司法の鉄槌をくらう日は来るのか――。

 愛媛県今治市に新設された獣医学部を巡る問題で、19日に緊急会見した加計学園の加計孝太郎理事長のことである。

 会見では、2015年2月25日に安倍首相と面会したかどうかについて「記憶にもないし記録もない」と否定。

 ありもしない面会をでっち上げ、県側に伝えた責任について、事務局長が勝手にやったとの認識を示した。

 しかし、学園の報道担当者は、「大きな重要なことはすべて理事長の判断をいただいている」と語っている。本当に理事長はでっち上げを知らなかったのか。知っていれば、首相の名を出して行政に嘘をついた責任を真っ先に負うべきだ。監督責任を取って月額給与の10%を1年間、自主返納するとしたが、そんな軽い処分で済む話じゃないだろう。

■「事実」はどこにいった

 実際、モリカケ問題の「モリ」では、森友学園の籠池泰典前理事長と妻・諄子氏が、行政をダマして補助金をせしめた詐欺容疑などで逮捕、起訴された。「カケ」も同様の事件に発展する可能性はあるのか。元検事で刑事事件に詳しい落合洋司弁護士がこう言う。

「『嘘の面会』が加計学園から県に伝えられたのは、学園が国家戦略特区の事業者に申請する2年前のことです。補助金を詐取する目的で嘘をついたという因果関係は成立しないでしょう。道義的な責任はあっても、刑事罰に問うのは無理があります」

 補助金詐取に問われなくても、県に対する偽計業務妨害には当たらないのか。

「学園側の嘘によって、誰のどんな業務が妨害されたのか明らかにしなければなりません。例えば、業務の負担が増えたなどの具体的な事例があれば、犯罪要件を満たす可能性はある。ただ、巷間言われているように、『面会が嘘』という学園の主張そのものが嘘の可能性が高い。何が事実か分からないため、仮に検察が告発を受理したとしても、起訴は困難でしょう」(落合洋司氏)

理事長の会見を受けて、20日、前川喜平前文科次官がコメントを発表し、「(理事長の会見は)嘘を嘘で塗り固めた上に、さらに嘘の上塗りをしたもの」「何が嘘で何が本当だったか、本人も分からなくなったのでは」などと皮肉った。

 もはや、学園と理事長の言うことは信用できない。こんな大嘘つきは、司法の手に余るか。


日刊ゲンダイ
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