橋下徹元大阪市長の政界引退後、永田町ですっかり影が薄くなった「日本維新の会」に衝撃が走った。頼みの綱だった安倍晋三首相に見捨てられたのだ。

“事件”が起こったのは13日。首相が大阪に入り、自民党府連幹部に、維新が推進する大阪都構想に反対する考えを表明した。維新が目論む都構想の住民投票にも「(首相から)『何度もやるもんじゃない』と言っていただいた」(左藤章自民党府連会長)。

「安倍首相は、支持率が20%台に低迷し、3選は風前の灯。9月の総裁選を見据え、都構想に反対して大阪での党員票獲得を狙っているのです。今の安倍首相には、他党へ配慮している余裕はないのです」(政治部デスク)

 安倍首相の変心に、維新の松井一郎代表(大阪府知事)は、記者団に「(府連への)リップサービスが過ぎるかなと思う」と早速不快感を示したが、後の祭りでしかない。

 国会で自民を持ち上げ、野党を攻撃してきた維新は、事実上の「自民補完勢力」と化してきた。

「菅義偉官房長官が維新対策を担い、野党分断を図ってきた。月に一度は維新幹部と会食し、若手議員は『菅さんから電話がかかってくるんだよ』と舞い上がっていました」(維新関係者)

 だが、衆院選となれば話は別。2014年の電撃解散でも、官邸からの一報はなく、松井氏は「解散の時は教えてくれると思ったのに」とこぼしていたという。

 実際、小選挙区では自民と当落を争い、衆院選のたびに議席を減らし、昨年秋の総選挙では11議席に低迷した。

 創設者の橋下氏も最近は維新議員に手厳しい。

「橋下氏は、大阪同様、国政でも自民党と対決してこそ維新は存在価値があるという路線。野党批判の先頭に立つ足立康史衆院議員らをツイッターで公然と批判するようになっています」(前出・維新関係者)

 安倍首相に切られて、野党回帰しようにも、野党第一党の立憲民主党は、野党協議にも維新を呼ばず、「維新排除」は徹底している。

「まもなく結成される“新民主党”に入れない松沢成文氏、細野豪志氏らと組むという手もありますが、人気のない者同士が組んでも意味はない。松井代表や小選挙区で勝っている馬場伸幸幹事長ら一部だけが自民党入りする形で、維新は消滅するのでは」(同前)

 安倍首相と共に去りぬ?

文春オンライン
週刊文春 2018年4月26日号
http://bunshun.jp/articles/-/7086