過去3回辞職勧告 熊本市議の辞職勧告決議案 改めて提出へ
11月29日 16時57分 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171129/k10011239971000.html

北口和皇(きたぐち かずこ)市議
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171129/K10011239971_1711291701_1711291703_01_02.jpg

辞職勧告を繰り返し受けている熊本市議会の北口和皇議員について、市議会の各会派は、議員が代表を務める団体と市の間で不適正な事業の委託があったとして、来月、改めて辞職勧告決議案を提出することを決めました。
熊本市議会の北口和皇議員はこれまでに3回辞職勧告を受けていて、さらに自身が組合長を務める漁業協同組合に市が委託した5件の事業について、市の外部監査で不適正だったと指摘されました。

市議会の各会派は29日の議会運営委員会で「速やかに辞職を求めるべきだ」という意見で一致し、来月12日の本会議の最終日に、改めて辞職勧告決議案を提出することを決めました。

一方、議会運営委員会では今月22日、緒方夕佳議員が生後7か月の長男を議場に連れて来たことをめぐり、議会の規則に反するとして退席を求められるなどし、開会が遅れたことについても協議されました。

出席した議員からは「どんな理由があろうとルールは守るべきだ」とか「一定のけじめが必要だ」といった意見が相次ぎ、開会を遅らせたとして議長が厳重注意することを全会一致で決めました。

熊本市議会の澤田昌作議長は「処分すべきという意見で一致したが、女性議員が安心して議会に参加できる仕組みづくりは大切なので支援策を考えたい」と話しています。

◆北口和皇市議とは
北口和皇議員(59)は熊本市出身で、平成3年の市議会議員選挙で初当選して以降、7回連続して当選し、26年にわたって市議会議員を務めています。

市議会では1人会派の「自由クラブ」に所属し、平成20年には熊本市の医療施設「熊本産院」の廃止方針に対し存続を求める署名活動を行うなど、女性の立場や子育て支援を重視した活動を行ってきました。

一方で、言動をめぐりこれまで3回にわたって市議会と市の政治倫理審査会から議員辞職が勧告されています。

問題となった1つは、おととし3月、市の食肉センターの移転に関する調印式での行為で、大声を出したり机をたたいたりして食肉業者や市の職員をどう喝し、不当な手段で行政に介入したとされています。

この問題を検証している市議会の特別委員会が公開した、調印式の際の音声データには、北口議員が調印式の参加者をめぐって腹を立て「工事は止める」などと、激しい口調で市の職員に迫る様子が記録されています。

今回、北口議員に議員辞職が勧告されれば4回目となりますが、いずれの辞職勧告も強制力はなく、これまで辞職には至っていません。

◆“子連れ議会”には480件の意見 6割が支持
今月22日の熊本市議会で、緒方夕佳議員(42)が生後7か月の長男を議場に連れてきたことで議会の開会が40分遅れました。
これを受けて、熊本市の議会事務局には28日までに電話やメールなどで合わせて480件の意見が寄せられたということです。

このうち、およそ6割にあたる285件は緒方議員の行動を支持する意見で「議場に赤ちゃんを連れて行けないことは女性活躍に逆行している」とか「子どもを同伴できるように規則を改正するべき」などと意見があったということです。

一方、およそ4割にあたる191件は反対の意見で「気持ちはわかるがやり方が間違っている」とか、「市民の税金で議会に託児所を作ることは議員特権ではないか」などといった意見が寄せられたということです。

◆緒方夕佳市議「問題提起はできた」
熊本市議会の緒方夕佳議員は、事務所の前で取材に応じ「議会の開会が40分遅れた原因の1つとなったことは申し訳ないと思う」と述べました。

そのうえで「議員が子どもを連れて議場に入れたり、幼い子どもがいる親が傍聴しやすくなったりするよう、これまでも子育ての当事者の政治参画のために議会に働きかけていて、今回の行動によって問題提起はできたと考えている」と話しました。