アメリカがユネスコを脱退すると発表しました。
これは9月にトランプ大統領がフランスのマクロン大統領と会談した際に表明していたものが割とすぐに公表されたもので脱退は来年末となっています。

何かすごいことのように感じますが、アメリカのユネスコ脱退は今回が初めてではなく、1984年に一度脱退しています。
その時は当時の事務総長が世の中が先進国主導主義になっているのを是正しようしたことでアメリカ、イギリス、シンガポールがそれに反発し、脱退したもので、その後、再加盟しています。

ちなみにもともとアメリカが拠出金で最大なのですが、84年当時の問題が起きた際、もともと拠出金負担の多い日本が実に25%近い負担割合となり大いに貢献したことがあります。
(バブル前の日本経済と金を出すことで世界に貢献すると勘違いしていた時代です。)

今回のアメリカの脱退宣言は「イスラエルに対する偏向」であり、イスラエルも今回離脱発表しました。
ちなみにアメリカはパレスチナが2011年にユネスコに加盟して以降、それに反対し続け、(日本は投票でアメリカに気を使い、棄権しています。)分担金も払っていないため、実質、アメリカの力はないに等しい状態でありました。

さて、私は今回のアメリカのユネスコ離脱に関して日本がどういう態度を表明するか、ある意味楽しみにしております。
少々前のブログで「世界記憶遺産」の件で日本が窮地に立たされていると指摘しました。

これは慰安婦にかかわる文書を「世界記憶遺産」に登録するかどうかの発表が10月下旬に行われるのですが、現状ユネスコの小委員会(RSC)は登録勧告した可能性があります。
いわゆるスタッフレベルでの勧告は本会議でひっくり返すだけの「政治力」が必要ですが、日本は現状それを持ち合わせていない可能性があります。

そこで日本国内の一部からは実質的にユネスコに最大の負担金を行っている日本はユネスコから脱退をちらつかせてもよいのではないか、とのボイスがあります。
ユネスコと言えば世界遺産でその登録の度に盛り上がる点において一定の経済効果はあるのかもしれませんが、「それだけ金を払っている」という点はほとんど誰も触れてこなかったと思います。

一方、「記憶遺産」については南京大虐殺がユネスコの記憶遺産に登録され、日本は苦渋の対応を迫られました。
さすが日本政府は今回の慰安婦の記憶遺産登録に向けた動きに対して拠出金の34億8000万円の支払いを留保しています。

こちらの構図も実はアメリカがイスラエル問題に対して不満を持っているのと同じでユネスコの審査が不透明、かつ、非公開であり、意見陳述や質問状への回答も満足な状況ではない点からかなり政治的動きがあるように見受けられます。
政治的動きは普通、拠出金が多い国に有利なはずですが、日本は逆に金だけ出して嫌な思いをさせられる状況にあるわけです。

個人的には10月の記憶遺産に慰安婦が登録されるなら日本はユネスコ脱退を宣言するべきだと考えています。
日本はそんなお人好しである必要はなく、物事を公正に判断できる能力を持っているはずです。

ユネスコの脱退は事態が改善すればまた加入すればよいだけの話です。
日本が今まで受けた世界遺産が消えてなくなるわけでもありません。
もちろん、世界遺産を目指している各地の関係者には反対の声が上がるかもしれませんが、ここは国益を考えるべきでしょう。

これは保守的だとかそういう発想ではなく、不平等には対抗するべきだ、と言いたいのです。
日本は国際社会ではいい顔ばかりしています。
もっと世界の中のトップクラスの国家としてのステートメントははっきりさせるべきだと思います。

ちょうど選挙後の話になると思います。首相の一番初めの仕事になるかもしれません。
各党首に聞いてみたい質問の一つですね。

では今日はこのぐらいで。

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