https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180322-00000530-san-pol

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書改竄(かいざん)問題が表面化したことを受け、野党が「打倒・安倍晋三政権」に燃えている。野党6党は国会審議を拒否するなどして財務省に改竄を認めさせることに成功、佐川宣寿前国税庁長官(60)らの証人喚問に向けてさらに追及を強めている。一方で、衆参両院の野党第一党が異なる「ねじれ」のため、追及の裏で野党間の熾烈な主導権争いも繰り広げられている。

 「安倍政権打倒に向けて今こそ野党が結集をしなければならない。次の総選挙で政権交代を目指すという思いを強くしている」

 国会が約10日ぶりに正常化した16日、参院野党第一党の民進党の大塚耕平代表(58)は審議復帰に先立つ議員総会でこう気勢を上げた。

 衆院野党第一党の立憲民主党の辻元清美国対委員長(57)も16日、記者団に「野党に対して王朝のように好きなように振る舞ってきた。『安倍政治』でいいのか。国民の皆さんにしっかり判断いただきたい」と語気を強めた。

 朝日新聞が3月2日に決裁文書改竄疑惑を報じたことを契機に、日本維新の会を除く野党6党は役所への合同ヒアリングを行ったり、佐川氏や安倍昭恵首相夫人(55)らの証人喚問を求めたりしてきた。ただ、国会戦術をめぐり、審議拒否で徹底抗戦する立憲民主党と、審議を通じて政権を追い込みたい民進党との間にズレがあり、必ずしも一枚岩ではない。

 3月8日午前、参院予算委員会の理事会で、近畿財務局に保管されていた決裁文書のコピーが財務省から提出された。しかし、立憲民主党の蓮舫参院国対委員長(50)は開示済みの文書と同じだとして「0・1ミリも前に進んでいない!」と怒りをぶちまけて理事会は紛糾。大半の野党議員が午後からの予算委をボイコットすることになった。

 ところが、これは民進党にとって想定外の展開だった。

(略)

 こうした野党の姿は世論調査の結果にも表れている。安倍内閣の支持率が軒並み急落しているにもかかわらず、野党各党の支持率浮揚につながっていない。

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が3月10、11両日に行った合同世論調査で、安倍内閣の支持率は45・0%と前回調査(2月10、11両日)から6・0ポイント下がった。不支持は43・8%で4・8ポイント上昇した。

 しかし政党別でみると、立憲民主党は14・0%(前回比1・6ポイント減)と下落し、民進党は1・2%(同0・5ポイント増)で、1%台に回復するのがやっとだった。改竄発覚後に行われた各報道機関の調査結果も同じような傾向がうかがえる。

 野党勢力の結集を唱える民進党最大の支持母体である連合の神津里季生(こうづ・りきお)会長は19日、安倍政権の「1強政治」を批判した上で「こういう政治構造を生んでしまった責任の一端は野党にある」と述べた。さらに「政権支持率が下がっても、(野党の)政党支持率はあまり変わらない。むしろ『支持政党なし』が少し増えている。こういう状況を深刻に反省してもらう必要がある」と野党のふがいなさに怒りをにじませた。(政治部 広池慶一)