【ワシントン時事】トランプ米大統領は2日、中国の習近平国家主席との電話会談で、北朝鮮の核・ミサイル問題への懸念を表明するとともに、「均衡の取れた貿易」を目指す決意を伝達した。

 米側は北朝鮮問題の打開や貿易赤字の縮小でカギを握る中国に一層の取り組みを促すため、相次いで強硬姿勢を示している。

 米政府は6月29日、北朝鮮の核・ミサイル問題に絡み、中国の丹東銀行などを制裁対象に加えると発表。ミサイル部品を含む約14億ドル(約1570億円)相当の兵器を台湾に売却する方針も議会に通知した。

 今月2日には、中国が実効支配する南シナ海・西沙(英語名パラセル)諸島近海に米艦を進入させる「航行の自由作戦」を実施。中国外務省の陸慷報道局長は直ちに「深刻な政治的・軍事的挑発行為だ」と非難した。

 もともとトランプ氏は中国に厳しい姿勢を見せていたが、4月上旬の米中首脳会談後は態度を一変。習主席について「相性は非常に良い」と持ち上げるようになった。最近の強硬姿勢は、北朝鮮問題打開の糸口が見えないいら立ちを背景に、対中政策を元に戻したようにも見える。

 それでも、北朝鮮の貿易取引の約9割を占める中国の協力がなければ、核・ミサイル問題の前進は望み薄という状況に変わりはない。貿易問題でも、中国は6月に2003年以来停止していた米国産牛肉の輸入再開を発表しており、米国としては対中関係の決定的悪化は避けたいのが本音だ。 

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