https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180305-00054694-gendaibiz-bus_all

「抵抗勢力」を排除しようと…

 徳島の代名詞、「阿波おどり」が危機的な状況に陥っている。3月2日には、徳島市が突如、主催者である徳島市観光協会の破産を申し立てたという驚くべき事実が明らかになった(申請は3月1日付)。

 阿波おどりをめぐり、共同主催者である観光協会と徳島新聞社との間で「内紛」が勃発していること、それが阿波おどりの存続にもかかわる事態に発展していることは、これまで「週刊現代」及び「現代ビジネス」で報じてきた。

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 徳島新聞が阿波おどり運営に乗じて利益を得る構図を作ってきた実態や、そこを改革し、運営を健全化しようとする観光協会が追い詰められていく様子など、詳しくは過去の当該記事をご参照いただきたい。その間、年々積み重なってきた赤字は観光協会に押し付けられてきた。

 ところが、あろうことか行政の長である徳島市の遠藤彰良市長は、その構造を改めるどころか、観光協会を潰そうと次々に手を打ってきているのだ。

 ちなみに遠藤市長は地元放送局である四国放送の元アナウンサーで、四国放送の筆頭株主は徳島新聞。地元では、遠藤市長と徳島新聞の「蜜月」は周知のことである。

 今回行われた突然の破産申し立ては、観光協会を「抵抗勢力」と見立てて、何が何でも排除しようとする、市長による「強権発動」とも受け取れられるのでないか。

観光協会幹部が語る

 観光協会幹部はこう語る。

 「今回、市が観光協会の債権を持つ四国銀行に代弁済して債権者となり、徳島地裁に破産の申し立てをしました。債権者にならなければ破産申し立てはできないからです。観光協会が存続する限り、市と徳島新聞が独自に決められる体制はできないので、何としてもわれわれを潰したいということなんでしょう」

 観光協会の抱える累積赤字は4億3600万円にも膨れ上がっていたが、これまでは市が全額の債務補償をしていた。それを遠藤市長が今年2月になって突然、「来年度からは補償しない」と通達した上、観光協会に清算を迫るという強硬手段に出た。

 観光協会は1億数千万円の現金を保有するなど、一定の資産も持っている。特に徳島市内中心部に設営される観客席「桟敷席」は特注品であり、その資産価値は数億円にのぼる。観光協会は危機を切り抜けるために、この桟敷席を担保に金融機関から資金調達しようとしていた。

 また、市長・徳島新聞からの様々な「干渉」を受けつつも、観光協会は阿波おどりの運営改革に取り組んできた。その結果、昨年は約2600万円の黒字につながり、ようやく健全化の端緒についたところだったのだ。

 そうした矢先、突如として市が観光協会の「破産申し立て」に踏み切った。

 「我々は公益法人なので、桟敷席を担保に資金調達が可能なのかどうかを県に問い合わせたところ、『内閣府に問い合わせる』ということだった。その回答が3月1日の昼に来たのですが『(資金調達は)可能』という判断でした。

 しかしおそらく、県からその情報が市長に伝わったのでしょう。その日のうちに、市は地裁に観光協会の破産申し立てをしてきたのです。つまり、われわれが資金調達を行う隙も与えずに潰そうとしているということです。せっかく債務の返済にも目処が立ったというのに、こうした市のやり方には強い憤りを覚えます」(観光協会幹部)

 はたして、2018年の阿波おどりは無事開催できるのだろうか。

 その詳細は、きょう3月5日(月)発売の「週刊現代」が報じている。