BBC NEWS JAPAN 3月15日
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-43412144

ジョン・ニルソン=ライト博士、ケンブリッジ大学および英王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)

ドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮の最高指導者、金正恩・朝鮮労働党委員長との会談を約束するという、
全く予想外の展開は日本政府に大きな衝撃を与えたと言っても過言ではないだろう。


北朝鮮に政治、経済面で圧力を絶え間なくかけ続けるという、慎重に計画された米日協調下の作戦は、
米国の一方的で新しい穏健政策に取って代わった。米国の政策が長続きしない可能性もあるが。

米国の政策転換は、トランプ氏の自信に満ちた楽観に基づいている。トランプ氏は、交渉を通じて北朝鮮に、
核兵器および高度ミサイル技術の開発を放棄させようという腹積もりだ。

しかし、予想外の会談はおそらくニクソン訪中並みの衝撃を日本に与えるだろう。当時のリチャード・ニクソン
米大統領は1971年7月、中国を訪問し、毛沢東主席と会うといきなり発表した。

当時の日本政府は、それまで20年近くにわたり回避しようと苦心してきた「悪夢」を経験した。

歴代の米政権に促されるまま日本政府が忠実に守ってきた、冷戦時代の中国に対する「封じ込め」政策は、
あっという間、わずか20分の事前連絡で、一方的に放棄されたのだ。

力で勝る同盟国に裏切られ、置いてきぼりにされた日本には、米国への不信感が澱(おり)のように残り、
そのせいで米日関係は何年にもわたりぎくしゃくとした。


(中略)


高まる圧力


安倍首相にとっては、森友問題が自分への辞任要求につながり、内閣そのものが倒れる可能性が懸念される。

森友問題が最初に発覚した昨年2月に安倍首相は、自分や妻が国有地売却で影響力を行使したと明らかになれば
辞任すると公言している。今回新たに明らかになった内容からすると、たとえ明示的な働きかけで
なかったとしても、不適切な影響が国有地売却に及んだという印象はぬぐいがたい。

現時点で、麻生財務相は辞任する考えはないと言明しており、安倍首相は、財務省での不透明な手続きに
関する事実の究明のため、麻生氏の続投を支持している。

しかし、安倍氏が麻生氏をかばうのには、もっと強い別の理由が2つある。

まず、麻生氏が続投する限り、安倍氏への直接の批判に対する、政治的な人間の盾になってもらえる。

2つ目には、自民党で2番目の大派閥を率いる麻生氏は、今年9月に予定される党総裁選の結果を
左右するだけの票数を安倍氏に提供できる。


(以下省略。全文は記事元参照)