週刊新潮 2017年11月16日号掲載
https://www.dailyshincho.jp/article/2017/11170800/?all=1&;page=1

■米中韓メディアが冷笑「トランプ父娘来日」の“おもてなし狂想曲”(3)
 このたびのイヴァンカ・トランプ大統領補佐官(36)そしてドナルド・トランプ大統領(71)の来日を、「父娘を怒らせないように、それはそれは気を遣いました」と官邸関係者は振り返る。安倍総理による“接待ゴルフ”や肉の焼き加減までトランプ大統領に合わせた「ハンバーガー作戦」など、その光景は米国のご機嫌取りという戦後レジームそのものにも映る……。
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 とはいえ、「下」を見ればキリがなく、日本の次に訪問した韓国でのトランプ大統領の滞在は1泊のみ。しかもイヴァンカ氏は直前になって同国訪問をキャンセルしている。軽視された格好の韓国メディアは目を吊り上げ、
〈イヴァンカは日本だけを訪問しており、日本政府はイヴァンカを手厚くもてなしている〉(聯合ニュース)
〈「1泊だけ」ということに「コリアパッシング」ではないかと野党議員たちが一斉に指摘〉(中央日報)
 といった具合。さらには、
〈(安倍総理が57億円の拠出を決めたことについて)やむを得ず韓日合意に基づいて慰安婦に10億円出したのとは全く違う〉(聯合ニュース)
 といったイチャモンが飛び出し、挙句、
〈青瓦台関係者は「(トランプ大統領の)韓国滞在は1泊2日だが(平日で)、日本は週末が含まれた」(中略)と説明〉(朝鮮日報)
 という無理筋な強がりまで出る始末なのだった。

■「『猛獣』を扱うには…」
 このように何とかの遠吠えをしなくて済んだだけ、日本はマシなのかもしれないが、国際ジャーナリストの堀田佳男氏は、
「米国ではトランプ大統領の訪日自体がほとんど注目されておらず、日韓の次の中国訪問が重要視されています。その証拠にウィルバー・ロス商務長官と、米国大手企業のCEO約30人が、トランプ大統領に合わせて中国を訪れます」
 と、日本の盛り上がりぶりを冷ややかに眺める。事実、人民日報のネット版は、
〈今回の(トランプ大統領による)アジア歴訪の「支点(メイン)」は8?10日の訪中だ〉(11月6日付)
 こう「宣言」している。
 現代米国政治が専門の上智大学の前嶋和弘教授が総括する。
「トランプ大統領という『猛獣』を扱うには、日本政府は過剰な演出も厭(いと)わずにおもてなしするしかなく、まあ仕方なかったんでしょうかね」
 その猛獣は7日午前、米軍横田基地という「自分の庭先」から韓国へと発(た)った。今回のトランプ父娘に対する日本政府の「渾身」のおもてなしが、海外では単なる「猛獣への盲従」と嗤(わら)われていないことを願わずにはいられない。