週末(12、13日)に行われた共同通信の世論調査で、参考人招致された柳瀬唯夫元首相秘書官の国会答弁について「納得できない」が75.5%に達した。

 愛媛県の中村時広知事から“ウソつき”呼ばわりされ、名刺や会談内容などあれだけの“証拠”を突き付けられたのだから当然だが、柳瀬氏の答弁内容をあらためて検証してみると、愛媛・今治の職員とは「記憶の限り会っていない」という過去の発言との整合性を取るために、首相秘書官としてあり得ない発言をしてしまっていることが分かる。

 国家戦略特区に申請しようとしている業者と官邸で会っていることの方が、自治体職員と会っているより、むしろヤバイんじゃないのか。

「補助金の申請の仕方など、業者の相談に役人が対応することはあります。ただ、総理直結の秘書官がそれをすることは異例。通常は内閣府や文科省など担当者を紹介し、自分が業者と直接会うことはありません。今回の柳瀬氏のケースのように文科や農水の参事官を横に置いて加計学園関係者と会えば、この件は『総理案件』となり、そこでの秘書官の話は『総理のご意向』となってしまいますからね」(元経産官僚・古賀茂明氏)

同じことは自民党にも言える。14日の予算委の集中審議に野党は中村愛媛県知事の参考人招致を要求したものの、自民党が拒否した。

 これについて立憲民主党の枝野幸男代表が、「前知事(加戸守行氏)を呼んでおいて、現知事を呼ばないのは理屈が合わない。加計隠しそのものだ」と怒っていたが、その通り。加戸前知事は今治への獣医学部誘致に協力した人物ではあるが、国家戦略特区としての加計問題とは無関係。柳瀬氏と面会した職員の代理人としての中村知事の方が、よっぽどこの問題の当事者である。

「『関わっていたら辞める』と言ってしまった安倍首相を守るため、クロをシロにしようとウソを重ねた結果、ぐるっと回って最後に整合性が取れなくなってしまった、ということです。『疑われるようなことをして不徳の致すところ』などと、安倍首相が最初のうちに謝っておけば、財務省が文書を改ざんすることもなかったでしょうし、柳瀬氏の答弁も致命傷にならなくて済んだでしょう。無理に策を弄して、大事にしてしまいました」(古賀茂明氏)

 論理破綻の支離滅裂――。安倍首相を守ろうとすると、みんな墓穴を掘ってドツボにハマるのである。

日刊ゲンダイ
2018.05.14
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/229016/2