「地球の成り立ちも渦で、宇宙に通じている全てが渦」――。もしこんなことを真顔で言う人がいたら、曖昧に笑みを浮かべつつ、遠巻きにして近づかないようにするのが大人の振る舞いというものであろう。君子危うきに近寄らず。だが、幸か不幸か、我々は「その人」を避けて通ることはできない。この言葉の主は、誰あろう日本のファーストレディだからである。

まるで新興宗教の教祖の如き「渦発言」は、安倍昭恵氏(55)が居酒屋「UZU」を開店した際、店名の由来について本誌(「週刊新潮」)に語ったものだ。彼女のスピリチュアル語録はこれに留まらず、例えば、

「麻というのはとても波動の高い植物であって、その天と宇宙と人間をつなぐような植物であると」(2016年7月のパネルディスカッションにて)

 また「3・11」後には、

〈水はすべての情報を記憶するそうです。(中略)福島原発の水に愛と感謝を送って下さい〉(11年3月30日付昭恵氏のブログより)

 さらに安倍総理と夫婦喧嘩になった時は、

〈「だって、神様はそんなことを望んでないもの」/「神を出されたら、話にもならん」/となって、ケンカはおしまいに〉(昭恵氏の著書『「私」を生きる』より)

 渦、波動、神……。一体、彼女の精神構造はどうなっているのだろうか。


自己不全感と自己顕示欲

「昭恵さんが私に会いたいということで対談したんですが……」

 こう振り返るのは、一昨年10月、総理公邸で昭恵氏と対談した東工大の西田亮介准教授(社会学)だ。

「彼女は私について下調べなどをしておらず、『聞きたいことがあれば聞いてください』といった態度でした。私としては『特に聞きたいことはないんですけど』という感じで……。正直、『何だこの人は?』と、腹立たしかったですね」

 その対談の中で、

「昭恵さんは『普通でありたい』と仰っていた。一方、『自分にしかできないことをしたい』とも。彼女は学歴を見ても職歴を見ても特筆すべき点に乏しく、自分にしかできないことをするには総理夫人という立場が必要になります。普通でありたいと言いながら、他方で総理夫人という下駄を履いて何かをしたいと言われても、矛盾を感じざるを得ませんでした。こうした矛盾は論理的には解決できない。スピリチュアルなものに関心を向けることで、彼女はその矛盾を消化しているのかもしれませんね」(同)

 精神科医の片田珠美氏が、続けてこう分析する。

「結婚後も、昭恵さんはあいにく子宝に恵まれなかった。彼女には『自分はダメな人間だ』というコンプレックス、自己不全感が強くあったと思います。ところが、第2次安倍政権が『1強』と騒がれ、総理夫人である彼女にもスポットライトが当たり、ようやく自己不全感を払拭して自己顕示欲が満たされた。自分のことが報道される快楽が忘れられないため、いろいろなところに出歩く。ちやほやされたいのでしょう」

 そんな昭恵氏に「鈴をつける」ことができるのは、夫以外にいまい。多くの国民はこう望んでいるはずだ。

「安倍総理、とにかく奥さんをコントロールして!」

 そう言いたくて、みんな「うずうず」している──。


週刊新潮
2018年4月5日号掲載
https://www.dailyshincho.jp/article/2018/04040557/?all=1&;page=1