https://news.yahoo.co.jp/byline/abumiasaki/20170629-00072687/

性の多様性を祝うプライド・ウィークがノルウェーの首都オスロで開催中。6月23日〜7月2日までに各地で様々なイベントが開催される。

28日からは中心部の広場や通りに「プライド・パーク」が設けられ、各政党や団体がスタンドを設置。誰もが生きやすく、誰もが同等の権利をもつために、どのような活動をしているかを人々に説明する。

LGBTIの人々が安心して立ち寄れるように、プライド・パークの入り口ではセキュリティチェックがあり、警察官も周辺を歩いている。

性の多様性が進んでいるとされる国だが、それでもまだ家族や周辺から差別や偏見を受け、ありのままの自分で生きられない人がいる。今年のプライド・ウィークのキャンペーンでは、「安心してパレードに参加できない人のために、私が、私たちが代わりに歩こう」というものだ。

「怖がるあなたの代わりに私たちがLGBTパレードに参加する」ノルウェー首相も呼びかけ

プライド・パークは、国会議員がいる国会と、地方議員がいるオスロ市庁舎の間にある。空き時間があると、政治家たちが自分たちのスタンドを連日訪れる。首相や大臣が突然ひょろりと立ち寄る光景は、政治家と市民の距離が近いノルウェーならではかもしれない。

各政党には性の多様性を目指す政策があり、広場では市民と党員たちが意見交換をしやすいように、ホノボノとした環境が整っている。

ノルウェーの二大政党といえば、右派の「保守党」(与党)と左派の「労働党」(野党)だ。両党の青年部トップに、政治家がプライド・ウィークで視覚化されることの必要性の理由を聞いてみた。

「労働党は誰もがありのままでいられることを長い間支持してきました。このような場所に政治家が来て、そのことを表明することは非常に重要。性の多様性を目指すことは重要だと、どの政党も同意しています。たくさんの政治家たちがここに集っていることは素晴らしいこと」。

「今でも同性愛者だと公言したり、カミングアウトすることを難しく思っている人がいます。ノルウェーはこれからも、もっともっとこの分野において前進した国でありたいのです。労働党では今年は第三の性を重要政策として掲げ、さらに多くの人が法的に子を持つ親になれることができるようにしていきます」。労働党青年部のアグネス・ナーラン・ヴィリュグラインさんはそう語る。

ノルウェーのアーナ・ソールバルグ首相が所属する保守党青年部のリーダー、クリスチャン・トニング・リーセ氏はこう話す(冒頭写真、右)。「性の多様性を目指していることを、人々に目に見えるかたちで伝えるためにも、政治家がこのような場所に来ることは重要です。性、文化、背景が異なっても、ノルウェーはみんなに寛容な国であろうとしています。ノルウェーは確かに性の多様性においては進んでいますが、それでもまだ、ありのままのじぶんでいることに難しさを覚えている人がいます。政治家がここに来ることで、かつては不名誉だとされていたことが、少しでも標準化される効果があると思います」。

オープニングセレモニーでは、同性婚をしているベント・ホイエ保健・ケアサービス大臣(保守党)が登場。男子が男子を好きで、女子が女子を好きであることが普通になってきたノルウェーを祝福した。

プライド・ウィークで唯一スタンドを設置しないことで有名な政党がある。与党に閣外協力するキリスト教民主党だ。しかし、党首は昨年のパレードに参加し、世間をあっと驚かせた。