学校法人「森友学園」への国有地売却に関する財務省の決裁文書改竄(かいざん)問題、福田淳一事務次官のセクハラ疑惑…。財務省で不祥事が次々と明らかになり、いらだちからか麻生太郎財務相の記者への“口撃”が目立ってきた。もともとぶっきらぼうな物言いで、記者への逆質問を多用する独特の記者会見スタイルを貫く麻生氏。最近はそれが特に際立っており、時折、“逆ギレ感”を漂わせたすごみをきかせ、記者を狼狽(ろうばい)させている。

「どうすればいいのですか? 具体的なこと言えよ」(4月17日・閣議後)

 「さっさと、ぱっぱとやろうや。こっちは忙しいんだから。頼むよほんと」(4月13日・閣議後)

 「あんた記者やってんだからさ、もっとまじめに人の話を聞いて」(3月28日・平成30年度予算成立後)

 「はっきり言わないと聞こえないから。相手(自分のこと)は年寄りだからね」(3月9日・閣議後)

 ぼやきなのか文句なのか、はたまた愚痴なのか−。森友学園をめぐる決裁文書の改竄問題が朝日新聞で報じられた3月以降、麻生氏の記者への口撃が止まらない。紹介したのは、数あるうちの一部抜粋だ。

 特徴は、一連の不祥事で財務省の監督責任を厳しく追及する朝日や東京新聞の記者に対して、とりわけ厳しい対応をとることだ。4月24日の閣議後会見では、質問したNHK記者を朝日記者と勘違いし、厳しい逆質問攻勢をかける珍事もあった。

 この記者はセクハラ問題で辞任した福田氏について、野党から「いったん官房付けにして、調査結果が出てから処分後に辞任を認めるべきだ」という意見が出ていることについて質問。

すると、麻生氏は「官房付けにして給料は誰が払うの?」「野党は税金で払うべきだと言っているの?」と矢継ぎ早に逆質問。記者が言葉を濁すと、「聞いてんだよ、俺が質問してるんだから」「野党がそう言っているのは分かったけど、そのときの給料は誰が払うのか? 野党が払ってくれんのか?」とたたみ掛けた。

 記者が「税金で払うということだと思う」と答えると、間髪入れず「どうして? 問題があって辞めた人に対して何で税金で給料を払わなくちゃいけないの?」と反論。最後には「もうちょっと常識的なことを聞くようにしたら? 朝日新聞だったら」と締めくくった。

 続いて質問した朝日記者が「さっきの(質問)はNHKです」と訂正したが、麻生氏は「ああNHKか」と受け流した。

 会見に出席した報道陣には、NHK記者を気の毒がる雰囲気が漂ったが、麻生氏はマイペースで話を進めた。

 麻生氏の会見内容は財務省のホームページ(HP)で確認できるが、同省が余計と判断した発言部分は削除され、麻生節とされる「べらんめえ口調」は当然のように丁寧な言葉遣いに書き換えられる。質問した記者の所属媒体も明示されず、会見の大まかな内容は間違ってはいないが、詳細な発言録ではないのだ。

 例えば3月9日の閣議後会見。この日は決裁文書の書き換えの有無について財務省として発表する気がないのかと、質問を重ねる朝日記者に麻生氏がいらだちを見せる場面があった。

 麻生氏が「(大阪地検による書き換えの)捜査の答えが出ていない。捜査は終了したんですか」と朝日記者に得意の逆質問。記者が「それは分かりません」と答えると、「朝日新聞の取材能力のレベルが分かるな」と吐き捨て、会見場を後にした−というのが実際のやりとりだ。だが、財務省のHPでは朝日記者の取材能力に言及した部分はカットされている。

 3月2日にも朝日記者が書き換えを調査する予定があるか質問している。この際のやり取りを財務省HPでは、麻生氏が「報道機関の方、(財務省が)捜査に協力しないかのような印象で書かないでください。私は調査すると言っているのだから」と丁寧口調で答えたことになっている。

 だが、実際は「朝日新聞は捜査に協力しないかのような印象で書くなよ。調査すると言ってんだからね。あんたの書き方は信用できんからね」と名指しで批判した。

 また、3月13日には、東京新聞記者に、不祥事企業ではトップが関知していなくても辞任するケースが多いことについて問われ、「神戸製鋼所(の製品データ改竄)は20年ぐらい続いたのか?」と、ここでも逆質問。記者が「長年にわたって…」とうまく答えられずにいると「その程度の調査か」と、したり顔をみせた。当然のように、財務省HPでは「その程度の〜」の発言部分は削除されていた。

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産経新聞
2018.5.6 01:00
https://www.sankei.com/premium/news/180506/prm1805060003-n1.html