海未「>>3」
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『海未ちゃんの別荘』ドジャァァァァァァン
海未「うぅ、夢にまで見た私のお城…なんて立派なんでしょうか」グスッ
海未(50年ローンですが…今はそんな事は考えずにこの幸せを噛みしめたいです)
海未「さぁ>>8、一緒に中に入りましょう」 穂乃果「……」ブルブル
海未「? 穂乃果、何をしているんですか。ほら、行きますよ」リードグイッ
穂乃果「ぐゔぅっ!……う、海未ちゃん…やめ…」
バチンッ!
穂乃果「っっ……!」 海未「おかしいですね。穂乃果は私のペットで犬です。犬が人語を話すはずはありませんね??」
海未「以前折檻した時にキチンと躾けたつもりでしたが、もう一度お仕置きが必要ですか?」ニコッ
穂乃果「ひっ…!…わ…わんっ! わんわんっ!」
海未「よろしい。教えた通りに出来ましたね。偉いですよ」ナデナデ
穂乃果「……」ブルブル ──別荘の中
キラキラキラキラ…!
海未「見て下さい穂乃果! このきらびやかな内装…! 奮発した甲斐がありました」フフッ
穂乃果「……」
海未「……穂乃果? おかしいですね…犬ならば走り回ったりして喜びを表現する所だと思うのですが」
穂乃果「!! わ、わんわんっ! わーんっ!」タッタッタッ
海未「ふふ、そうですか。穂乃果も嬉しいですか」 海未「でも…穂乃果?」
穂乃果「?」タッタッタッ
海未「あまり家の中で走り回ってはいけません…よっ!」グイッ
ギュッ!
穂乃果「グエッ!? ゲホッゲホッ!!」 海未「全くもう、はしゃぎ回るからそうなるんです。穂乃果は仕方のない犬ですね」
穂乃果「…ゲホッ…ウ…ウミチャン…」
海未「……」ジッ
穂乃果「ヒッ…! く、くぅ〜ん! キャインキャイン!」
海未「はい、よく出来ました」ニコニコ 海未「かしこい穂乃果にはご褒美をあげなくてはいけませんね」
穂乃果「……ケホッ…」
海未「おや? 嬉しくないんですか?」
穂乃果「! わ、ワンワンッ!」コクコクッ
海未「ふふ。ではご褒美を用意してきますから、お座りして待っていて下さいね?」 ガチャ…バタン
穂乃果「……」
穂乃果(海未ちゃん……なんで…どうしてこんなことになっちゃったんだろ…)
穂乃果(昔みたいな、いつも優しい海未ちゃんは…)
穂乃果(……ダメだ。そんなの今考えても仕方ない)
穂乃果(今は何とかここから逃げだす事を考えないと─) ガチャ
海未「お待たせしました」
穂乃果「!」
海未「ちゃんと待てましたね。偉いですよ穂乃果」ナデナデ
海未「それではご褒美をあげましょう」
ご褒美>>25 食事として食べるほうなのか性的に食べるほうなのか
どっちでも地獄 コトッ
海未「穂乃果はお肉が好きでしたよね?」
穂乃果(犬用のお皿…)
海未「取れたての新鮮なお肉です。味わって食べて下さいね」
穂乃果(ナイフとかフォークとかは…って、言ったら絶対またぶたれる…)ブルッ
海未「?」ニコニコ ことりちゃんとは言ってない!若鳥の唐揚げ的なのかもしれないだろ!? 穂乃果(這いつくばって食べるしかないか…手も使わないように─)
穂乃果(……というかコレ、何の肉だろ?)クンクン
穂乃果(うっ、すっごいニンニクの香りがする…コレはいくら何でも効かせすぎ…)
穂乃果(見た目は鶏肉っぽい? しっかり火が通してあってちょっと美味しそうかも)ゴクリ
海未「…」ニコニコ 海未「穂乃果、遠慮は要りませんよ。私からあなたへのご褒美なんですから」
海未「さ、たんと食べて下さい」
穂乃果「……」
ハグッ…
穂乃果(……? なんか、鶏肉にしては硬いような気がする…筋ばってるというかなんというか…?)ムシャムシャ
海未「フフッ、フフフフフ……」
穂乃果「?」
海未「そのお肉、美味しいですか? 捕まえるのにずいぶん苦労したんですよ?」クスクス ことりちゃんは柔らかそうだけど人間はそもそも硬いっていうよね… 基本食えたもんじゃないがしいて言うなら頬が一番マシだったぞ 穂乃果(捕まえる?……あ、ジビエのお肉ってことか)
穂乃果(でも海未ちゃん猟師の免許とか持ってたっけ?)
海未「ずいぶんと暴れられましてね。見て下さい、ここの傷。引っ掻かれてしまったんですよ」
穂乃果「……」
穂乃果「……え? ま、待ってよ海未ちゃん…その傷って─」
グイッ
穂乃果「グッ!?」 海未「あなたは犬です。人の言葉は話せません。何度言わせるんです?」ギロッ
ギュゥゥゥゥゥ…!
穂乃果「グェッ…ア……ガ……ウ…ウミ…チャン……」
海未「穂乃果、私も辛いんです」
海未「ですが─穂乃果は犬なんです。キチンとしつけをしなければダメなんです…」グスッ
ググググググ…
穂乃果(あ…………意識…………が………)
────
──
─ 俺2年生3人大好きなのに何でこのスレ見て笑ってるんやろ… ──
穂乃果「……う?」パチッ
穂乃果「ケホッ…気絶してたのか…」キョロキョロ
穂乃果(寝室…別荘の中の一室か)
穂乃果(? あれ、何だかこの部屋見覚えがあるような気が……ん?)
穂乃果(!! 首輪がついてない……!)
穂乃果「……」
>>62
1.じっとする
2.部屋から出る
3.部屋を調べる 穂乃果(何でだろう、どうして見覚えがあるように感じたんだろう?)
キョロキョロ…
穂乃果(ベッド、机、カーペット、カーテン、小物……何なんだろう、この懐かしい感じ…)
スタスタ…
穂乃果(そう、ここにクローゼットがあって─)
カチャ…
穂乃果「!」 穂乃果『μ’sのファーストライブ、最高のライブにしよう!』
ことり『うん!』
海未『勿論です!』
穂乃果「高校生の時の─ファーストライブの衣装…」
穂乃果(そうだ、思い出した。この部屋は)
穂乃果(──ことりちゃんの部屋だ) 本物のことりの部屋じゃなくて別荘の中に模した部屋がある…のか? ガチャ
穂乃果「!」
海未「目が覚めましたか。良かったです……穂乃果まで目を覚まさなくなってしまったら私はもうおかしくなってしまう所でした」グスッ
穂乃果「……」
海未「さ、首輪を付けましょう。穂乃果は犬なんです、犬ならば安全なんですから」
穂乃果「……どうして? 海未ちゃん…どうしてこんな部屋を作ったの?」 海未「この部屋だけではありませんよ。私の部屋も、穂乃果の部屋もあります」
海未「よく互いの部屋で泊まり合いましたよね? フフフ、あの頃は本当に楽しかった…」
穂乃果「そんなこと聞いてないっ!! どうしてこんなことするの!?」
海未「この別荘に三人で暮らすんですよ。私とことりと穂乃果、きっと毎日楽しいです」
穂乃果「何、言って……?」
海未「! そうだ! μ’sの皆を呼ぶのも楽しいかもしれませんね。部室を作って、九人でいつまでも笑い合って過ごすんです」 穂乃果「……やめてよ」
海未「皆がいれば大丈夫です。私が皆を守ります。もう熊が襲ってきても怖くなんてありません」
穂乃果「やめてよっ!!」
ガシッ
穂乃果「もうやめてよ、海未ちゃん……」グスッ
穂乃果「ことりちゃんはもういないんだよ……こんな部屋作ったって、もう戻ってこないんだよ…」ポロポロ
穂乃果「あの事故は海未ちゃんのせいじゃない、誰のせいでもないんだよ……こんな事したって、ことりちゃんは喜ばないよ…」 海未「……」
海未「ことりなら、いますよ」
穂乃果「え?」
海未「今、穂乃果の中にも、私の中にもいます」
海未「私達の中で、生きています」
穂乃果「違うよ、海未ちゃん……私が言いたいのはそういうことじゃなくて」
海未「いいえ。います」
海未「今も、部屋の外で待っています」 穂乃果「部屋の外?」
海未「連れてきますよ。ことりは…歩けないですから」
ガラガラガラガラ
穂乃果(ワゴン?……お皿に蓋がしてある…)
穂乃果「こんなにいっぱい…何の料理?」
海未「料理ではありません。ことりだと言ったでしょう」
パカッ 穂乃果「!? うっ……!? ウプッ…!!」
穂乃果(何、このにおい…!)
海未「私としたことが一つ忘れていました」
海未「ことりはニンニクが嫌いでしたね?」
海未「先ほどは申し訳ないことをしました」
海未「ことりはことりのままでいいんです」
パクッ
海未「ふふ、ふふふふふふ……」ムシャムシャムシャ 穂乃果「……」クラッ…
海未「さぁ、穂乃果も一緒に食べましょう。ことりは私達の中で生き続けるんです」ムシャムシャ
海未「これで私達三人は─いつまでも一緒ですよ?」ニコッ
穂乃果「……グッ! オェェェェェェェェ!!」
ビシャシャシャシャ…
海未「!! ああ、ことり! ことりっ!!」ガバッ
海未「ことり、ことり……」ジュルジュルジュル…
穂乃果「……ことりちゃんの遺体を盗み出したのは……私が食べた肉は……」ブツブツブツ 穂乃果「あはははは……そっか、私の知ってる海未ちゃんはとっくにいなくなっちゃってたんだ…」
穂乃果「ねぇ、ことりちゃん?」
パカッ
穂乃果「うん、そうだよ穂乃果ちゃん」
穂乃果「ことりが熊さんに食べられちゃった時から、海未ちゃんは海未ちゃんじゃなくなっちゃたの」
穂乃果「海未ちゃんは悪くないよって何度も伝えたの。あの時もことりの事を守ろうとしてくれたって」
穂乃果「けど、海未ちゃんは自分の事を許してあげられなかったの」
穂乃果「自分がことりの事を登山に誘わなければよかったって…ずっとずーっと自分の事を責め続けて」
穂乃果「海未ちゃんは壊れちゃったんだ」 穂乃果「……そっか」
穂乃果「海未ちゃんは海未ちゃんじゃなくなっちゃったんだね」
穂乃果「それなら─」
カチャ…
海未「? 穂乃─」
トスッ…
────
──
─ ──1ヶ月後
スタスタスタ…
絵里「皆で集まるなんて久しぶりね」
真姫「そうね。希とにこちゃんは?」
絵里「後から合流するって。花陽と凛は?」
真姫「同じ。ていうか私達が早すぎなんじゃない?」
絵里「そうかも。皆に会えるからウキウキしてるのかしら」クスクス
真姫「……まぁ、そうかもね」
絵里「あら、意外と素直」
真姫「あのね、私だってもういい大人だから」 スタスタスタ…
絵里「でも、本当に良かったわよね。穂乃果と海未の方から連絡してくれるなんて」
真姫「ええ。ことりの事があって以来、私たちもどうしていいか分からなかったから…」
絵里「すぐに元通り、なんて無理だと思うけど…できる限り力になってあげたいわね」
真姫「そうね。ことりも…早く見つかって欲しい」
絵里「……ええ」 スタスタスタ…
ザザーン…ザザーン…
絵里「あ、見えてきたわ。あそこね」
真姫「それにしても海未もずいぶん辺鄙な所の別荘買ったわね」
絵里「海も近いし、こういう場所の方が落ち着けるんじゃない?」
真姫「海未の別荘だけにね」
絵里「……?」
真姫「いいわ。忘れて」 絵里「違うの。真姫の冗談の方じゃなくて…あれ」スッ
真姫「なに?」
絵里「何だか……やけに鳥が集まってない?」
ギャァギャァ…ギャァギャァ…ギャァギャァ…
真姫「……ホントね」
絵里「ね、ねぇ真姫…海未の別荘って…あの家で合ってるのよね?」
真姫「…とにかく行ってみましょ」 ──別荘前
キィ…キィ…
ギャアギャアギャアギャア…! バサバサバサッ…!
絵里「ま、真姫……!」ヒシッ
真姫「……買ったばかり、よね…?」ボソッ
真姫(荒れ放題で、全然人がいるようには思えない…でも海未と穂乃果からは確かにここだって連絡が…) ザザーン…
真姫(……!!)
真姫(潮の匂いに混ざって、分かりづらいけど……)クンクン
真姫(これ…………死臭…よね?)
真姫(嘘でしょ? 二人に何があったの……!?)ゾワッ 真姫「…」グッ
絵里「ま、真姫?」
真姫「私、中の様子を見てくる」
絵里「! だ、ダメよ! こんなの絶対普通じゃない! 警察に連絡して─」
真姫「なんて説明するつもりよ? 家の様子がおかしいってだけでこんな所まで急行してくれると思う?」
絵里「それは……」
真姫「大丈夫。私が様子を見てくるから絵里は外で待ってて、すぐ通報出来るように」 絵里「……分かった。私も一緒に行くわ」
真姫「何が分かったのよ? 外で待っててって言ったでしょ?」
絵里「素直になったと思ったけど、まだまだ意地っ張りね真姫。足、震えてる」
真姫「!」
絵里「ふふ、なぁんて…こんなこと言っておきながら、私も震えてるんだけど。行きましょう、二人一緒なら大丈夫」ニコッ
真姫「……ありがと」 キィ…キィ…
ギャアギャアギャアギャア…!
真姫・絵里「…」ゴクッ…
>>108
1.正面扉へ
2.別荘の裏へ回る
3.窓から中の様子を見る
4.庭へ行ってみる ──外庭
絵里「こっちはお庭みたいね」
真姫「ええ。立地はともかく、ずいぶん立派な別荘ね。庭もかなり広いみたいだし」
絵里「真姫が言うと説得力が凄いわね…」
真姫「でも、やっぱり庭の方も全然手入れされてないわね。草が伸び放題で─」キョロキョロ 真姫「! 絵里、あれ何かしら」
絵里「? 何って…木の板が地面に挿さってる、わね。何かしら?」スタスタ
ピタッ…
真姫「? 絵里?」
絵里「なに……これ……」
『本物の海未ちゃんのお墓』 真姫「!?」ゾワッ…
絵里「何よこれ……どういうことなのよ!? 何で海未の名前が…!!」
真姫「……絵里、見て」スッ
真姫「この辺りだけ、全然雑草が生えてない……」
絵里「じゃあ海未は、海未は……」
絵里「埋め、られ、て……?」
フラッ…
真姫「! 絵里!」ガシッ 絵里「……」
真姫「絵里! 絵里!」
真姫(気を失ってる…無理もないか、私だって今にも気が遠くなりそう…)
真姫(でも、私まで倒れるわけにはいかない。何が起こってるのかを把握して、冷静な対処をするのよ)スーハー
真姫(とりあえず、絵里をどこかに寝かせて─)
あははははははははは……!
真姫「ひっ!?」 真姫(笑い声…別荘の中から…!?)
真姫(それに、今の声は……)
真姫「…………ほの、か?」 真姫「……」
ドクン…ドクン…
>>124
1.声のした方へ向かう
2.絵里が目覚めるまで待つ
3.他のメンバーへ連絡
4.庭を掘り返してみる 寝ます。安価次第で微妙に終わり方変わるかも?なノリです prrrrrrrrr…
prrrrrrrrr…
prrrrrrrrr…
prrrrrrrrr…
真姫「……」
『……』
真姫「! もしもし、にこちゃん?」
『……』
真姫「ちょっと、着信に気づいたなら早く出てよね」
『……』
真姫「? にこちゃん?」 『……』ムシャ…ムシャ…
真姫「……ちょっと、何の音よ…それ…』
『……』ゴクン…
真姫「ねぇ…にこちゃん! にこちゃん!!」
『……』
『あはははははははははははははは!』
終わり 残念ながら>>104からとか
しまむらじゃなくてもんじゃでも書いてるから、多分本物 >>8だけど見損なったわ
2度と安価スレなんて書くなよゴミ まあ納得できるオチにするのは難しいかなと思う
ハラハラするけど目が話せないSSだった。乙でした >>122から
にこ『もしもし?』
希『お、誰から電話?』
凛『にこちゃんの反応的に…真姫ちゃんと見た!』
花陽『わ、分かるの凛ちゃん?』
凛『うん。スマホの画面見た時にちょっと嬉しそうに見えたから』
希『ふふ、会うの久しぶりだもんね。分かるよにこっち』
にこ『あーもう! うるさいわよアンタら! もしもし、真姫? 聞いての通りよ、途中で希達と合流したわ』
にこ『そんなにしないで着くと思うけど、あんたと絵里はもう着いてる感じ?』 真姫「……」フフッ…
にこ『ちょっと真姫ー? 話聞いてんのー?』
真姫「……うん、聞こえてる。皆元気そうね」
にこ『そりゃもう元気も元気よ。さっきから凛と希の暴走コンビが─』
凛『希ちゃん、ドリフトドリフト!』
希『ウチに任しときっ!』キキィッ!
花陽・にこ『どわピャァァァァぁぁぁぁぁ!?』
にこ『コラァ希ぃ! 凛も煽るんじゃないってのよ!』
凛『希ちゃんのハンドルさばき凄い! 見惚れちゃう!』キャッキャッ
希『ふふ、照れるやん』ヘヘッ
にこ『こ、コイツら…!』
花陽『あ、安全運転……安全運転しよ? ね?』アワアワ にこ『はぁ…まぁ聞こえてたと思うけど、今の通りよ。全員憎たらしいほど元気よ』
にこ『穂乃果と海未は? 着いてるならもう会ったんでしょ?……元気そうにしてる?』
真姫「……これから確かめてくるわ」
にこ『……は?』
真姫「ありがと。にこちゃん達の声聞いたら、勇気が出てきたわ」
真姫「私が確認してくる。大丈夫、穂乃果も海未も……きっと大丈夫…」
にこ『真姫? ちょっと待ちなさい。アンタ何を言って─』
ブツッ… 真姫「……」フー…
真姫「……」チラッ
絵里「……ん」
真姫(絵里が起きるのを待ってる暇はない。待っていたら、にこちゃん達が到着してしまう)
真姫(もし、穂乃果達の身に…何かあったのだとしても)
真姫(それを見るのは…私一人でいい。いずれ知ることになるにせよ、最初に確認するのは……私だけでいい)
真姫(……我ながら、頑固者ね、私)
キィ… ──別荘内
キィ…
真姫「! ウッ……!?」
真姫(死臭…外でかすかに感じたのと同じ……けど)
真姫(別荘の中は─『かすか』なんてものじゃない……! この臭い…今にも胃の中がひっくり返りそう…!)ウプッ 真姫「…ゲホッ…ゲホッ!」
真姫(これで、この別荘の中に死体があるのは間違いない。それも、死後相当に時間が経ってる…)
真姫(問題はたった一つ、それが…誰の死体なのか)
あはははははははは……!
真姫(!! また笑い声…! そう遠くはな─)
真姫「…………え?」 真姫(……さっき外で聞こえてきた声とは、違う…穂乃果の声じゃ、ない…)
真姫(冗談、よね? 今の声は─)
真姫「……ことり?」 真姫(そんなはずない…ことりはもういない)
真姫(不幸な事故だった。痛ましい姿で病院に運ばれてきた。皆でたくさん泣いた。その上─遺体が盗まれた)
あはははははははは……!
真姫(生き返って動きだしたのでなければ……この声は─だれ?)
フラッ…
真姫(頭が……クラクラする)
真姫(ダメよ……知らなくちゃ……確かめなくちゃ…)フラフラ… ──
フラフラ…
真姫(声は、こっちの方から聞こえた…この部屋?)
カチャ…
真姫(誰もいない…けど、この部屋…)
真姫(ベッド、机、カーペット、カーテン、小物……何かしら、私、この部屋の持ち主を知ってるような気がする…)
カラン…
真姫「……?」ヒョイ
真姫「ナイフ……? はは、真っ黒ね…」
真姫(ああそうか…てっきり真っ黒なカーペットなのかと思ったけど)
真姫(血で、黒く染まってたのね…) カチャ…
フラフラ…
あはははははははは!
真姫(近い……)フラフラ…
真姫(足を進める度に─死臭が強くなる…)
真姫(少しずつ、自分の意識が朦朧としてくるのを感じる…)
真姫(でも、それでも─)グッ
カチャ… ブーン……!
真姫(扉を開けた瞬間、無数のハエが目の前で舞った)
真姫(同時に胃液が逆流して、喉元までせりあがってくるのを感じる)
真姫(経験したことのない強烈な腐敗臭が、私の鼻を突き抜けたからだ)
真姫(それでも私は膝をついて嘔吐したりせず、呆然として突っ立ったままだった)
真姫(それほどまでに私の目の前にうつし出された光景は、私の想像の範疇を超えていた) ムシャムシャ…ムシャムシャ…
海未「あ、真姫ちゃん。久しぶりだね〜」
真姫「あなた…………海未……?」 やっぱもんじゃ糞だわ
ンミチェア刺されたじゃないのか…… 海未「海未ちゃん? もう、違うよぉ真姫ちゃん」
海未「久しぶりだからって顔を忘れられるのは傷ついちゃうなぁ、私は海未ちゃんじゃなくて─」
海未「ことりだよ。南ことり。ね、思い出してくれた?」ニコニコ
真姫(あんなに綺麗だった髪も、容姿も…見る影もなくなってしまったけれど─)
真姫(私の目の前にいるのは確かに─海未だ)
真姫(けれどその声や仕草は海未のそれではなくて─ことりそのものだった) 海未「私ね、皆ともっとお喋りしたかったし、お茶もしたかったし、出かけたりもしたかったの」
海未「だから穂乃果ちゃんと海未ちゃんにお願いして、μ’sの皆を呼んでもらったんだ」
海未「えへへ、真姫ちゃんに会えて嬉しいなぁ。他の皆も来てくれるんだよね?」
海未「私がいるのは内緒にしてって伝えてあったから、びっくりしちゃったかな?」
海未「皆と話したいことがいっぱいあるんだ。…あ、でもその前に、まずは急にいなくなってごめんねって言わなきゃだよね」 真姫(海未がことりの声で話し続ける)
真姫(不思議と私は落ち着いて話を聞いていた)
真姫(あまりにも現実感のない光景が、私の中の感情を麻痺させている)
真姫(海未の隣に横たわる─腐乱した死体が二つ)
真姫(どちらも野生動物に食い荒らされたかのようにぼろぼろで、顔も判別できない)
真姫(けれど─私にはそれが誰なのか分かるような気がした) 真姫「穂乃果……ことり……」
海未「……」ピタッ
海未「……」
海未「……」
海未「……」
海未「……」
海未「! 真姫ちゃん! 来てくれてありがとう!」
真姫「……え?」
真姫「……穂乃果?」 海未「ねーねー聞いてよ! 海未ちゃんたらひどいんだよ?」
海未「穂乃果のことを犬みたいに扱ってさ、知らずにことりちゃんを食べさせたんだよ?」
海未「こんなの海未ちゃんじゃない! 本物の海未ちゃんはどこに行っちゃったんだろって思ったらね?」
海未「本物の海未ちゃんから手紙が来たんだよ!」
海未「だから誰かに知らせなくっちゃって思って……」
ピタッ… 海未「おや真姫。会いに来てくれたんですか」
海未「ふふ、穂乃果とことりもきっと喜びます。二人とも─」
ムシャムシャ…
ムシャムシャ…
海未「こうして、私の中で生きているんです」
海未「ふふ、ふふふふふ……」
海未「あはははははは!」
あはははははははははは……!! 真姫(笑ってる)
真姫(海未の声で、穂乃果の声で、ことりの声で─)
真姫(私の目の前にいるのは、海未? 穂乃果? ことり?)
真姫(夢の中のような、ふわふわした浮遊感の中で─)
真姫(私は私の右手に握られているナイフの事を思い出した) あはははははははは……!
真姫(もし、皆がこの海未に会ったら…会ってしまったら─)
真姫(正気でいられるのは─いったい何人いるだろう?)
カチャ…
真姫(ナイフを構えて、海未に少しずつ歩み寄る)
真姫(震えが指先から全身に広がって、まっすぐ歩くのが難しい)
真姫(視界がぼやけて、海未の姿もよく見えない)
真姫(それでも、私が……私がやらなくちゃ…)
「真姫」
真姫(海未の声がした) ────
──
─
絵里「……ん」パチッ
絵里(! 私、気を失って……)
絵里「!! え……」
ゴォォォォォ……!!
パチパチ…パチパチ…!
絵里「何で、別荘が燃えて…」 真姫「……目が覚めた?」
絵里「真姫!? いったい何があったの!? 穂乃果は!? 海未は!?」
真姫「……」
絵里「……真姫?」
真姫「私の言う事をよく聞いて」
真姫「ここには─何もなかった。誰もいなかった……いいえ。今日、私達はここには来なかった」 絵里「何を言って…」
真姫「もうすぐにこちゃん達が来ると思う。その時は絵里も私と同じ事を言って」
絵里「真姫っ!」
真姫「お願い!!」
絵里「!」
真姫「お願いだから……」グスッ
真姫「今は─今は何も聞かないで……」 ──
『本物の海未ちゃんのお墓』
「……」
ザクッ…ザクッ…ザクッ…
ガッ…
「……!」ヒョイ
『遺書』
「……」
パカッ
パラッ… 今日はここまでです。
明日で終わります、今度は嘘じゃないっす。 『この手紙は私、園田海未の遺書です。
どなたが見つけてくれたのかは分かりませんが、感謝致します。
通常、遺書とはこれから死ぬ人間が書く物ですが、私は既に死んだも同然。
これは死んだ人間が行う最期の告白です。』 『どこから書けばいいのか迷いますが……やはりあの日─ことりと私が登山に行った日の事から書くべきなのでしょうね。
ことりはあの時、私の目の前で熊に食べられてしまいました。
私はただ震えていました。
右腕にほんのわずかなかすり傷を負った後、体が全く動かなくなってしまったのです。
ことりはそんな私をかばいました。
あの時私を置いてことりが逃げてくれたならどんなに良かったか。』 『ことりの体が食いちぎられ、ことりのうめき声が少しずつ小さくなるに従って、私は不思議な感覚を味わいました。
呆然とことりを見ている私…その私を俯瞰する私に気づいたのです。
熊はことりの両脚を食べて満足したのか、私を放っていなくなりました。
ことりを犠牲にし、私が生き残りました。
その日からです。
私はよく記憶が飛ぶようになりました。』 『最初はごく短い時間でした。
それが時が経つにつれ、10分、20分と長くなっていき─1時間を超えた頃。
私を見る穂乃果の目が変わっていることに気づきました。
あんなに怯えた目をした穂乃果など、私は知りません。
何度理由を聞いても、穂乃果は答えてくれませんでした。
戸惑うばかりの日々が過ぎ、ある日、記憶が飛んだ後─
私の目の前に切り刻まれたことりの遺体がありました。』 『自分の右手を見下ろすと、黒ずんだ肉切り包丁が握られていました。
想像できるでしょうか。
意識が消えて、自分が何をしているのか覚えていない。
気がつけば見知らぬ場所にいて、目の前に無惨な親友の遺体がある。
その時の衝撃を。』 『私は穂乃果が私を恐れる理由が分かりました。
ことりが死んだあの日から、私の中には悪魔が棲みついたのです。
悪魔は私の意識を乗っ取り、私の体を使ってことりを切り刻みました。
私はただただ恐れました。
自分の意識が消えるのを恐れ、眠りたいと思う事がなくなりました。
それでも私が私でいられる時間は、どんどん短くなっていきました。』 『もし、切り刻まれたことりの遺体を見つけたあの時に戻れるならば。
私は迷う事なく自分の頸動脈を断ち切ると思います。
私の命が消えてしまえば、私の中の悪魔も消えてなくなると思うのです。
今はもう、遅すぎる考えですが。』 『これを書いている今、私の目の前には穂乃果の遺体があります。
穂乃果の首からは血が流れ、手にナイフが握られています。
いったい何があったのか、私には何も分かりません。
ただ、私が穂乃果を死に追いやった事だけは間違いないようです。』 『そろそろ自分の意識が遠くなりつつあるのを感じます。
ここまで書くことが出来てよかった。
次に私の意識が戻るのはもはや何日先になるのか分かりません。
下手をすればもう一生戻らないかもしれません。
それでも、もし次に私の意識が私の体に戻ったその時─私は、自分で自分の始末をつけようと思います。』 『そして願わくば、呼吸を止めた私の身体も、この家も、痕跡を残さずに全て焼き尽くしてしまいたい。
親友を見殺しにし、死に追いやったおぞましいこの身体など─跡形もなく消し去ってしまいたい。
どうかその願いが叶いますように。
さようなら。』 パラッ…
絵里「……ねぇ、真姫。海未はいったい…」
真姫「解離性同一性障害。いわゆる多重人格よ、多分だけど」
絵里「多重人格…」
真姫「一般的には幼少期のトラウマが発症の原因になる事が多いらしいけどね」
絵里「見つけてほしいみたいに、埋められてたのは…?」
真姫「海未の人格の一つ、穂乃果みたいな人格がやったみたいね。まぁ、穂乃果らしいっちゃらしいわね」 絵里「……」グスッ
真姫「? 何泣いてるのよ。そういえばにこちゃん達も泣いてたわよね」
絵里「何って……三人が可哀想だからに決まってるでしょ!? 海未もことりも穂乃果も、誰も悪くないのに、こんな…」
真姫「別に泣くような事でもないでしょ?」
絵里「!?」 真姫「三人とも死んじゃったけど、きっと向こうでも仲良くやってるわよ。なぁんて」クスクス
絵里「なにを……言ってるの…?」
真姫「! そうだ、絵里も一緒に食べましょう」ゴソゴソ
絵里「は……?」
真姫「海未に自分が自殺した後別荘を焼いてくれって頼まれて、その通りにしてあげたんだから─」 真姫「少しくらい貰ってきたって──罰は当たらないでしょう?」ニコッ
終わり 今度こそ終わりです。
私はことほのうみ大好きです。念のため。 ホラー映画の終わり方やな乙
難しい題材なのにようまとめて書き切った! ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています