加計学園グループの敷地内に自民党支部が存在した
7/3(月) 7:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170703-00000002-pseven-soci

 安倍晋三首相にとって40年来の「腹心の友」加計学園理事長・加計孝太郎氏が代表を務める自民党岡山県自治振興支部の所在地は、「岡山市北区学南町(番地省略)」と届けられている。

 本誌記者がその住所を訪ねると、3階建て校舎が建ち「英数学館 岡山校」の看板が掲げられていた。加計グループの学校法人・英数学館(理事長は加計氏)が経営する通信制高校・並木学院高校の岡山校である。この番地に他の建物はない。

 学校法人の理事長である加計氏が自民党支部の代表を務めていることは違法ではない。安倍首相側近の世耕弘成・経産相も参院議員と近畿大学理事長を兼ねていたことがある。しかし、学校の運営と政治活動は厳密に分けなければならない。教育基本法(14条2)では、こう定められている。

〈法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない〉

 この支部の政治資金収支報告書によると、2015年の会員は56人で、3年間(2013〜2015年)、毎年、収入は少ないがすべて使い切っている。学校を事務所に使って「何らかの政治活動」が行なわれているということになる。憲法学者の上脇博之・神戸学院大学法学部教授が指摘する。

「特定の政党の支部を校内に置くというのは、当然、その学校法人が政治活動を行なっていると考えるべきです。そうなると教育基本法の趣旨に抵触している可能性があります」

 学校法人を経営する加計氏が、教育基本法に反しているとすればコトは重大だ。現在、同学園の獣医学部新設をめぐっては文科省の大学設置・学校法人審議会の審査が行なわれており、8月にも認可・不認可の最終答申が出る。教育基本法違反の疑いがある人物が経営する大学に新設を認めれば、それこそ「教育行政をねじ曲げる」ことになる。

 本誌は取材のために、同支部の収支報告書にある事務担当者の電話番号にかけた。

「こちら英数学館です」

──自民党自治振興支部ですか?

「違います。英数学館です」

 本誌記者がこの電話番号と所在地が自民党支部として届け出がなされていることを説明すると、「加計学園の相談役」を通してほしいと説明を拒否された。では、加計氏の自民党支部はどんな政治活動を行なっているのか。

 自民党の都道府県連には、建設業、石油販売業、トラック業界など業種毎の多くの職域支部が置かれ、集票・集金活動を担っている。

 岡山県自治振興支部は1982年に設立され、「旧自治省出身の自民党議員を長く支援していた」(自民党関係者)とされる。加計氏が代表に就任したのは1994年からだが、前述のように3年分の収支を見る限り収入は小さく、2015年度も会費7万2800円のみである。岡山の政界関係者は、加計氏の力は「集票力」にあると語る。

「加計学園は多くの学校を抱えるから建設業者、検査機器、事務機や食品関係に至るまで出入り業者が相当な数にのぼり、取引を通じて多くの票を動かせる。加計氏本人は与野党のパーティー券を買ってくれるが、カネより集票力で地元・岡山をはじめ中国地方の政界に強い影響力を持っている」

 この支部も集票マシンの一角をなしているようだ。