0020名無しで叶える物語(らっかせい)
2021/04/15(木) 19:34:08.46ID:yf9Gbt+6遥「えっと……簡単なやつ……卵ってあったっけ……」
遥ちゃんのスマホを操作する手が震えてる
私が体調不良になるなんて、きっとあんまり考えてなくて、
お母さんもいないせいで、自分でどうにかしなきゃって不安なのかもしれない
料理をするのが苦手なのも……あるのかも。
でも、おかゆなんかより……
彼方「彼方ちゃんは、遥ちゃんが欲しいな〜……」
遥「え……っ?」
――ガタンッ
遥ちゃんの手からスマホが滑り落ちて、床に衝突した鈍い音がする
カバーが外れたのか、カシャンッと小さな音も聞こえたような気がしたけど
遥ちゃんはそれどころじゃなさそうな顔だった。
彼方「遥ちゃんが欲しい」
遥「わ、私ならここにいるよっ!?」
遥「ねぇっ……私だよ? 遥だよ?」
落としたスマホなんて見向きもしない
呆然とした顔のまま、私のそばにしゃがんで手を握ってくる
遥「やだよ……やだっ」
遥「わかるよねっ? 私……私のこと、わかるよね?」