https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20180116-00005727-bunshun-int

「焦りを通り越してもはやパニックです」。来年2月に迫った平昌五輪をめぐる文在寅政権のドタバタ劇を、ある韓国人ジャーナリストはそう評した。北朝鮮情勢が不透明な中、世界からは参加を躊躇する声があがり始めた。大統領が笛吹けど踊る者なき開催国の惨状。

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 状況を考えれば、それは異様な一言だった。

「平昌五輪に来てくださいね」

 韓国の文在寅大統領が安倍晋三首相に、電話でそう“懇願”したのは、11月29日。この日、北朝鮮が日本の排他的経済水域内に弾道ミサイルを発射したことを受けての緊急電話会談でのことである。

 国際社会が北朝鮮への制裁圧力を強める中、韓国は北朝鮮への人道支援を続けているが、この会談中、文大統領が、そのことに触れることはなかった。

 安倍首相は、思わず周囲にこう漏らしたという。

「慰安婦合意とか、国家間の約束も守らないのに。厚かましいよね」

 12月19日には、韓国の康京和外相が来日。河野太郎外相と会談した際にも「安倍首相を平昌で歓迎したい」という文大統領のメッセージが伝えられ、河野外相が「(慰安婦合意を履行しない)今のままでは、それは難しい」と突っぱねる一幕もあった。

 韓国人記者が嘆息する。

「今、文在寅大統領の頭の中は、とにかく平昌五輪一色。ただでさえ、平昌は韓国人も知らないマイナーな都市なうえに、ドーピング問題でロシア選手団の参加が認められていない。北朝鮮情勢は依然不透明で、ヨーロッパ各国に参加を躊躇する国も出始めた。このままでは大失敗に終わって、国際社会に恥をさらすことになりかねないからです」

 北朝鮮が平昌五輪に参加すれば、大会期間中のミサイル発射やテロなどの危険性は減ると見られるが、現時点では参加の可能性は限りなく低いという。

「フィギュアの選手が2人予選を通過しただけで、メダル獲得の可能性もほとんどない。韓国は主催国としてメダルを多数獲得するでしょうから、出場をすると南北格差が浮き彫りになり、却って国際社会に格好がつかなくなります。

 ただ、北朝鮮は直前まで不参加を明確にはしないでしょう。五輪参加を“人質”にして、文大統領に圧力をかけたいのです」(『コリア・レポート』編集長・辺真一氏)

 その文大統領は12月19日、米テレビのインタビューで、大会期間中の韓米軍事演習延期を提案した。

「それも米国側への根回しもないまま、発表した。北朝鮮の作戦にまんまとハマった格好で、これには国内からも、批判の声があがった」(前出・韓国人記者)

 22日付の中央日報は文大統領の演習延期の発表に対して、こう批判した。

〈私たちが掲げる「平和オリンピック」が朝鮮半島の安保体制をゆさぶり、北朝鮮の核開発完了に必要な時間を与えるようなイベントになるのではないかという懸念が出てくる。文政権は、北朝鮮の時間を稼いであげる政府になるのか〉

(略)