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「財務省の問題で勾留されたのは“国策勾留”であると認識している。家内については全くの冤罪で、まさに人権蹂躙だと認識している」
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学校法人「森友学園」の補助金詐取事件で逮捕・勾留されていた籠池泰典前理事長は5月25日に保釈され、同日夜に開いた会見で開口一番に不当逮捕・不当勾留であることを強調した。

「大阪府の告訴については、どうも警察と示し合わせた松井・維新の政治的カモフラージュではないかと思っている」などと独特な見解をてらいもなく語る“籠池節”も健在だった。

(中略)

もっとも、籠池氏が強く主張したかったのは「国会の証人喚問で自分が述べたことに間違いはない」ということだろう。焦点は、昭恵夫人が土地取引などに「関与」していたのかどうか。
「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」という発言があったため、安倍首相の政治生命にも影響を与える。

(中略)

その一方で、財務省が5月23日に国会に提出した近畿財務局の交渉記録の記載に関する質問には、籠池氏も諄子夫人も消極的だった。

交渉記録には諄子夫人が近畿財務局の職員にコースターを投げつけたり、「嘘つき、お前なんか信用できない。帰れ」
「あんただけではなく、孫の代までたたられるで(罵詈雑言)」など人間性を疑うような暴言を吐いたことがわかる記載がある。

実際にその態度は近畿財務局の職員の心証を非常に悪くしたようで、わざわざ「担当者心証」として「国の対応の非難及び自己の主張の妥当性を一方的に述べるのみであり、
今後も、当方指示に真摯に対応することは期待し難いという印象」という記載まである。

(中略)

この記述について問われると、諄子夫人は苦笑いするのみで、何も答えなかった。

籠池氏は「財務省に改ざんがあったということは、いまも改ざんがあるということではないか」と、国会に提出された交渉記録も改ざんされているかのような回答をしてみせた。
「資料はそのまま本当という認識か。国会で証言した内容と異なるなら、改ざんということだ。コースター問題もそれにかかわるのではないか」と、
コースター投げつけさえも改ざんと印象づけるトリッキーな話しぶりだった。

(中略)

「早朝の志を得る初夏の風」

これは保釈の日の朝に籠池氏が詠んだ句で、会見で披露された。それにはこれから安倍首相、昭恵夫人、そして財務省や大阪府に反撃してやるんだ、という籠池氏の確固たる意志が見てとれる。

だが国民が望んでいるのは、「森友問題の真実はどこにあるのか」を解明し、この問題にいったん終止符を打つことだ。引っかき回すトリックスターなら、もういらない。

真相解明を目標とするのであれば、野党もメディアも籠池夫妻の言説については、すでに明らかになっていることとの食い違いを検証しながら取り扱っていく必要がある。
とくにテレビメディアは、取材や出演にあたって、先方を焚き付けたり、先方からの条件を過度に受け入れたり、というようなことをするべきではない。
昨年と同様、そのようなことをやるのであれば、あまりにも無思慮といえるだろう。

東洋経済オンライン
https://toyokeizai.net/articles/-/222524