記者の挨拶まで完全スルー 佐川国税庁長官の“逃げ恥出世術”
1/8(月) 7:00配信 文春オンライン
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安倍首相は佐川氏の答弁を絶賛 ©共同通信社
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昭恵夫人は「辛い1年だった」と振り返るが、籠池氏の胸中は…… ©共同通信社/©文藝春秋
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佐川宣寿氏 ©共同通信社
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「確定申告の季節を控え、現場職員は大変です。個人事業主から、領収書について『おたくのトップは“書類は廃棄済みで復元できません”で押し通したのに』と、苦情が来ています」(国税庁関係者)

森友学園問題で強気な答弁を繰り返し、国税庁長官に見事“栄転”した佐川宣寿氏(60)。安倍晋三首相は「適材適所」と胸を張ったが、国税庁内には怨嗟の声が渦巻いている。

会計検査院が11月に出した森友学園への国有地売却に関する報告書では、8億円の大幅値引きについて「十分な根拠が確認できない」などと指摘。それを受けて行われた衆参両院の予算委員会で、財務省は佐川氏の過去の答弁の釈明に追われた。

「佐川氏は『価格を提示したことはない』と答弁していたのですが、後任の太田充理財局長が森友側と近畿財務局の間で『金額のやりとりがあった』と事前の価格交渉があったことを認めた。『金額の話はしたが、価格交渉ではない』と苦しい言い訳をしていましたが、要は、佐川氏がこれまで国会で虚偽の答弁をしたということ」(政治部記者)

佐川氏は東大経済学部から1982年に旧大蔵省に入省。故・塩川正十郎財務相の秘書官、大阪国税局長、関税局長などを歴任し、税務署職員など約5万6000人のトップにまで上り詰めた。

会計検査院報告が出た11月22日、佐川氏は労組との団体交渉の席でこう語ったという。

「様々なご意見が寄せられていることは承知しています。職員の皆様には年明け以降ご苦労をかけることになります」

労組関係者が語る。

「国会答弁のように睨み付けるようなことはなく、時々笑顔も出たのですが、回答は用意したペーパーを読む官僚答弁。苦情を受けているのは現場の職員なので、何かメッセージを発してはどうですか、と言っているのですが、最後まで謝罪はありませんでした」

野党は次の通常国会でも、佐川氏の招致を求めていく構えというが、長官に就任して以降の動向は不思議なほど伝わってこない。

「ノルウェーやフィリピンなどで国際会議に出席したり、各地の国税局に出張したりしています。ただ、マスコミへの発信はゼロ。歴代長官の慣例となっていた就任後の会見も開いていません」(国税庁担当記者)

マスコミの“排除”ぶりは徹底している。

「前の迫田英典長官の時は、就任後に記者懇があったのですが、当然ない。長官室のドアも、前長官の時は開けられていたのですが、今はずっと閉じられたまま。それどころか、東京国税局に視察に行った際、番記者が『長官、こんにちは』と声をかけたのに、下を向いて逃げてしまった。昔は、佐川氏も番記者と飲みに行っていたのですが……」(同前)

財務省官僚もこう語る。

「同僚が佐川さんの慰労会をしようと、『女性記者にでも声をかけますか』というと、『やめてくれ』と本気で怒られたそうです」

佐川氏の自宅のインターホンを鳴らすと、中で愛犬のチワワの吠える声はするが、応答はなし……。

“逃げるは恥だが役に立つ”ことを身をもって実証されるおつもりのようだ。

「週刊文春」編集部