安倍首相には地下茎とも言うべき「人脈」がある。首相にとって“真のお友達”である彼らとの関係は、あくまでプライベートのはずだったが、一連の「加計問題」によって、その人脈が政治と繋がっていることが露呈した。安倍人脈を探るアプローチで、これまでの永田町や霞が関とは全く異なる、新たに生まれた政治力学を森功氏(ノンフィクション作家)が浮き彫りにする。

男たちの悪巧み−−。

 そう題した一枚の写真が世間で話題になり始めたのは、2017年2月頃のことだ。大阪の森友学園による国有地払い下げ問題が浮上したあと、安倍晋三夫妻の醜聞が岡山県の加計学園に飛び火した。まさにその頃である。

 愛媛県今治市の土地開発公社が造成した36億円相当の保有地が、加計学園に無償で提供され、岡山理科大学による52年ぶりの獣医学部新設計画がクローズアップされた。学園の理事長、加計孝太郎(66)が安倍首相の「腹心の友」で、獣医学部新設が安倍政権の進める国家戦略特区構想だったことから、「友人に対する依怙贔屓ではないか」と取り沙汰されてきたのは、周知の通りだ。

 その依怙贔屓疑惑は、一強と呼ばれた政権を揺るがし、昨年の政局における最大の議題に発展した。年が明けてなお、野党は22日から始まる通常国会に向け、追及の構えを崩さない。秋の自民党総裁選を控える首相にとって、2018年の前途はまだまだ見通せないといえる。

今を時めく現職総理とその権勢を取り巻く友人たち。そのネットワークには意外な広がりがある。なかでも安倍と加計とのつながりを如実に物語ったのが、安倍昭恵が掲載したフェイスブック(FB)の写真だった。

 もとより当人は軽いジョークのつもりだったのだろう。が、昭恵が撮影し「男たちの悪巧み」と題したFBの投稿写真が数え切れないほどマスコミにとりあげられ、加計疑惑の火に油を注いだのは間違いない。

 くだんの「悪巧み」写真は2015年のクリスマスイブのときに撮影したものだとされる。安倍や加計、4人の男性がそれぞれリラックスしてソファーに身を沈め、銘々がワイングラスを片手にポーズを決めている。メディアによっては安倍と加計以外の2人にはボカシを入れ、氏素性をわからなくしているところもあるが、一人は三井住友銀行副頭取だった高橋精一郎(61)、もう一人が鉄鋼ビルディング専務の増岡聡一郎(55)である。メンバーの一人である増岡に「悪巧み」写真についてストレートに尋ねてみた。

 「あれはずい分評判になりましたけど、そんなに意味のある写真ではないんです」

 増岡は開口一番、余裕を見せてこう笑いとばした。

 「考えてみてください。われわれが本当に悪だくみをするような間柄だったら、(昭恵が)『悪巧み』なんて書くわけがないですよね。しかもその写真を公表するわけがない。昭恵夫人が写真を撮ったということからしても、そうでしょ。まあ、4人並べてみれば、なかには高橋さんみたいに客観的に見て人相の恐そうな人もいるんでね。悪だくみに見えたから、悪ふざけで茶化して書いただけです」

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