毎日新聞2018年3月19日 22時06分
https://mainichi.jp/articles/20180320/k00/00m/010/143000c

参院予算委・集中審議 安倍首相、そんたく有無答えず
 安倍晋三首相は19日の参院予算委員会集中審議で、学校法人「森友学園」への国有地売却問題に関する財務省の決裁文書の改ざん問題を巡り、自身へのそんたくが改ざんに影響したかについて明言を避けた。文書から妻昭恵氏の記述が削除された理由は「書き換えた本人に聞かないと分からない」と語るにとどめた。また財務省の太田充理財局長は、そもそも昭恵氏の記述について「首相夫人だということで(載った)と思う」と答弁した。

 首相は改ざん問題について「行政全体に対する国民の信頼を揺るがす事態になり、行政府の長として責任を痛感している。改めておわびする」と改めて陳謝。「理財局内や(近畿)財務局内の決裁文書の存在すら知らなかった」と改ざんの指示を否定した。自身や昭恵氏が国有地売却に関与していれば議員辞職する、とした昨年2月の首相答弁は、改ざんに影響していないとも強調した。

 さらに昭恵氏が学園の名誉校長を務めたことや、学園の学校建設予定地を視察したことなど文書から削除された事実関係は、改ざんが行われた昨年2月下旬〜4月には「既に知られていたことだ」と指摘。答弁に合わせた改ざんの必要はなかったと釈明した。

 改ざん前の文書になぜ昭恵氏の記述があったのかについても、首相は「私の妻でなければ載らないのは当たり前だ」とした上で、記述は学園の籠池泰典前理事長の発言や当時の報道内容に過ぎない、と昭恵氏の関与を改めて否定した。

 一方、佐川宣寿前国税庁長官の改ざんへの関与について、太田氏は、佐川氏が辞任した9日に財務省事務次官が事情を聴いたと明かした。佐川氏は聴取に「刑事訴追の可能性もある状況なので差し控えたい」と述べるにとどめたという。

 また、昭恵氏や多くの与野党政治家に関する記述が削除された「特例承認」の文書1件が、昨年4月4日に変更されていたことも明らかにした。本省決裁のために電子データが残っていたという。本省の電子決裁システムにアクセスできるのは課長級以上か委任を受けた職員だと説明した。