水俣病「救済終わっている」チッソ社長発言 慰霊式後に
2018年5月1日21時14分 朝日新聞デジタル
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祭壇に献花する水俣病患者ら=2018年5月1日午後1時51分、熊本県水俣市、長沢幹城撮影
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「公害の原点」といわれる水俣病の公式確認から62年を迎えた1日、水俣病犠牲者慰霊式が熊本県水俣市の水俣湾埋め立て地にある「水俣病慰霊の碑」前で営まれた。
参列者は犠牲者の冥福を祈り、水俣病のような悲惨な公害を二度と繰り返さないことを誓った。

慰霊式には患者や遺族、原因企業チッソの後藤舜吉社長、中川雅治環境相ら約680人が参列した。
患者・遺族代表で認定患者の金子親雄さん(66)が「困難に負けずに生きる姿で、人に勇気を与える人生を、これからも歩んでいきます」と祈りの言葉を述べた。

水俣病は1956年5月1日、水俣保健所に届けられ、公式確認された。2282人の認定患者のうち8割を超える1931人(4月27日現在)が亡くなった。
4月には市立水俣病資料館語り部の前田恵美子さんが死去。患者以外でも、水俣病被害者の辛苦を「苦海浄土」につづった作家の石牟礼道子さんが2月、鬼籍に入った。

チッソの後藤舜吉社長は慰霊式後、記者団に対し、水俣病被害者救済法(特措法)に盛り込まれた事業会社JNC株売却要件の一つの「救済の終了」について、「異論はあるかもしれないが、私として救済は終わっている」と発言した。

株売却後、チッソは会社の清算が可能になるため、補償の主体が消えるとの懸念が患者・被害者団体にある。
一方、中川雅治環境相は、現在も患者認定を求める人が相次ぎ、裁判も続いていることから「現時点で救済の終了とは言いがたい」との認識を示した。