加計幹部ら発言の速記録「存在しない」特区WGで内閣府
8/7(月) 18:13配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170807-00000058-asahi-soci

政府の国家戦略特区ワーキンググループ(WG、八田達夫座長)が開いた会合に学校法人・加計(かけ)学園の幹部らが同席・発言していたものの、公表された議事要旨に記載がない問題で、内閣府は7日、議事要旨作成のもととなった速記録について「用済みになったので存在しない」と明らかにした。録音記録もないとしている。政府の公文書管理のあり方が改めて問われそうだ。

 民進党の調査チームの会合で、内閣府の塩見英之参事官が明らかにした。

 獣医学部の新設提案をめぐっては、2015年6月にWGが愛媛県と同県今治市からヒアリングした際、加計学園の幹部ら3人が同席していた。複数の出席者によると、教員確保の見通しなどについて学園側と質疑が交わされたというが、今年3月に公表された議事要旨には載っていない。

 民進党が内閣府に対し、ヒアリングの全容を開示するよう求めたところ、塩見氏は、業者に作成を委託した「速記録」をもとに議事要旨を作成したが、「議事要旨を作れば用済みになるので、元の速記録は存在しない」と語った。

 同党は録音記録の開示も求めたが、塩見氏は「(業者に)速記のお願いをしているだけ」とし、内閣府には残っていないとした。同学園側の発言があったことは認めたうえで、「(議事要旨に)掲載しないという時点でなかったことになる」と述べた。

 八田氏とWGの原英史委員は7日、この問題を受けて記者会見。同学園関係者は今治市の判断で同席した「説明補助者」だったとし、発言を載せなかった理由について「説明補助者は通常、参加者として扱っていない」(原氏)と説明した。速記録が残っていないことについては「どれぐらいの期間、保存されているかは内閣府に聞いてほしい」(同)とした。

 WGの議事内容は、概要版の「議事要旨」と、4年後に出す詳細な「議事録」で公表されることになっている。原氏は「議事要旨と議事録はほぼ同じもの」としており、同学園関係者の発言は議事録にも載らないとした。(岡崎明子、星野典久)


〈国家戦略特区ワーキンググループ〉 特区の制度設計や関係省庁との折衝、提案者からのヒアリングなどを行うため、政府が設置した組織。9人の委員は民間有識者で構成され、最終的な意思決定は国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)が行う。