残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制度)など「働き方改革」一括法案の労働政策審議会での審議に使われた資料に、新たな虚偽データが発覚しました。日本共産党の倉林明子議員が7日の参院厚生労働委員会で告発し、「議論を労政審に差し戻せ」と強調しました。

 問題の資料は、2014年1月15日の労政審労働条件分科会に厚労省が提出したもの。13年の就労条件総合調査をもとに、裁量労働制やフレックスタイム制など労働時間規制を緩和した制度の適用労働者の割合を集計しています。「管理監督者」の区分はなく、「1日8時間、週40時間」の一般労働者に含められていました。

 工場長や部長など管理監督者は労働基準法41条によって同法の労働時間の規定を受けず、一般労働者とは明らかに違います。

 当日の労政審では、労働者委員が「新たな適用除外制度よりも、まず現状の検討が先決ではないか。『名ばかり管理職』問題が指摘されている管理監督者についても議論を深めるべきだ」と発言したにもかかわらず、厚労省は管理監督者を一般労働者に含めていることを隠したままでした。

 倉林氏は、「間違った理解を与えるデータを労政審に出していた」と批判。加藤勝信厚労相は、「管理監督者は通常の働き方とは異なる。正確性に欠けていた」と間違いを認めました。

 倉林氏は、「管理監督者が何人いるのかつかんでいるのか」と質問。山越敬一労働基準局長は、「把握していない」と答えました。

 倉林氏は、過労死認定の1割が管理監督者であり、実態を把握したうえで労政審に差し戻すよう強調しました。加藤厚労相は、「実態把握に取り組むが、高プロとは違う」と強弁しました。

しんぶん赤旗
2018年6月8日(金)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-06-08/2018060801_02_1.html
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(写真)厚労省の提出資料。管理監督者を含むことを隠して、一般的な働き方の割合が「45・3%」と説明しています