菅官房長官は閣議の後の記者会見で、韓国の閣僚が、慰安婦問題に関する資料をユネスコの「記憶遺産」に登録するため支援していく意向を示したことについて、ユネスコの目的に反しかねない行動だと批判したうえで、日韓合意の着実な履行を求めていく考えを示しました。

韓国のムン・ジェイン(文在寅)政権で慰安婦問題の担当として新たに就任したチョン・ヒョンベク女性家族相は、10日、慰安婦問題に関する資料をユネスコの「記憶遺産」に登録するため、韓国政府として支援していく意向を示しました。

これについて、菅官房長官は閣議の後の記者会見で、「そうした支援は、加盟国間の友好と相互理解の促進というユネスコが設立された本来の趣旨と目的に反しかねない行動だ」と批判しました。

そのうえで、菅官房長官は「韓国政府に対しては、一昨年の日韓合意の趣旨も踏まえ、適切に対応するよう累次にわたり申し入れてきたところであり、本件発言を受けて、わが国としての立場を韓国に強く申し入れた」と述べました。

そして、菅官房長官は、「日韓合意は、最終的で不可逆的な解決だと両国が確認したものだ。国際社会から高く評価された合意が、着実に実施されていくことが極めて重要であり、引き続き、韓国側に対して粘り強く、あらゆる機会を捉えて、合意の着実な実施を求めていきたい」と述べました。

外相「わが国の立場 強く申し入れた」

岸田外務大臣は閣議のあと記者団に対し、「おととしの日韓合意は、慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を2国間で確認したものだ。国際社会から高く評価された合意が、着実に実施されることが重要だ」と述べました。
そのうえで岸田大臣は、「記憶遺産への登録申請は、加盟国間の友好と相互理解の促進というユネスコ設立の本来の趣旨と目的に反しかねないというのがわが国の認識だ。韓国政府に対しては、日韓合意を踏まえ、適切に対応するよう申し入れてきたが、発言を受けて、わが国の立場を改めて強く申し入れた」と述べました。

7月11日 14時03分
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