「トランプ大統領は、北朝鮮の非核化の費用を日本と韓国が負担すると」「朝鮮戦争の当事者の米国が負担しないというのは許されない」

 26日の参院内閣委。質問に立った自由党の山本太郎共同代表は、北の非核化のために日本が米国から一方的に費用負担を押し付けられるのではないかとの強い懸念を示した。

 米経済誌などは、北が核放棄の見返りに要求する経済支援の金額を2兆ドル(約220兆円)と試算している。今や借金大国の日本がポンと出せる金額じゃないし、何よりも戦争当事国である米国にも負担させるのは当然だ。

 で、山本氏は安倍首相に対して「米国も負担すべきということを直接、トランプさんに言えるのか」と迫ったのだが、安倍首相はイエスもノーも言わず、「この問題を解決をしていくために、連携していくということを重視するべき」とノラリクラリ。そんな対米従属政権は米朝融和に水を差したらマズイとばかり、北のミサイル発射を想定した住民避難訓練の中止を決定したが、それにしても「北の脅威」をあおりまくって一体、どれだけのムダ金を浪費したのか。

 ちょうど1年前の6月には、全国の民放で「弾道ミサイル落下時の行動」の政府広報CMが始まり、新聞各紙には「Jアラートで緊急情報が流れたら、慌てずに行動を。」と題した広告が掲載された。その額、実に約4億円だ。自治体には無意味なミサイル避難訓練の実施を要請し、全国各地で「カネがない」とブーイングの声が上がった。

 総務省消防庁の2018年度予算案では、弾道ミサイルに備えた避難訓練の費用を含む1・3億円が計上されている。突然、ヤ〜メタといってカネがすぐに国庫に戻るわけでもない。何だかんだと理屈をこね上げて別の施策に流用されるか、基金に積み立てられてしまうだろう。まるで「ミサイル撃つ撃つ詐欺」だ。

 そんな場当たり的な日本に対して、25日付の朝鮮中央通信はこう報じている。

〈日本が我々の「ミサイル脅威」を口実に行っている住民避難訓練なるものは、反共和国の雰囲気を高め、軍事大国化に必要な環境をつくろうという不純な行いで、ずっと前に中断されていなければならなかった〉

〈日本は、避難訓練の中止だけではなく、対朝鮮敵視政策を撤回し、平和に対する誠実さを世界に示さなければならない〉

 ならず者国家と呼ばれた方が、今の安倍政権よりもよっぽどマトモに見えるなんて、つくづくトホホだ。

日刊ゲンダイ
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