http://webronza.asahi.com/politics/articles/2017121400006.html

「慰安婦:力の柱」

 高層ビルが立ち並ぶアメリカ・サンフランシスコの金融街からチャイナタウンに向けて緩やかな坂を歩いていくと、19世紀半ばに建てられたという美しい聖堂が右側に見えて来る。通りを挟んだビルの屋上にあるセント・メリーズ公園で9月22日、「慰安婦:力の柱」と名づけられた記念碑の除幕式が行われた。「性奴隷」とされた朝鮮・中国・フィリピン出身の少女が背中合わせに手を繋ぎ合った群像の下で、1991年に初めて慰安婦として名乗り出た金学順さんの像が、彼女たちを見上げている。碑文には、設立の目的が英語・韓国語・中国語・日本語・タガログ語で説明されている。

「私たちにとってもっとも恐ろしいことは、第二次世界大戦中の私たちの痛ましい歴史が忘れられてしまうことです。」 元「慰安婦」
 この記念碑は、一九三一年から一九四五年まで日本軍によって性奴隷にされ、「慰安婦」と呼ばれたアジア太平洋地域十三ヵ国にわたった何十万人の女性と少女の苦しみを表しています。その女性たちの大多数は、戦時中囚われの身のまま命を落としました。この暗い歴史は、生存者が勇敢に沈黙を破った一九九〇年代まで、何十年も隠されていました。生存者たちの証言が世界を動かした結果、戦争手段としての性暴力が人道に対する罪であり、加害国の政府が責任を負わなければならないと国際社会が宣言することとなりました。
 この記念碑は、これらの女性たちの記憶のために捧げられており、世界中での性暴力や性的人身売買を根絶するために建てられたものです。

 長年筆者が取り組んだ旧日本軍捕虜米兵の問題で支援してもらったマイク・ホンダ元下院議員も挨拶すると聞き、筆者も除幕式に参加することにした。当日は澄み渡った青空の下に数百人の人々が集まり、喜びと熱気があふれる会となった。

 ホンダ氏は、安倍首相が国際社会のリーダーになりたいのであれば、慰安婦問題を誠実に解決すべきであると訴えた。その他に元慰安婦の李容洙さん、記念碑建設を推し進めた「Comfort Women Justice Coalition (「慰安婦」正義連盟) 所属の諸団体の代表、支援したサンフランシスコ市・郡、そしてカリフォルニア州の関係者、記念碑を製作した彫刻家なども、次々に挨拶した。

(略)