安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画に絡み、京都産業大でも獣医学部新設の動きがあることを知った日本獣医師会側が、計画阻止のために、現職大臣らに激しいロビー活動を行っていたことが29日、分かった。

国家戦略特区諮問会議は平成28年11月9日、約50年間新設されていない獣医学部について、
「広域的に獣医師の養成大学等の存在しない地域に限り、獣医学部の新設を可能にするための関係制度の改正を直ちに行う」と決定した。

日本獣医師会はこの決定に激しく反発。「決定撤回もしくは1校のみ」を求めて、蔵内勇夫会長や日本獣医師政治連盟委員長を務める北村直人衆院議員ら日本獣医師会幹部らが、政界に働きかけたという。

日本獣医師会は今年1月30日に発行した会報の「会長短信春夏秋冬」の中で、「粘り強い要請活動が実り、関係大臣のご理解を得て、何とか『1校限り』と修正された」と、ロビー活動の“成果”を強調している。

働きかけた相手として、山本幸三地方創生担当相、松野博一文科相、山本有二農水相、麻生太郎副総理兼財務相、森英介元法相(いずれも肩書は平成28年11月当時)の名前が挙げられている。

日本獣医師会のロビー活動が影響したのかは不明だが、今年1月4日付で「1校に限り」と修正された改正告示が官報に公布、施行された。

一方、共産党の小池晃書記局長は独自に政府関係者から入手したとする政府の内部文書を根拠に、「原案には『広域的に』と『限り』という言葉がなかった」と指摘している。

小池氏は「(昨年11月9日の決定に)2つの言葉が入ったことで、隣県に大阪府立大獣医学部があった京都産業大は断念せざるを得なかった」とし、加計学園に有利になるよう文言が修正されたと主張した。

それに対し、山本地方創生担当相は「今治市や加計学園ありきで制度を改正したわけではない」と反論している。

小池氏の主張では、日本獣医師会のロビー活動の前に京産大の計画が頓挫していたことになる。
いずれにしても、未だに「矛盾だらけの決定」として加計学園の獣医学部新設に反対している日本獣医師会が、
自身の働きかけで「1校」の新設を後押しし、加計学園に有利な状況を導き出すという皮肉な結果になっている。

http://www.sankei.com/smp/politics/news/170529/plt1705290037-s1.html