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大阪北部地震での対応をめぐって吉村洋文市長と毎日新聞が対立している。発端は毎日新聞が「市長、ツイッターで「全校休校」 現場混乱」とバッシングする記事を書いたことだ。

以前の記事:【大阪地震】吉村洋文市長の対応が迅速で素晴らしいと話題に
まずは毎日新聞の見解から。

大阪の地震発生当日、吉村洋文市長はツイッターで全校休校を宣言。一方、地域防災計画では休校は校長の判断としています。このため保護者の出迎えや問い合わせなどで現場では混乱があったようです。 https://t.co/7J0xfztmZl

— 毎日新聞 統合デジタル取材センター (@mainichi_dmnd) 2018年6月21日

記事を要約すると以下の通り。※後に書き換えられる恐れあり

(1)市の地域防災計画では、休校判断は校長が行う決まり

(2)教育委員会は9時7分「休校にするかは校長・園長の判断で」とメールを送った

(3)吉村洋文市長は9時20分、Twitterで「全校を休校にする」と宣言した

(4)10時前、教育委員会は「休校にしないなら教育活動を続けて」と再びメールを送る

(5)11時4分、教育委員会が全校休校の指示を伝えた

(6)吉村洋文市長のマニュアルにないTwitterでの発信が現場での混乱を招いた

(6)南海トラフ大地震の発生に備え、検証が迫られそうだ。

毎日新聞の取材に対し吉村洋文市長は「Twitterでの情報発信は超法規的措置だった」と主張したうえで今回の連絡のすれ違いは「教育委員会と学校の連携の問題だ」と反論した。

さらに記事公開後、吉村洋文市長は誤りが含まれていると指摘した。

毎日新聞、正確に報道してくれ。災害対策本部が設置された時の学校の休校の判断権者は、「市長」だよ。僕はツイート前に教育委員会に指示済み。ただ、460校ある学校に一斉に伝えるのに時間がかかった。電話、メールはダメ。災害に弱い。ライン、ツイッターの方が災害に強い。

— 吉村洋文(大阪市長) (@hiroyoshimura) 2018年6月21日

上記の(1)については「災害対策本部が設置された場合は権限が校長から市長に移る」が正しい。

毎日新聞の記事では市長のTwitterでの発言が現場に混乱をもたらしたと分析されているが、実際の問題はそうではない。問題の本質は教育委員会の対応の遅さにある。

そもそも吉村洋文市長は8時38分の段階で災害対策本部を設置すると宣言し9時9分には設置を完了させていた。

市に災害対策本部を立ち上げ、市として被災情報の把握、災害救助に努めます。余震に注意してメディア等の情報把握につとめてください。これから人が集まる駅や混雑する場所にはいかないで待機して下さい。

— 吉村洋文(大阪市長) (@hiroyoshimura) June 17, 2018

市役所で災害対策本部を立ち上げ、各24区でも立ち上げました。火災3件、救護救助20件発生しています。引き続き市役所にて指揮をとります。今後の情報収集につとめて下さい。 pic.twitter.com/NdD47WGA9n

— 吉村洋文(大阪市長) (@hiroyoshimura) June 18, 2018

この時点で権限が移っていたわけで、間違った行動をとったのは教育委員会だ。おそらく電話とメールを使っていた教育委員会は伝言ゲームを続けるうちに連絡が遅くなってしまったのではないか。インターネットを駆使する吉村洋文市長の対応が迅速だったのに対し、教育委員会の連絡はひどく緩慢だった。

災害時にはTwitterやLINEなどのインターネット経由が強いというのはすでに有名な話だ。

したがって毎日新聞は記事として取り上げるのなら「吉村洋文市長の行動が混乱を招いた」と分析するのではなく「現場のマニュアルが時代遅れで改善が必要」と次に繋がる分析をするべきだった。

もしも吉村洋文市長が古いマニュアルにのみ従って連絡していたら、休校指示が伝わるのは11時4分であるから全ての生徒が無駄に登校しすぐに帰宅することになっていた。

現在、ネット上では吉村洋文市長を擁護し、毎日新聞の記事をバッシングする声が高まっている。