埼玉県東松山市の都幾(とき)川河川敷で昨年8月、吉見町の井上翼さん=当時(16)=が遺体で見つかった事件で、傷害致死罪に問われた無職少年(18)の裁判員裁判の公判が29日、さいたま地裁(栗原正史裁判長)で開かれた。遺族は「なぜ殺人でなくて傷害致死なのか」「死刑にしてほしい」などと意見陳述した。

 弁護側の被告人質問では、被告少年が「(井上さんの)大事な命を失わせてしまい、申し訳ない」と謝罪。共謀したとされる5人が1人ずつ順番に井上さんに暴行を加えた段階で「(井上さんへの)怒りはなかった」と答えた。

 被告少年が遺族に送った手紙で「翼君に助けられたと思っています」とつづったことについて検察側が質問すると、少年は「死んでしまったのはひどいことではあるが、それを機に変われるチャンスをもらえた」と説明した。

 遺族の意見陳述では、検察側が井上さんの母の「翼はあなたをまっとうにするためのいけにえだったのか」と憤る気持ちを代読した。被害者参加している兄は「実家に帰ればいつも(井上さんが)笑顔で迎えてくれた」と思い出を話し、「犯人は社会に出てきていい人間ではない」と涙ながらに訴えた。

http://www.sankei.com/affairs/news/170630/afr1706300020-n1.html