保管していた交渉記録を「廃棄した」と国会で虚偽答弁し、決裁文書の改ざんも指示していたのにスットボケ。これが犯罪に当たらないのであれば法治国家じゃない。森友問題で、虚偽公文書作成の疑いで刑事告発された佐川宣寿前国税庁長官について、大阪地検特捜部が近く不起訴にする方針――と報じられた。

 地検は改ざん前後の公文書の根幹部分に大きな違いはない、と判断したらしいが、冗談ではない。

 そもそも、森友問題に対する地検特捜部の財務省に対する捜査姿勢は最初から腰が引けていた。問題発覚後、森友学園には早々に詐欺と補助金適正化法違反の疑いで強制捜査に入ったのに、なぜか近畿財務局はスルー。いまだにガサ入れした話も聞かない。売買をめぐる関係資料をすべて押収し精査した上で、立件の可否を判断したのであればともかく、佐川氏の簡単な任意聴取で「ダメでした」なんて許されるはずがない。


世論の7割が佐川氏証言に「納得できない」(C)日刊ゲンダイ
 共同通信などの世論調査でも、証人喚問時の佐川氏証言に「納得できない」との回答が7割以上に上るのだ。検察庁のHPで西川克行検事総長は〈国民の検察への負託を深く自覚し、日々生起する様々な刑事事件を適正に処理することによって責務を果たしていきたい〉なんて言っているが、負託に全く応えない税金ドロボー検事は即刻、クビにするべきだ。

■日本にも「検察官適格審査」が必要

 検察庁法23条では、検察官の罷免勧告や適格審査を行うための制度として「検察官適格審査会」がある。審査会は国会議員(6人)や最高裁判事、日弁連会長、学識経験者ら11人で構成し、すべての検察官を対象に「定時審査」を実施するほか、法相の請求や一般市民の申し立てを受けて「随時審査」も行う。

 2010年の大阪地検特捜部の元主任検事による証拠改ざん事件では、元大阪高検公安部長の三井環氏が当時の大阪地検検事正ら9人の罷免を求めて審査を申し立て、あっという間に1000人以上の共同申立人が集まった。今回、仮に佐川氏が不起訴処分となれば、西川検事総長のほか、上野友慈大阪高検検事長や北川健太郎大阪地検検事正、山本真千子大阪地検特捜部長はそろって罷免だ。

現制度では「(検察に)プレッシャーを与えるのは検察官適格審査しかない」(三井環氏)が、韓国国会は21日、与党の元党員らによるネットを使った不正な世論操作疑惑で、政府から独立した形で捜査する「特別検察官」を任命する特別法案が賛成多数で可決された。日本でも、今こそ国民が声を上げるべきではないか。

日刊ゲンダイ
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