YOMIURI ONLINE 2018年03月22日 06時00分
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20180321-OYT1T50065.html

 人手不足が深刻化し、業務に支障を来す産業が少なくない。社会の活力低下を防ぐため、海外からの
労働力のあり方を幅広く論議すべきだ。

 安倍首相が、外国人労働者の受け入れ拡大を検討する方針を表明した。6月にもまとめる
「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に方向性を盛り込む。

 医師や弁護士ら「専門的・技術的分野」の在留資格について、対象を現在の18種類から拡大する見通しだ。
小売りや建設、運輸、農業などが俎上に上っている。

 この5年間に国内の労働者は306万人増え、このうち外国人が60万人で2割を占めた。
少子高齢化で人口減が進む現実を踏まえれば、外国人の受け入れ増を検討することは理解できる。

 一定の日本語能力や技能を要件に、従来より専門性の低い職種を対象とした在留資格の新設などが
選択肢になるのではないか。

 制度設計は、受け入れる企業や社会と労働者の双方にとって望ましい形でなければならない。

 127万人いる外国人労働者のうち、留学生などのアルバイトが23%、技能実習生が20%を占める
現状は問題が大きい。

 日本語学校などに留学する人の中には、アルバイトが生活の中心になっている例を聞く。

 技能実習制度は、新興国を支援する技術移転に一定の役割を果たしているが、安価な労働力とみなす
企業が後を絶たない。

厚生労働省の2016年の立ち入り調査で、外国人技能実習生が働く事業所の7割に
労働基準法などの違反が見つかった。

 就労目的の外国人受け入れが広がれば、留学や実習に頼り過ぎる構図の是正に資するだろう。


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