毎日新聞 2018年4月11日 東京朝刊
https://mainichi.jp/articles/20180411/ddm/041/100/071000c

 加計学園が愛媛県今治市に岡山理科大獣医学部を新設した計画を巡る政府と地元自治体のやりとりを
記録した文書の存在について、中村時広知事は10日、記者会見で、内容の詳細については
「コメントできない」と明言を避けながらも、「職員の書類は信頼している」と暗に認めた。
国に対しては「県は県の立場で自分たちのことはオープンにする。(国は)国の方で丁寧に説明してほしい」
と要請した。一方、今月に開学した同学部の1期生や地元市民からは憤りや不安の声が聞かれた。
【花澤葵、松倉展人、山口桂子】

 午後5時、記者会見場となった愛媛県庁本館3階の知事会議室。集まった約50人の報道陣の前に現れた
中村知事は会見冒頭、硬い表情で獣医学部の設置の経緯を語り始めた。「大学の誘致は
今治市にとって長年の悲願だった」と強調した上で、文書については「職員が備忘録のために作った」
と明かした。会見中、知事はメモなどを見ずに終始顔を上げて質問に応じた。

 柳瀬唯夫首相秘書官(2015年4月当時)が「首相案件」と述べたことに質問が集中したが、
それを記した文書に関しては「中身についてはコメントできない」などと答えるにとどめた。
ただ「県庁の職員は本当に真面目で、上げてきた書類は全面的に信頼している」と強調。
「報告のために記述したのは間違いない」と断言した。

 文書について国から非公表を求める働きかけや調整があったかと問われると、
「ない。全くない」と語気を強めた。

 地元今治では、文書の存在や知事の説明に憤りの声も上がっている。これまで県に同学部誘致関連の
公文書を情報公開請求してきた市民団体「今治市民ネットワーク」の村上治共同代表(71)=同市=は
「僕たちがうそをつかれていたということだ」。情報の開示に際し、同県の担当者から3月末、
「(15年4月2日の出張復命書は)軽易なものなので廃棄した」と説明を受けたといい、
「隠れていたものがいよいよ姿を現した。ほとんどのことはちゃんと記録されているはずで、
もはや公開しない理由は何もない」と、改めて情報公開を求める考えだ。


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