『核心語らぬ4時間=「訴追恐れ」証言拒否連発−プライドにじむ場面も・佐川氏』

突然の国税庁長官辞任から半月余り。財務省の決裁文書改ざん問題をめぐり、理財局長だった佐川宣寿氏が27日、衆参両院の予算委員会で証人喚問の場に立った。しかし、改ざんの経緯などについては「刑事訴追される恐れがある」と繰り返し、証言を拒否。理由や政権への忖度(そんたく)の有無などは一切不明のままだった。

午前9時半ごろ、参院の委員会室に姿を見せた佐川氏は、宣誓書を朗読し、落ち着いた様子で署名。委員長から今回の問題について感想を求められると、「責任はひとえに私にあります。申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げた。

 首相官邸などからの指示や関与については「近畿財務局の個別案件であり、対応は理財局の中だけで行った」と強く否定。麻生太郎財務相や安倍晋三首相の夫人昭恵氏からの指示も「ございません」と繰り返した。
 証人席では時折首をかしげ、身を乗り出すようにして質問を聞き、野党議員の質問には早口でまくし立てるように答えた。

 交渉記録を廃棄したとの国会答弁については「丁寧さを欠いていた」と認め陳謝したが、「財務省の文書管理規則について申し上げただけだった」と弁明。「えっ」とどよめきや失笑が起きた。証言拒否を繰り返す佐川氏に、共産党の小池晃議員が「喚問の意味がない」と声を荒らげると、「茶番だ」「答えになっていない」とやじが飛び、議事が一時中断する場面もあった。

 午後の衆院予算委では、参院で佐川氏が首相らの指示や改ざんへの影響を全否定したことについて「なぜなかったと断定できるのか」と批判が集中。佐川氏は「そういう報告がなかった」と釈明するのが精いっぱいだった。自分が局長でなかった時の問題で国会答弁し、証人喚問されるのは理不尽と思わないか尋ねられると、「国会で議論があれば答弁するのが私の仕事だ」とプライドものぞかせた。

 近畿財務局の担当職員が自殺したことについては、神妙な面持ちで「大変残念で心からご冥福を祈りたい」と声を落とした。計4時間以上の喚問を終えた佐川氏は、カメラのフラッシュを浴びながら足早に迎えの車に乗り込み、国会を後にした。

(2018/03/27-19:45)
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018032700330&;g=soc