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 10日に公示される衆院選(22日投開票)で、新党から立候補を予定する新人の陣営が「突貫工事」の選挙準備に追われている。希望の党(代表・小池百合子東京都知事)の公認を得たばかりの「落下傘候補」は、選挙区でようやく活動を開始。民進党から立憲民主党(枝野幸男代表)に移った陣営は、待望の選挙道具が届き、胸をなでおろした。安倍晋三首相の突然の解散表明と新党結成で政治情勢が激変する中、12日間の短期決戦がいよいよ始まる。

 「古都・京都から皆さんの声を国政に届けたい」。8日正午ごろ、京都市北区の市営地下鉄・北大路駅前。希望新人として立候補を予定する40歳のフリーアナウンサー、嶋村聖子氏(京都1区)は真夏のような日差しの下、マイクを握った。

 街頭演説は5日に始めたばかり。党本部が用意するのぼりも手違いで届かず、党名が書かれた紙を段ボールに両面テープで貼り付けてスタッフが掲げた。

 嶋村氏は東京都出身。京都は観光で訪れた程度で、選挙区には縁もゆかりもない。米・ハワイ大学を卒業後、情報番組のアナウンサーなどとして活動。高校時代に高齢者施設でボランティアをした経験から、介護福祉の政策立案に携われる国会議員に興味を持ったという。小池氏が主宰する政治塾「希望の塾」に参加し、国政挑戦を打診された。

 公認が正式に決まったのは、公示が1週間後に迫った3日。希望との合流を決めた民進の地元議員らが支援するが、演説の準備は東京から手弁当で駆けつけた友人らが手伝う。

 選挙戦で拠点とする事務所が決まったのは数日前。8日も午前から、スタッフが備品や選挙ポスターの手配に追われ、通常は支援団体の推薦状などが張られる事務所内の壁は真っ白のまま。陣営の一人は「公示直前は準備万全が普通だが、こんな選挙は初めて。走りながら考えるしかない」と頭を抱えた。

 1区には、自民前職の伊吹文明・元衆院議長と共産前職の穀田恵二・国対委員長という大物2人が出馬を予定する。希望関係者は打ち明けた。「頼みは小池氏の『風』だ」

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 大阪13区で民進の公認を得ていた元NHKディレクターの新人、姜(かん)英紀氏の東大阪市の事務所には8日午前、待ちに待った複数の段ボール箱が届いた。

 陣営スタッフは慌ただしく箱を開封。姜氏の写真と立憲民主の文字入りの大量のポスターやビラを取り出し、公示日に一斉配布する準備に取りかかった。

 姜氏は民進の分裂で3日に立憲民主から出馬する意向を表明。6日に公認されたばかりで、選挙戦の準備は綱渡り状態だ。公示後に走らせる選挙カーや事務所に設置する看板が届くのは9日になる。

 「立憲民主はできたばかりの政党だが、国民の期待を感じる。力をください」。姜氏は8日朝から、東大阪の商店街を中心に練り歩き、買い物客らに呼び掛けた。

 選挙本番のスタートは2日後。「大変な1週間だったが、何とか準備は間に合った」【茶谷亮、金志尚】