政府は6日、残業時間の上限規制などを盛り込んだ働き方改革関連法案を閣議決定し、国会に提出した。政府・与党は6月20日までの今国会での成立を目指す。だが、陸上自衛隊に続き航空自衛隊からも「不存在」としていたイラク派遣部隊の日報が見つかり、野党は真相究明を主張。財務省の決裁文書改竄も含め、与党は公文書管理の問題への対応に追われ、安倍晋三首相が掲げた「働き方改革国会」の看板はかすんでいる。

 加藤勝信厚生労働相は6日、働き方改革関連法案の閣議決定後の記者会見で「今国会で成立するように最大限努力したい」と述べた。厚労省調査の不適切データ問題などのあおりで、閣議決定は当初の予定より1カ月以上も遅れた。

 与党は4月下旬から始まる大型連休の前に衆院本会議で審議入りさせ、5月下旬までに衆院厚労委員会での審議を終え、参院に送付したい考えだ。だが、公文書管理をめぐる不祥事が相次ぎ、与党のシナリオ通りに進むかは見通せない。

 与野党各党の国対委員長は6日朝、国会内で会談し、日報問題の真相究明を徹底すべきだとの認識で一致。さらに立憲民主、希望などの野党6党は、衆院予算委員会で日報問題に関する集中審議を開くよう要求した。与党も「重大な問題なので、やらないわけにはいかない」(自民党幹部)と容認に傾いている。

 野党6党は衆院予算委や衆院安全保障委員会を今後の主戦場と捉え、稲田朋美元防衛相と黒江哲郎前防衛事務次官、岡部俊哉前陸上幕僚長らの国会招致も求めた。安倍政権に対する世論の反発が強まれば、働き方改革関連法案の審議も慎重にならざるを得ない。

野党は、高収入の一部専門職を労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度」創設を「長時間労働を助長する」と批判している。民進党の那谷屋正義参院国対委員長は6日の記者会見で「働かせ方改革だ」と強調した。

 さらに、厚労省東京労働局長の報道機関への不適切発言にも反発し、「厚労省に働き方改革を語る資格はない」と批判を強めており、安倍政権の最重要法案は危機的な状況にある。

(田中一世)

産経新聞
2018.4.6 22:53
http://www.sankei.com/politics/news/180406/plt1804060041-n1.html