日本経済新聞 2018/4/9 17:23 (2018/4/9 23:23更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2915381009042018EA2000/


 日銀の黒田東彦総裁は9日、再任後初めての記者会見を開いた。前年比2%上昇の物価安定目標を
堅持する考えを強調し、金融緩和を縮小する出口戦略は「物価目標の実現にはなお距離があり、
検討する局面にはない」と明言した。長引く低金利は財政の規律を緩め、金融機関の収益を圧迫する。
緩和がもたらすゆがみを前に、次の5年も難しい政策運営を迫られる。

 9日午後の首相官邸。辞令交付で呼ばれた黒田総裁に対し、安倍晋三首相は「物価安定目標に向けて、
さらにあらゆる政策を総動員してもらいたい」と語りかけた。黒田総裁は神妙な面持ちで
「(政府と日銀の)共同声明を堅持し、2%の物価安定目標に向けて最大限努力する」と返した。

 再任された黒田総裁が改めて強調したのが、2%の物価目標を達成するまで金融緩和を続けることだ。
記者会見では「2%の物価目標実現への総仕上げを果たすため、全力で取り組みたい」と繰り返した。
金融政策の方向性は「今の段階で引き締めに転換するとか、緩和を減らすのは適切でない」と語った。

 日銀は13年4月から残高を年50兆円増やすペースで国債の買い入れを開始。14年には残高の増加を
年約80兆円に拡大して緩和を強めた。「異次元」と言われた金融緩和は円安につながり、企業の輸出環境が好転。
12年12月に始まった景気回復を支えてきた。

 だが、肝心のデフレ脱却は道半ばだ。2月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)の上昇率は
前年比1.0%にとどまり、2%の目標は遠い。日銀はこれまで物価目標の達成時期を6回も先送りしてきた。
総裁も最初の5年を振り返り「経済・物価は色々なファクターで変化し、完全に予測することは難しい」と語る。

 景気は回復しても物価は伸びない。2%の物価上昇を意識して金融緩和をすればするほど副作用が目立ってくる。


(続きは記事元参照)


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NHK NEWS WEB 4月9日 20時09分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180409/k10011396591000.html