◆働き方改革関連法案
「過労死 自己責任になる仕組み」 遺族「高プロ」批判 衆院委で意見陳述
2018年5月22日 毎日新聞 東京夕刊

 働き方改革関連法案を審議する衆院厚生労働委員会は22日、参考人の意見陳述と質疑を行った。法案の焦点となっている、高所得の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)について、「全国過労死を考える家族の会」の寺西笑子代表世話人は「長時間労働に陥り過労死の発生を促進する危険性が非常に高い。過労死をしても自己責任になる仕組みになっている」と批判した。

 寺西さんは「(雇用側に)労働時間の把握義務がなくなるので、過労死しても労災認定がほとんど無理になる。泣き寝入りし、路頭に迷う遺族が増えることになる」とも指摘し、法案からの高プロ削除を求めた。

 連合の神津里季生(こうづりきお)会長は「働き過ぎの助長につながる」、全労連の岩橋祐治副議長は「現代の奴隷制度と言わざるをえない」と反対意見を述べた。

 一方、経団連の輪島忍労働法制本部長は「創造性を十分に発揮できるように柔軟な働き方の選択肢を増やす。時代の変化に対応した改正」と評価。法政大の小黒一正教授は「適用されるのは労働者のごく一部。個人の意思で対象外になるように修正もされた」などと述べた。

 日本総研の山田久理事は「自立的な働き方を増やしていくのは重要。ただ適正に運用されるための措置を講じる必要がある」と指摘した。【神足俊輔】

https://mainichi.jp/articles/20180522/dde/041/010/045000c