朝日新聞社が実施している衆院選情勢調査の概況によると、自民党は堅調で、希望の党が伸びていない一方、立憲民主党が勢いをつけている。安倍政権のこの5年間への評価は割れるなか、調査結果からは、野党が分裂したことで自民が優位に立つ状況が浮かび上がった。

 有権者の半数近くを占める無党派層のうち、投票態度を明らかにした人を分析すると、比例区の投票先は自民32%、希望25%、立憲20%などとなった。前回2014年衆院選の序盤調査では、自民には無党派層の41%が投票すると答えたことと比べると、自民の勢いには陰りが見られる。

 さらに、安倍政権のこの5年間への評価も、民意は真っ二つに割れている。にもかかわらず自民が堅調なのはなぜか。

 野党第1党の民進党が事実上分裂した結果、無党派層の比例区での投票先も分散した。加えて、安倍政権の5年間を「評価する」人の大半が自民に投票する意向を示している一方、「評価しない」人の投票先が各党に分散しているからだ。

 10、11日の調査対象となった有権者のうち、安倍政権の5年間を「評価する」は43%、「評価しない」は41%。投票態度を明らかにした人では、「評価する」人の68%が比例区で自民に投票すると答えたのに対し、「評価しない」人の投票先は立憲27%、希望26%、自民18%、共産14%などと各党に分かれた。

 自民が、若年層の支持を集めているのも最近の特徴だ。安倍政権の5年間を「評価する」との回答は、18〜29歳で53%、30代では49%に達しており、若い年代ほど「評価する」が多い。

 このほか比例区で自民に投票するとの回答は、18〜29歳で61%に、30代では50%に上る。14年衆院選の序盤調査と比べてわずかに減ってはいるが、他党を引き離していることに変わりはない。

 一方、小池百合子・都知事が率いる希望が伸び悩んでいることも、自民の追い風になっている。

 小池知事率いる都民ファーストの会は7月の東京都議選で圧勝。都議選直前に朝日新聞社が実施した東京都民意識調査では、都民ファーストの会は都議選では50〜60代の支持が強かった。ところが今回、比例区で希望に投票すると答えた人は、50〜60代でも自民に大きく水をあけられている。おひざ元の東京ブロックでも自民に引き離されて失速気味だ。

■加計問題の元閣僚ら安定

 自民は、安倍政権が加計(かけ)学園問題で野党の追及を受けたり、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題で不祥事が明るみに出たりしたものの、当事者の政権幹部や前閣僚らの多くが安定した戦いをみせ、底堅さが表れている。

 今回の調査対象となった144選挙区をみると、加計問題で関与が指摘された萩生田光一・党幹事長代行(東京24区)がリード。この問題の対応に直接関わった前文部科学相の松野博一氏(千葉3区)と、前地方創生担当相の山本幸三氏(福岡10区)も優勢だ。

 日報問題で防衛相を辞任した稲…

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