https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171118-00023672-president-pol

小池百合子氏が希望の党代表を辞任した。旗揚げから約50日。衆院選では235人を擁立しながら当選は50人。党勢の衰えは明らかだ。代表辞任について、朝日新聞と毎日新聞の社説は、小池氏の「身勝手さ」を厳しく批判している。一方、読売は「唐突さは否めない」としながら、希望の党は評価する。その背景とは――。

(略)

■「あきれる人も多い」と書く朝日

 辞任表明の翌日の15日付の朝日新聞の社説。その見出しは「一連の騒動は何だった」である。一見すると、客観的に思えるが、朝日らしい嫌みがにじんでいる。

 朝日は小池氏が希望の党を立ち上げたときからかなり批判的だった。小池氏の勢いが衰えると、その批判をさらに強める。強者が弱者に落ちぶれると、いじめたくなるのが人間の心情なのだろう。

 ただし小池氏は都知事という大きな権力をまだ握っている。その意味では新聞社説で批判されてしかるべき存在ではある。

 朝日社説は書き出しもきつい。

 「旗揚げからわずか約50日。一連の新党騒動は何だったのか。あきれる人も多いだろう」

 朝日社説の指摘のようにあきれる人は多いのか。沙鴎一歩はそうは思わない。朝日社説はこう続ける。

 「東京都知事である小池氏が、国政政党の代表を兼ねることには当初から懸念の声もあった。それでも国会議員主導の新党構想を『リセットして私自身が立ち上げる』と乗り出した」

 この辺は事実だろうが、次のくだりはいただけない。

 「一時は吹くかに見えた小池旋風も、自ら持ち出した『排除の論理』で急速にしぼみ、衆院選では『排除された側』の立憲民主党に野党第1党を譲った」

■小池氏はなぜ支持を失ったのか

 前述したように沙鴎一歩は衰退の原因が排除の論理にあるとは考えていない。では小池氏はなぜ支持を失ったのだろうか。

 朝日社説は中盤で「小池氏が政党代表をやめるのは、この半年弱で2度目だ」と指摘し、夏の都議選での地域政党「都民ファーストの会」の代表就任と辞任、そして衆院選前後での希望の党の代表就任と辞任を取り上げる。そのうえで「新党設立、代表辞任の繰り返しが政党や政治への国民の不信をさらに深めることを憂える」とお灸をすえている。

 要するに小池氏は優柔不断なのだ。ぶれやすいのである。これは性格なのだろう。小池氏の秘書をはじめ、周囲にいる人たちは大変だと思う。

 希望の党は衆院選の比例区で967万票を獲得している。党勢が衰えたからといって、簡単に投げ出していいはずがない。朝日の指摘は理解するが、論旨の進め方には嫌みがにじんでいる。

■「身勝手な幕引きだ」と毎日

 16日付の毎日新聞の社説も、見出しに「身勝手さが払えぬ結末だ」と書くなど手厳しい。

 冒頭で「一時は注目を集めた『小池劇場』は、野党の『多弱化』を招いただけで主役が舞台を降りた。身勝手な幕引きだといわざるを得ない」と批判する。

 さらに「『小池人気』を選挙のときだけ看板に利用した印象は拭えない」とまで批判する。次に毎日社説は小池都政に深刻な影響が出てきている現状を示す。

 「小池氏にとってさらに深刻なのは、都議選で選挙協力した公明党が国政挑戦に反発し、都議会与党からの離脱を決めたことだ。先日の東京都葛飾区議選では都民ファーストが立てた候補5人のうち4人が落選した。都知事としても足もとが揺らぎ始め、国政どころではなくなったというのが実情だろう」

■希望の党は早晩、分裂するのか

 さらに小池氏が共同代表を辞任した希望の党に批判の矛先を向ける。

 「党の『顔』を失った希望の党の求心力は低下し、早晩、分裂するとの観測も強まっている」

 何のため、だれのための国政挑戦だったのだろうか。

 毎日社説の駄目押しが「党の立て直しに汗をかく姿勢すら見せずに退くことは、小池氏の『自分ファースト』と映る」との皮肉りである。

 毎日も朝日と同様に弱ってきた者をいじめるのが、かなり好きなようだ。

(略)