2018.3.9 BBC
http://www.bbc.com/japanese/43341301

北朝鮮と米国の首脳会談が開かれる見通しとなり、アジアの金融市場がこれをかなり好感したのは予想の範囲内だ。

市場の反応は意外でもなんでもない。両国の首脳が会談するという展望や、北朝鮮が「非核化への強い決意」を示し、今後は核・ミサイル実験を控えると約束したことは、世界の安定にとってプラスにしかならないからだ。

特に東アジアにとっては歓迎すべき展開だ。東アジアのサプライチェーン(供給網)は密接に結びついているだけに、紛争が悪化すれば各国経済に否応なく打撃を与える。

しかしそれ以上に、今回の展開が北朝鮮経済について何を語っているかが、特に興味深い。「ロケットマン」と「老いぼれ」が会談するという展望は、北朝鮮経済がいかに苦境に立たされているかの反映かもしれないからだ。

経済統計を見ると、国際社会の相次ぐ制裁に北朝鮮経済が打撃を受けているのが分かる。

北朝鮮の輸出高は昨年の時点で30%減少した可能性がある。特に、最大貿易相手の中国への輸出は最大35%も減ったようだ。

つまり、北朝鮮経済の3割が消えてなくなったということだ。

最高指導者の金恩正氏が自分の正統性を維持するには、国のエリート層の支持が必要だ。経済規模の縮小を、国のエリート層が歓迎するはずがない。

しかし、今後状況が悪化する可能性を、北朝鮮はもっと恐れているかかもしれない。

国連安全保障理事会の専門家パネルの元委員、ウィリアム・ニューコム氏は私に、「より厳しい措置の多くは、幅広く厳格な適用が完全に効力を発揮するまでに時間がかかる」と話した。「将来の展望を示す初期の兆候はおそらく、北朝鮮政府にはもっとはっきり見えつつあるのだろう」。

数週間前には想像もつかなかったことだが、非核化を話し合う用意があると北朝鮮が表明したのは、新たな制裁によって現実を見つめ直したからかもしれない。

(以降ソースにて)