文部科学省の現職の局長が受託収賄容疑で逮捕されたことを受けて、野党各党は4日、「権力の私物化だ」と厳しく批判した。局長など各省幹部の人事権を握る安倍政権の任命責任も問われる事態。野党は予算委員会の集中審議を開き、安倍晋三首相や林芳正文科相らに説明責任を果たすよう求めた。


 立憲民主党の辻元清美国会対策委員長は、局長が子どもの大学合格に自らの権力を使った疑いがあるとして、「行政の私物化だ」と批判した。社民党の吉川元(はじめ)幹事長は「官僚の良心がどんどん失われ、教育行政自体の公平性や信頼が損なわれる事態を強く危惧する」との談話を出し、官僚のモラル低下を嘆いた。

 国民民主党の玉木雄一郎共同代表は記者団に対し、「前代未聞。典型的な権力の私物化で許されない事態が発生した」と驚きを隠さなかった。局長級など各省幹部の人事権を握り、政権の意向が強く反映される内閣人事局の問題点も指摘。「内閣人事局で任命した局長が不祥事を起こし、官邸を中心とした政治責任は免れない」として、22日までの国会会期中に首相や林文科相が出席する予算委の集中審議を開くよう求めていく考えを示した。

 だが、与党幹部は4日夕、「審議することがない。文科委員会で文科省に説明させるくらいだ」と集中審議の開催に否定的な考えを示した。首相官邸幹部も「林文科相が記者会見すれば説明責任は果たされる」とし、集中審議は必要ないとの考えだ。

 首相周辺は、政府としての責任の取り方について「林文科相が直接関与したわけではないのだから、林文科相の閣僚給与の返納でいい」と強調する。


朝日新聞
2018年7月5日06時47分
https://www.asahi.com/articles/ASL7466HRL74UTFK015.html