演に登壇する予定だからである。

このフォーラムは、日本財団が16年から毎年開催。日本の社会問題などを語るイベントだ。進次郎氏は昨年まで2年続けて登壇し、16年には「にっぽんの将来をつくる」のテーマで少子高齢化問題を中心に講演。昨年は、「まず国会から改革すべきだ。首相が年間100日以上も国会審議に縛り付けられている国は日本しかない」などと強調し、国会改革をブチ上げた。

■期待させて“やらずぼったくり”

 進次郎氏にとって、この年1回の講演が自らの政治スタンスを明確にする場となっているワケだ。はたして、海外から帰国後、8日の講演で総裁選に向けたメッセージをブチ上げるのか。

「国民への影響力が大きいので、総裁選へのスタンスを明らかにしないのではとみられています。しかし、このまま沈黙を貫くことも考えにくい。8日の講演では、安倍首相と石破元幹事長のどちらを支持するかは明言しないでしょうが、ニュージーランドで見聞したことを引き合いに出して、総裁選の争点を放り込んでくると考えられます。新たな争点を提示することで総裁選の論争をリードできるからです。遠巻きに総裁選をかき回す思惑があるのでしょう。安倍さんも石破さんも進次郎氏を味方につけた方が有利だと考えているので、進次郎氏のブチ上げる争点にどう反応するのかがポイントとなります」(進次郎氏に近いジャーナリスト)

進次郎氏は、オフィシャルブログやフェイスブックを3日更新したが、「農林水産物・食品輸出プロジェクト」のサイトの告知をしただけで、総裁選にはひと言も触れていない。このまま沈黙し続けると、未来の総裁候補となまじ期待されているだけに、肩透かしをくらう国民も多いに違いない。政治評論家の有馬晴海氏がこう言う。

「進次郎氏が、財務省の文書改ざん問題やモリカケ疑惑が国会で追及されたときに、安倍自民党に異を唱えていたのは事実です。心情的には、石破氏を支持しているでしょう。しかし、安倍首相の3選が予想される総裁選で、表立って石破支持と言えば『将来なし』と言われ、安倍支持と言えば『迎合したのか』と言われてしまう。悩ましい立場にいるのでしょう」

 悩んで海外に逃亡しても、注目を浴び続けていることに変わりはない。正々堂々と自分の政治スタンスを表明すればいいだけだ。

日刊ゲンダイ
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