一度思ってしまうと、
ふつふつと心の内側から欲求が湧き上がってくる

今朝抱きしめた感触、ぬくもり、匂い
抱きしめられた感触、ぬくもり、優しさ

すっかり記憶の中へと消え失せてしまった肌恋しさに
ほんの少しだけ涙ぐんでしまう

これは、あれだ。
一種の――ホームシックめいた感覚というものだろうか。

彼方「遥ちゃん……」

既読はまだついていない。
遥ちゃんは今学校だから、すぐに見れなくても何も不思議ではないのに
それが逆に、二人の間の距離感を感じさせて、彼方は寂寥感を覚える

周囲の子が、彼方が涙ぐんでいることに気づいてざわつく
何かあったのか、と心配そうに聞いてくる隣の子に、彼方は見向きもしないでスマホとにらみ合う

授業開始まで、あと1、2分
まだ既読はつかない


A、自由安価


>>128