『【寄稿】北朝鮮と森友問題で安倍首相に高まる圧力』
ジョン・ニルソン=ライト博士、ケンブリッジ大学および英王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)

2018.3.15 15:00
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-43412144

ドナルド・トランプ米大統領が北朝鮮の最高指導者、金正恩・朝鮮労働党委員長との会談を約束するという、全く予想外の展開は日本政府に大きな衝撃を与えたと言っても過言ではないだろう。

(中略)

■国内のスキャンダル

この戦略的、外交的危機に加えて、安倍氏は国内の問題にも直面している。

朝鮮半島問題に直面するさなか、昨年来くすぶり続けていた汚職と利益誘導疑惑が急速に再浮上した。

このスキャンダルでは、安倍首相の昭恵夫人の責任が問われる可能性がある。大阪府にある学校法人「森友学園」は、小学校建設地として国有地を鑑定価格から86%と大幅に値引きされた価格で買収した。この売買取引を昭恵夫人が手助けしたのではないかと、疑われているのだ。

進歩的な論調で知られる朝日新聞は今月初旬、国有地売却を管轄する財務省の官僚が、国会提出した森友学園への土地売却関連書類から、昭恵夫人への言及や、取引の「特殊性」に関する部分を、選択的かつ意図的に削除していた可能性があると報じた。

森友問題はすでに、劇的な影響を周囲に及ぼしている。今月9日には、財務省近畿財務局で国有地売却を扱う部署にいた職員が自殺したとみられることが明らかになり、森友問題が理由ではないかとの見方が広がった。

国政レベルでは、安倍内閣と国会の間の緊張関係が高まっている。野党の有力議員たちは、政府が国会を意図的にだまそうとしたと主張。国会のチェック機能が重要な政治制度において、これは深刻な問題だ。

公文書書き換え問題を受けて、土地売却問題が発覚した際の財務省理財局のトップだった佐川宣寿氏は、国税庁長官辞任に追い込まれた。直属の上司にあたる麻生太郎副総理兼財務相についても、野党だけでなく与党・自由民主党の一部議員たちからも辞任を求める声が出ている。

高まる圧力

安倍首相にとっては、森友問題が自分への辞任要求につながり、内閣そのものが倒れる可能性が懸念される。

森友問題が最初に発覚した昨年2月に安倍首相は、自分や妻が国有地売却で影響力を行使したと明らかになれば辞任すると公言している。今回新たに明らかになった内容からすると、たとえ明示的な働きかけでなかったとしても、不適切な影響が国有地売却に及んだという印象はぬぐいがたい。

(以降ソースにて)