「加計学園」のヒートアップで、すっかり影の薄くなった「森友学園」。だが、ここに来て、再びスポットライトを浴びることになった。
国有地を破格の9割引きで払い下げられた疑惑が発覚してから4カ月。ついに、大阪地検特捜部が強制捜査に乗り出した。
すると、籠池泰典前理事長(64)の長男、佳茂氏(36)が、「加計は官邸の指示で雲隠れした」と激白するのだ。

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6月19日の夜7時過ぎ、大阪地検特捜部の係官数十人が、森友学園の運営する幼稚園や籠池前理事長の自宅への家宅捜索に着手した。

司法担当記者によれば、「大阪地検特捜部は、国交省から小学校の校舎建設工事に関して約5600万円の補助金を
不正に受け取った補助金適正化法違反容疑と、大阪府から幼稚園の職員数を誤魔化して約6200万円の補助金を不正受給
した詐欺容疑での訴えをそれぞれ受理し、捜査を進めてきました。
強制捜査がこのタイミングになったのは、政治への影響を考慮し、国会が閉幕するのを見計らっていたからです」

そのうえ、籠池前理事長の逮捕は、もはや時間の問題だという。

「国会の証人喚問やメディアにも度々登場した籠池前理事長は世間に広く顔が知られているため、
逃亡のおそれはないと大阪地検特捜部は判断した模様です。なので、まずは家宅捜索によって押収した資料の分析を進め、
証拠固めをしてから逮捕に踏み切るという方針です」(同)

■なぜ父だけ

そこで、自らを“籠池砲”と称する籠池前理事長の長男だけあって、佳茂氏は司直の手が伸びたことにやはり黙っていられない。

「父は、不条理を感じつつも、逮捕される覚悟はできています。しかし、このガサ入れのタイミングは異常ではないでしょうか。
安倍総理は同日の午後6時からの会見で、森友学園や加計学園の問題について説明不足であったと認め、国民に謝罪しています。
本来、大々的に報じられるべき内容です。ところが、会見直後、うちにガサが入ったために、トップニュースの扱いではなくなりました」

大阪地検特捜部が、総理の意向を忖度し、わざわざタイミングを合わせていたのではないかという。

「だいたい、国会の証人喚問にしても、なぜ父だけが呼ばれ、加計孝太郎理事長が呼ばれないのか理解できない。
父は昭恵夫人との関係を追及されましたが、加計さんの場合は安倍総理その人との関係です。
投じられた税金の額も、うちとはケタが違う。なのに、加計さんは一度も説明責任を果たすことなく、ずっと雲隠れをしたままです」(同)

「森友問題」が噴出した当初、籠池前理事長は、顧問弁護士を通じて財務省の役人から“10日間でいいから身を隠してくれ”と要請があったことを明かしていた。

「ほとぼりが冷めるまで、当事者の口を噤ませるというのが、安倍官邸の手口ではないでしょうか。
加計さんも安倍官邸あるいは文科省の役人から指示されて、雲隠れしているに違いありません」(同)

父親の疑惑は棚上げで、多少言いたい放題の面はあるものの、佳茂氏の発言に三分の理があるのも確かである。

盤石に見えた安倍一強体制に亀裂を生じさせた2つの学園の疑惑。この先も、安倍総理のストレスの原因になるのは間違いない。

「週刊新潮」2017年6月29日号 掲載
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170629-00523030-shincho-pol