◆小泉進次郎が激怒!「モリカケに結論出さず、選挙制度だけ出すのか!」 参議院の議席が増える制度改革とは?
2018年6月6日午後9:00 政治部・自民党担当 門脇功樹

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■小泉進次郎が吠えた理由は?

自民党は6日の会議で、来年夏の参議院選挙に向けて、選挙制度に変更を加える、公職選挙法の改正案を了承した。

しかし会議の中では、小泉進次郎筆頭副幹事長が声を荒らげて反発する一幕があった。

「森友・加計学園問題に結論を出せない自民党が、選挙制度の改正だけ早急に結論を出すなんて国民をなめている」
「森友・加計学園問題は特別委員会を設置して議論をすべきだ!」

冒頭以外はマスコミに非公開の会議だったが、その声は会議室の外にまで響き渡るほどだった。

■自民党が了承した選挙制度改正案とは?

<略>

これまで議員定数は減らす歴史をたどってきたが、今なぜ増やすのか。特に「比例区」の定数を増やすのはなぜなのか?

■合区を解消でない中で編み出された「次善の策」

現行の参院選の選挙区では「鳥取」と「島根」、「高知」と「徳島」が合区されていて、2つの県から1人しか議員を生み出せない状態だ。
合区対象となっている県の自民党議員からは「地方の声が届きにくくなる」との不満が噴出していた。

「合区は本当によくないのか」「議員の定数は何人が適正か」というそもそもの議論もあるのだが、今の制度のまま、地方の過疎化と都市部の人口増加がさらに進んだ場合、
1票の格差を是正するためには、定数を増加させない限り、次々と新たな合区ができることになる。

これを避けるため、自民党はこれまで憲法改正による合区の解消を訴えてきたが、野党側の反発もあり、来年の参議院選挙には間に合わない状況だ。

そこで自民党は、次善の策として、選挙区に出られない県の候補者を救済するための、今回の案を編み出したのだ。

■ご都合主義?新たな比例制度

国政選挙での比例代表の名簿の方式は現在、主に2通りある。
衆院選では、政党が候補者の当選順位をあらかじめ決めることができる「拘束名簿式」がとられている。
一方で、参院選では2001年から「非拘束名簿式」がとられていて、政党に配分された当選枠の中で、投票で個人名が多く書かれた順に当選者が決まる方式だ。
今回示された案は現行の「非拘束名簿式」は残したまま、一部に「拘束名簿式」となる「特定枠制度」を設けることが盛り込まれている。
さらに、その枠を設けたことによって、他の候補者たちが不利とならないように、比例定数を「4」増加させる。

想定される活用法は、合区に伴い選挙区で出馬できなかった県の候補者を、比例の特別枠に入れることによって、事実上当選を保証するという形で、比例定数自体を増やすため、他の比例候補の当選枠も保たれることになる。
選挙区に出馬できない県の候補者を救うことができ、今の比例選出議員にも迷惑がかからないため、みんな万々歳というわけだが、定数削減の流れに逆行し、お手盛りで、議員定数を増やしたと言われても仕方ない案となっているのだ。

■野党からの猛反発、進次郎氏も・・・

さらに、この案が了承された自民党の会合では、冒頭のように、森友・加計問題に絡めて小泉進次郎氏ら若手が激怒する事態にもなった。

「定数を削減する努力を続ける中で、定数が増えることが国民世論にどう映るか」などと、自民党に対して厳しい視線が注がれることを警戒する声も挙がった。

選挙制度とは民主主義の根幹である。
政治家がこれまで定数を減らすことで「身を切る改革」をアピールする一方、抜本的な選挙制度改革に手を付けてこなかったという問題点もある。
さらに言えば、政権与党の自民党が、自分たちの都合で選挙制度を短期間でコロコロと変遷させて良いものなのか。
憲法改正ができないからと言って、とりあえず選挙制度を・・・というのは、あまりにも場当たり的な対応ともいえるだろう。果たして国民の理解を得られるのだろうか。
今回の案を提示した側は、議員定数を増やすにあたり、「行政監視機能」の発揮など、参院の機能強化に取り組む方針を示した。

しかし、これに対しても小泉進次郎氏は吠えた。
「参議院が行政監視機能を主張するなら、モリカケは特別委員会を設置して議論すべきだ」
会議終了後、小泉氏は記者団の質問には答えなかったが、自民党内に向けたこの強烈なメッセージを、執行部がどう受け止めるか問われる。