愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」 2
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書き溜めあるなら大丈夫だと思うけどとりあえず24まで ──────
────
──璃奈のマンション エントランス付近
栞子「はぁっ……はぁっ……」タタタタタ
栞子(散々もう部活で身体を動かして、もう一日分の体力を使ったはずなのに……不安と焦りに似た、息苦しくなるような感情に追われて、脚が動きます)
栞子(高級車メーカーの店舗を尻目に駆け抜けて──横断歩道の向こう側のマンションに──)
愛「──────」
璃奈「──────」
栞子(見つけた──! 愛さんとやっぱり……)ハァハァ
栞子「天王寺さん……」ボソッ
栞子(二人が一緒に──愛さんがわざわざ遠回りするくらいですから、当然ですが……二人は一緒にいた……)ギリッ
愛「────」
璃奈「────」
栞子(二人はそのままマンションの中へ入り……エントランスラウンジの中で談笑しているようで……取り合えず、もっと近づきましょう)ササッ 栞子(スロープの先に二人が居て、私はそこからエントランスに向かわず、誰も居ないタイミングでラウンジの近くの植え込みに身体を忍ばせます)
栞子(二人は外から見えにくい場所で、手を……指を、絡めて話しています。絡めて……)
栞子「……ッ」
栞子(そこから目が離せない。不安と焦りはさらに強く、より心臓が早鐘を打つ。息を吸う、吐く、それすらが苦しいと感じるのは、どうしてでしょうか)
愛「──」
璃奈「──」
栞子(最後に二人が微笑みあった後……天王寺さんが顔を赤らめて視線を反らします)
愛「──」ソッ
栞子(! 一瞬、愛さんが周りを見渡そうとしたので、私は植え込みの中で小さく屈みます。先ほどよりさらに視界は悪くなりましたが……まだ、辛うじて)
璃奈「……」スッ
栞子(目を閉じて、背伸びをする天王寺さん。そんな天王寺さんの顎をそっと支え、愛さんは優しく顔を近づけて──)
栞子「……嘘」 この世で一番見たくない状況。二人がお互いに一番であることを、言葉よりも態度よりも、何よりもわかりやすい行為。
ほんの一瞬。瞬きすれば見逃してしまいそうなその瞬間。けれど私の目は確かにその状況を、捉えてしまった。
これはきっと罰だ。愛さんと天王寺さんを尾行した私の愚かな行いへの、罰だ。
「あ……ぁ……あぁ……?」
自分が立っているのか、屈みこんでいるのかわからない。世界がぐにゃぐにゃ曲がっていた。体が熱くなったり冷たくなったりして、汗をかいているのか寒いのかすらわからない。
ただ一つわかることは愛さんと、天王寺さんが、口づけを、していた。
「……」
つう、と頬に熱い感覚が走った。なんだろう、と手を頬に当ててみる。触れてみると、水が手のひらについていた。
「……涙」
ぽつりと、呟いた。ああ、私、泣いてるんだ、とやけに冷静に自己分析なんてしてみる。ふともう一度、愛さんと天王寺さんに視線をやる。
愛さんは優しく頭を撫でると、天王寺さんの姿が見えなくなるまで手を振っていた。やがて天王寺さんが角を曲がって見えなくなると、愛さんも踵を返して、エントランスの外に出て、駅の方へと歩いて去っていった。
相変わらず世界はぐにゃぐにゃと曲がったままで、自分が立っているのか座っているのか、熱いのか寒いのかもわからないけれど。
「……」 このssは作者の僕の考えた理想の愛さんを使って大嫌いな栞子を虐め鬱憤を晴らすためだけのssです
下らねえ妄想書いてないでしねよガイジ 栞子(愛さんが居なくなっても、私はただぼんやりと突っ立っていました。全身の力が抜けて、やっぱり私は立っているのか屈みこんでいるのかもわかりません)
栞子(幸か不幸か、私もまた通りから見えにくい場所に居ることが幸いして、ぼんやりしていても怪しまれることはありませんでした)
栞子「……そろそろ、帰らないと」
栞子(私は独り、呟きます。両足が地面と一体化しているかのようで、ぴくりとも動きません。だからこそ、声に出して自分を奮い立たせましたが──)
栞子「……おか、しい……ですね」
栞子(それでもやっぱり体は動かなくて、ただぼんやりと頬を伝う熱い感覚を感じながら、ただずっと待ちぼうけていました)
栞子「……」
栞子(こういう時、いつも助けてくれた、隣に居てくれたあの人に手を伸ばす勇気も湧かないままに──) ──────
────
──夜 栞子の部屋
栞子(両親に帰宅が遅くなったことを少し咎められ。けれど生徒会の仕事で遅くなったと言えばすぐに許されて)
栞子(私は独りただ何をする気にもなれなくて、天井を眺めていました)
栞子(目を閉じればあの時の、愛さんと天王寺さんが浮かんできて──)
栞子「……」
栞子(あれは……口づけ。キス。恋人同士がするもの。ただ、それだけ。それだけ)
栞子「……ぅ」
栞子(思い返した瞬間、私の頬には熱い感覚が走っていた)
栞子(涙。つぅ、と一筋流れていくと、また一滴、一滴と耳へと零れ落ちていく)
栞子(もう考えなくてもいい。自分が立っていようがいまいが、目を閉じようが開けようが、もう脳がその状況を心に刻み込んでしまった)
栞子(キス。それは、恋人たちに許された、特別であることの証明──)
栞子「う……くっ」 栞子(今更ながら、その現実が私に重くのしかかってきました。正確には、今ようやく現実を呑み込めたというべきなのでしょう)
栞子「うぐ……ぅっ」
栞子(目じりからこぼれ落ちていく熱い感覚が、より今の私をみじめに映し出します。自分がみじめであると思えば思うほど、現実が私に)
栞子(好きだった。大好きだった。だからあの人の一番になりたかった。……いいえ、あの人の一番は私だとなんの証拠も裏付けもなく、信じていたのです)
栞子(私がただあの人に恋をしたから、きっとあの人も私に心を傾けてくれる、なんて、勝手にそう思い込んでいた)
栞子(そして、いつかきっと私だけの存在になってくれる、そんな奢りから、私は、天王寺さんにあんな、あんな態度を取って──)
栞子「うっ──ひぐっ……」
栞子(あの人の特別は、私ではないんだ。あの人の特別は、天王寺さん。奢り、醜い嫉妬心に駆られる私に──……あの人なんて、手が届くわけがなかったんだ)
栞子(……最初から、報われるわけがなかったんだ。そう。こんなの──……)
栞子「……ぐっ、ひぐっ……」
栞子(ぽろぽろと流れていく涙。熱い感覚は止まらない。涙を流しても流しても、悲しい気持ちは、悲しいと叫ぶ心は、その慟哭を止めてくれはしない)
栞子(涙がとめどなく零れる。声を押し殺すために、枕に顔をうずめた。苦しくて辛くて、情けなくてみっともなくて。ただひたすらに悲しいと叫び続けた) ──────
────
──翌日 昼休み 虹ヶ咲学園 普通科一年教室
しずく「あら……かすみさん、今日は栞子さん居ないんですか?」
かすみ「んー、今日もかすみんの教室で食べよーって言ったんだけど……『今日は生徒会の事がありますので、お昼をご一緒することは難しそうです』だって振られちゃってさー」
しずく「かすみさんのファンなら、きっと車に引っ張られてもここに辿り着いたでしょうね」クスクス
かすみ「むむむ……まだまだ、かすみんはもっともっと努力してしお子をメロメロにして、スクールアイドルを好きだって言わせてみせますからねっ」
璃奈「……」
しずく「……璃奈さん? どうしましたか? あまり元気がないようですが……」
璃奈「え? あ……ううん。なんでも、ない」
かすみ「りな子、かすみんたちだって雰囲気を察するくらいできるんだよ? 何かあったんでしょ?」
璃奈「……ただ、栞子ちゃん、大丈夫かなって」
しずく「ああ、栞子さんの事を気にしているんですね。同好会にも毎日来れるわけではありませんから、忙しいのかもしれませんね」 かすみ「そんなに気になるなら、ちょっと行ってみる?」
しずく「名案──とは思いますが、流石に三人でいきなり生徒会室に乗り込むのもちょっと気が引けますね」
璃奈「……私、ちょっと一人で行ってみる」ガタッ
かすみ「あ、りな子、じゃあこれも持って行ってあげてよ」スッ
璃奈「コッペパン、差し入れ?」
かすみ「ふふふ、甘ーい蜂蜜を練り込んだ特製のコッペパンだよ! これでしお子の体重を……」ボソッ
しずく「頭を使うと甘いものが食べたくなりますもんね」
璃奈「かすみちゃん、優しい」
かすみ「あれ? そういう流れになります? ……いやー! あはは! かすみんの優しさにしお子もきっとかすみんのファンになっちゃう──」
璃奈「じゃあしずくちゃん、行ってくる」スタスタ
しずく「はい、璃奈さん。首尾は放課後に聞けることをお待ちしてますね!」ニコ
かすみ「でもこんな特別扱いはスクールアイドルにはご法度でぇ! ファンには平等に……ってりな子は!?」
しずく「もう生徒会室に行ったよ、かすみさん」
かすみ「なんでぇ!?」ガーン ──生徒会室
栞子「……」
栞子(結局、一人でまたご飯を食べる日々に戻った)
栞子(天王寺さんと一緒に居ると、私はどうしようもない感情に駆られてしまうと思い、とにかく距離を置くことにした)
栞子(あの人と、天王寺さんは、付き合っている……その事実は、私をただ苦しめる)
栞子(今日の同好会も、休んでしまいましょうか。今は──)
こんこん
栞子「! はい、どうぞ」
栞子(もしかして──!)ドキッ
ガチャ
璃奈「──失礼、します。あの、栞子ちゃん──」
栞子(──!)ドクン
栞子「あ、ああ、天王寺、さん。どうか、しましたか」
栞子(淡い期待。今更あの人に会っても、素直に喜べるかどうかわからない状況。それでも心の底から会いたいと思うのは、やはり私は恋心をあの人に抱いている……)
栞子(そして、今、ここに居るのは……私と、あの人の、一番の特別の存在……)
璃奈「その。栞子ちゃん、忙しいって聞いたから、大丈夫かなって」 栞子(言いようのない苦しみ、彼女が会いに来たことへの、どうしようもない、言い表せない感情)
栞子(……自分が今、どんな表情を浮かべているか、よくわからない……)
栞子「様子を見に来てくれたのですね。ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ」
璃奈「……本当? 目が、とても腫れてる」スタスタ
栞子「ッ!」
──しおってぃー、大丈夫だよ。
栞子(想起される記憶。私が泣いていたあの時、優しく抱きしめられたあの時を──)
栞子(……天王寺さんが、それを、まるで塗り潰していくような──!)
璃奈「なにか嫌な事、悲しいことがあった?」スタスタ
栞子「……そんな、ことは」
栞子(苦しい。息ができない。近づかないで)
璃奈「私は、栞子ちゃんのこと、もう友達だって思ってるから、悲しい時は、一緒に居たいよ」
──アタシとしおってぃーは、友達。友達が悲しんでいたら、一緒に居るのは当然なんだよ。 栞子(止めて──せめての、私に残された、あの人との思い出を、貴女が奪っていかないで)
栞子(あの思い出は、私とあの人だけのものにさせて──!)
栞子「──大丈夫、放っておいて、ください……」
璃奈「で、でも──もしかして、またいじめが──」
栞子(いじめ。なくなった体操服。鞄の中に放り込まれた雑巾。無くなる髪飾り。誰も居ない廊下で襲われた瞬間)
栞子(想起する記憶と、あの人に救われた、あの瞬間が想起される。トラウマと、理想と──天王寺さんとキスをする、愛さんが──)
璃奈「愛さんに、相談しないと──」
栞子(愛さん。私と同じ呼び方。苦しい。吐き気がする。頭痛が酷い。何でもいい、今だけは、同じでありたくない。もう、嫌だ)
栞子(嫌、そう、嫌なんだ。もう放っておいて欲しい。どうしてあの現実を突きつけられた翌日に、貴女に情けを掛けられているの。止めて。やめてやめてやめてやめて)ガタッ
璃奈「栞子ちゃん──」
栞子(ぷつんと、心のどこかで何かが折れる音がした)
栞子「私の事は放っておいてください!」
璃奈「!」ビクッ 栞子「今は貴女に会いたくないんです! 貴女が居るから、貴女があんなに、あの人と──宮下さんと、一緒に居るから、私はこんなに苦しいんです!」
璃奈「え……っ?」
栞子「貴女が妬ましい、羨ましい、憎い! 貴女は宮下さんの一番じゃないですか! なら、これ以上私と宮下さんの思い出を奪わないで!」
璃奈「あ、え、う、奪うなんて……私……っ」
栞子「もうやめてください、もう許してください……! 私の思い出まで奪わないで下さい……!」
璃奈「あ……ご、ごめんなさい、私……そんなつもりじゃ……」
栞子「出て行ってください……今だけは、今だけは。今だけは……独りにしておいてください……」
璃奈「あ……っ」タッ
栞子「……う、ううっ……」
ばたんっ
栞子「ああ……」
栞子(机の上に、ぽたぽたと、昨日あんなに零した涙が、落ちていく) 栞子(う、ううっ……しかも、私、呼び方を、また……あの時に、戻してしまって……)
栞子(ただ、天王寺さんと同じは嫌だなんていう、理解し難い感情のせいで……っ!)
栞子(私は……私は……何を……っ)
栞子(もう嫌……天王寺さんにこんな……八つ当たりで……私の心がただ弱いだけなのに……天王寺さんに当たって……)
栞子(……もう……なにも……)
──────
────
──同時刻 カフェ
愛「……」
「どしたのあいあい〜、浮かない顔して」
愛「んー……? んー……まあ、その。最近ちょっとね」
「なに、あいあいが悩むなんて珍しい。ウチらのとこでそういう表情するって事は……同好会の事かぁ〜?」
愛「あたり。りなりーとしおってぃーの事でさ」
「ん? なになに、ちょっと普通じゃない感じ」
愛「んー……あんまり、仲良くないみたいで……しおってぃー、りなりーにあんなひどい事言うとは思わなくてさ」 >>1
つまんねぐだぐだなげぇよゴミ
とっとと終わらせろよ 「酷い事……まあ嫌いな相手にならつい堪えられずに悪口言っちゃう、なんてある話だし……」
愛「……正直、ちょっと……怒ってる」
「!」
愛「りなりーの悪口だけはアタシ、『堪えろ』って思わないと堪えられないんだ。他の子なら好き嫌い、合う合わないがあるからしょうがないって思えるんだけど」
愛「面と向かってりなりーの悪口を言うのはアタシ、容認できないんだ。しおってぃーもさ、色々あって心が疲れてるんだと思うし、アタシももっと気遣ってあげたいんだけど……」
愛「なんだかいつもみたいに上手くこう、二人を慰められなくて……」
「まー……そのさ、私はあいあいみたいに女の子が好きな女の子じゃないから、全部わかるって言って良いのかわかんないけど……」
「そういう感情は、しょうがないんじゃない? だってあいあい、天ちゃんの事特別扱いしちゃってるんだもん」
愛「……かおりん」
「なにさ?」
愛「ちょっと見直したぞ……アドバイスもできるんだね……」
「ひっでぇ!!」 これで宮下さん呼びに戻ったのか…
しおってぃーがあんなひどいこと言うと思わなかったって、言い方悪いけどりなりー贔屓してるよね。まぁ恋人だからある意味当然ではあるけど。 おつおつ
もう毎回ハラハラしてる
ほんと引き込まれるなぁ……
続きも楽しみにしてる 乙
見えてないだけでしおってぃーみたいな子が他にも沢山居そうな事を考えるとやはり愛さんは罪な女過ぎる… 裏切りAgeのゴミSS
センスねぇゴミSS書いてねぇでボランティア派遣サービスでもやってこい>>1
https://i.imgur.com/3mA0iwL.jpg >>57スレに張り付くな。楽しみに見てる人たくさんいるんだよ。マジでウザいんだよ自己中が。 >>59
多分そいつあちこちのSS荒らしてるあたおか茸だから放っておけ SSスレに粘着しまくってるいつものやべー奴だ
百害あって一利なしの存在、無視かNGに入れとこう サイコパス宮下は事実だろw
23章でそれがさらに露呈するんだぞ?
こんなゴミクズAgeを許すな潰せ
https://i.imgur.com/EwKcyCO.jpg >>59
構った時点でお前も同じくらいウザいよ
お前に構う俺もウザいしスレ汚しになるだけ
今後は二度と構うな >>64
このスレの存在が汚してんだよ
消えろゴミどもサイコパス宮下予備軍が 栞子かわいそう
最終的に気持ちの整理がついてくれたらいいんだけど 本当に心情描写がうまいからかなり引き込まれる
果林さんはじめ3年生がどう動くのかがポイントな気がする >>1
クソゴミSS生産すんなシネよ
役立たず社会のゴミが しおってぃーにめちゃくちゃ感情移入して読んでたから今回目頭熱くなりすぎてやばかった……
こうやって見るとヒーローって恋人がいたら成立しにくい存在なんだなぁ……
続きが楽しみですよこれは…… 外野がレスバはじめて作者がエタったssいくつもあるから気をつけような! 描写が丁寧なお陰でどっちの感情も良く理解出来るからめっちゃ引き込まれる 楽しませてもらってるんだけどしずくが同級生にも敬語なのがちょっと引っかかる... 丁寧?どこがだよ
こんな>>1のクソみたいな内容キチガイでも書けるわ >>78
そりゃそうよ
このゴミ>>1ガイジはエアプだからな
ぐだぐだなげぇし消えろよほんと すごく面白いんだけど同級生に対して敬語のしずくがちょっと気になった エアプクソゴミ>>1は消えろ
二度と書くなよゴミやろう 二度と書かなくていいぞコロナにかかって軟禁されてろよ 気になって過去スレ読んで追いついた
でもこんくらいの目に合わないと溜飲下がんねえよなぁ
しかもそれだって当事者と神の視点の読者しか知らないわけだしその他生徒もいじめっ子と心理的には大差ないだろうし 全員に感情移入してつらい…
おつです、楽しみに待ってます ゴミSS書いてねぇでボランティアしろやキチガイ>>1消えろ 切り方がいつもうますぎるなぁ…このSSが始まってからずっと追ってるけど、めっちゃ好きなアニメが最終回に近づいて行く寂しさと似たものを感じる…楽しみに待ってます。 毎回楽しみにしてるやで
のびのびイッチの書きたいように書いてくれよな 乙、ついに2スレ目か
栞子はなんというか、当然の報いという感情と別にこんな酷い目あわせんでもって相反してしまうな…… オタクコンプか埋め荒らしでなくなったと思ったらこれか
地域NGでワッチョイ付けた方がいいぞ 次スレ立って上がれば目立つし変なのは寄り付くのしゃーない
むしろ栞子題材でよく前スレは荒れずに続けられたと思うわ 追いついたぜ
この話のやたら好戦的なエマちゃん凄く好きだわ
そして学生時代はこんなに人を想えたなぁと懐かしくなる いよいよスレタイへと近付いてきたな
ゾクゾクとドキドキ止まらない まだ暗躍してるいじめっ子と菜々の不満の問題があるからな >>94
とはいえ栞子の被害者は全校生徒単位
まぁよく考えず選んだ方も責任あるけど
とはいえせつ菜なんかは本人が怒ってないから許されてるだけで栞子から奪われた分を何も返して貰ってはいないし メインストーリーでは返していないどころか現在進行形で奪い続けているという… 色々気になるところはあるけどまぁ良いんだそんなことは
しこりんすこやで
前スレ60くらい余ってるけどあのまま落とすの? 自分が振り撒いたマイナスをゼロに戻せてすらいない段階で色ボケとか特に同情はできんわ
むしろ終始自分のことしか考えてねえなとしか いじめから救われて同好会って居場所まで与えられた時点で十分救われてる
普通に失恋しただけで不憫要素は特に無い 救いもなにも自分で反感買うようなことをやってそこを助けられるってマッチポンプもいいところだよ
先にいらんこと始めたのは栞子 これスレタイ回収してドン底になった栞子が再度救われると救われると発狂するやつ多そうだな
今のところ再度救われるビジョンが見えないけど 栞子辛すぎて泣きそう
りなりーだけじゃなく栞子のことも抱いてやれや キモオタのお気持ちや自分語りとか興味ねえから
そういう学級会は他のスレでやってくれや 学級会云々は置いといてこのSSをスクスタや栞子の叩き棒にしてる奴らがウザいのは確か 前スレはともかくこのスレは今の所SSの感想くらいしかないでしょ
神経質すぎる 地域表示いやなら単語NG使えよ5ちゃんねらーの嗜みよ まぁこの>>1は本質的には雨野とやってること変わらんからな
荒らしが湧くのも不思議ではないわ 荒れてるのなんて2人くらいしかいないんだしNGしとけば解決よ 23章で栞子が保身に走る二枚舌の黒幕だったことが明らかになったわけだがSSに影響すんのかねえ これでバッドエンドだったらあまりにもしお子に救いがなさすぎるからどうかハッピーエンドを… 仮にバッドエンドになってそれが嫌だったら自分でハッピーSS書くとかしてください もう人生レベルで救われてるでしょ
恋愛に関しては別の素敵な人を探してください こうして栞子をまともに解釈しようとしている人まで後ろから撃ち抜くかのようにスクスタが酷いのどうなんですかね >>125
誤解させたかもしれないけど、救いがないって言うのは愛さんと結ばれないことじゃないよ ──────
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──放課後 スクールアイドル同好会
かすみ「これで今日の練習メニューは一通り終わりです! この後まだ自主練する人は最後の戸締りお願いしますね〜!」
せつ菜「みなさんお疲れさまでした!」
「「お疲れさまでしたー!」」
愛「……今日も結局しおってぃー、来なかったなー……」
果林「気になる?」
愛「うん。やっぱ忙しいんかなーって」
せつ菜「他校と比べてやっぱり、虹ヶ咲は生徒の自主性を重んじてる分生徒会へかかるウエイトも重いですからね。確かに仕事の量は多いです」
歩夢「せつ菜ちゃんも練習に来れない日も多かったもんね」
エマ「五人体制の時のせつ菜ちゃんが、どれほど頑張ってたか改めて身に染みるよ……」
彼方「改めてせつ菜ちゃんに頼り過ぎてたんだね、彼方ちゃん達……ごめんよせつ菜ちゃん……」
せつ菜「あっいえ!? 私はそんな、自分が頑張ったこととかを誇ろうとか、そういうわけではなくてですねっ!?」アセアセ
歩夢「どうして? 誇っていいことだと思うよ! エマさんも彼方さんも、せつ菜ちゃんは凄い、頑張ってるって言ってくれてるんだもの!」ニコ
せつ菜「あ……はぃ……///」
エマ「私たちが本当はもっとせつ菜ちゃんの気持ちを分かろうと努力しないといけなかったのに……」 彼方「上級生の風上に居られないねぇ彼方ちゃん達……」
果林「全く、二人ともだらしないわね」
愛「カリンはカナちゃんの宿題を丸写ししようとした罪があるからあんまり先輩風は吹かせらんないぞ?」
果林「うぐっ」
彼方「愛ちゃんほんとカッコイイ。もっと言ってやって〜」ニマニマ
しずく「……でもここ最近、お昼休みも生徒会室に籠ってお仕事してるみたいです」
かすみ「そうなんですよ、せーっかく四人で昼ご飯食べようと思ったのに!」
歩夢「お昼休み? せつ菜ちゃん、今日は副会長さんたちとお昼食べたよね?」
せつ菜「ええ……。確かに忙しい時期はありますが、今の生徒会の体制なら栞子さん一人が仕事を抱え込むわけでは……」
果林「……まあ、今までギスギスして多分素直に頼っていいのか、っていう葛藤があるのかもしれないわね。副会長さんとは取り合えず上手くいってるんでしょう?」
せつ菜「はい。私の事をその、信頼してくれている余り、栞子さんと一緒に生徒会を進めていくことで、私を裏切っているんじゃないかという想いがあったのですが──」
せつ菜「今はそう言ったことを抜きに、素直に協力していけるように頑張ってくれているようですから」
果林「なら日にち薬ね。私たちもできるだけ彼女の事をケアしてあげましょう。同時に『気を遣わせてる』なんて、思わせないくらいに自然にね」 かすみ「かすみんに任せてください! この可愛い笑顔でしお子をハッピーにしちゃいますよ!」
彼方「かすみちゃんはいつもどおり接してあげるのが一番よさげだねぇ」ニコニコ
かすみ「……? それって褒められてます?」
しずく「褒められてるよかすみさん。たぶん……」
愛(……しおってぃー、大丈夫かな)
歩夢「そう言えば愛ちゃん、今日は璃奈ちゃんお休みだったね」
愛「うん、そうだよ。今日は両親が帰ってくるみたいだから、急いで帰ったよ」
歩夢「! そうなんだ……嬉しいだろうね、璃奈ちゃん」
愛「そうだね。さて、歩夢は今日は残って練習? それともゆうゆのところ?」
歩夢「うん、私はこのまま音楽室へ行くよ。侑ちゃんに差し入れ持って行ってあげなくちゃ」
愛「通い妻だねぇ歩夢は」ニヤニヤ
歩夢「あ、愛ちゃんてば!」バシッ
愛「うぐ!」 ──────
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──
愛(最初に見た時はビビるほど大きかったマンションも、高級感あふれるエントランスも、もう慣れっこだ。アタシはりなりーに教えてもらった番号を押して、マンションの中へと入る)
愛(……エレベーターの中は、いつもはりなりーに会えるという喜びの気持ちでいっぱいだけど……今日は、そうじゃない日だ)
愛(アタシの心を悩ませる、りなりーとしおってぃーの事。しおってぃーからも話を聞いてみたいのだけど、中々タイミングがつかめずに困っている)
愛(それに、日々元気がなくなっていくりなりーを見ていると、どうしても優先順位の一番に、りなりーをトップに置いてしまう)
愛(着いた……ドアの前でりなりーに電話を掛けると、りなりーは出てきてくれた)
璃奈「愛さん」
愛「ん、りなりー、お邪魔するよ」
愛(しょんぼりとした表情。まるで萎れてしまった花の様で、アタシはただ苦しくなる。そんなりなりーを見たくない)
璃奈「……」キュッ
愛(無言で指がアタシの指に絡まっていく。アタシも優しく、力強く指を絡める)
愛「部屋、行こっか」
璃奈「……」コクン 愛(二人でりなりーのベッドに座る。壁にもたれて、りなりーはアタシに体を預ける)
愛「今日のお昼、生徒会室に行ったんだね」
璃奈「……」コク
愛「そっか。……偉いね、りなりー」
璃奈「栞子ちゃんに、嫌われちゃった」
愛(……どうしてだろう。りなりーもしおってぃーも、決してウマが合わないような子には見えないのに)
愛「しおってぃーと、喧嘩したの?」
璃奈「……たぶん、ずっとそう。表情の事、どうしても、気に入らないみたいで。私に気を遣われるのも、嫌みたいで。だから、愛さんに伝えるって言っても……その……」
愛「……大丈夫、愛さんに話してみて?」
璃奈「すごく、怒られて。駄目なのかなって、思った。私がもう、栞子ちゃんにとって、受け入れられないのかなって」
愛(……そうなのかな……。しおってぃー、本当にそんな子なのかな……)
愛(しおってぃーとの出会いから、ずっと記憶を手繰る。確かにしおってぃーは思い込みが強くて一度信じ込んだらまっしぐらに突き進んでしまう性質の子だ)
愛(けれど、しおってぃーの根っこの部分は悪じゃない、善だ。それは、この学園で一番にアタシが理解できてる。休みの日はボランティアに参加して、人のためになろうとするほどの……)
愛(……まだ、アタシはしおってぃーの事をよく知らないだけ……?)
愛「……やっぱりしおってぃーに聞いてみないと、駄目だ」
璃奈「あ……」
愛(スマホを取り出したアタシは、一瞬、彼女の小さな声を聴いた)
愛「りなりー……?」 璃奈「……今は」
愛「っ」
愛(アタシの悪い癖だ。こういう時くらい、どうしてりなりーを優先してやれないんだ。目の前のりなりーがまず、助けてほしいって言ってるんだ)
愛(ならアタシが一番優先して考えてやらなくちゃ、誰がやるんだ)
愛「ごめん、りなりー」
愛(アタシはそう言ってスマホの電源を切った。そのまま鞄の中に放り込んで、両の手をひらひらと振った後、りなりーに伸ばした)
璃奈「……ごめんなさい、我儘で」
愛「良いんだよ。わがままを言いあえるのが、愛さんたちの関係なんだよ」
愛(りなりーがおずおずとアタシの足の間に入り込んでくる。そのまますっぽりとりなりーを抱え込むと、二人そろって黙り込む)
愛「……ん」
璃奈「心臓の音、する」
愛(もぞもぞと、りなりーは耳をアタシの胸に寄せる。りなりーはアタシの鼓動の音を聴くのが好きだ。落ち着くらしい)
愛「うん。聞こえてる? 愛さんの音」
璃奈「……うん、聞こえてる」
愛「そかそか──」
愛(りなりーを抱いたまま、天井を眺める。りなりーがこれだけ悲しんでいる理由は、やはりしおってぃーで。アタシはどうすればいいのかと思い悩んでいた) 愛(もししおってぃーがアタシの前で、りなりーが悲しむことを言ったと分かってしまったら……)
愛(アタシはきっとしおってぃーにどんな理由があったのか聞くだろう。そしてその理由を知った上で、アタシはしおってぃーになんて声を掛けるのだろう)
愛(……だめだ。考えるのはよそう。今はただ、りなりーを……)
璃奈「愛さん……」
愛「大丈夫りなりー、今日はずっとここに居るよ……」
愛(やっぱりりなりーを悲しませた人の事を、アタシは──許せるんだろうか)
──────
────
──夜 エマの寮室
エマ「はい果林ちゃん、紅茶だよ」スッ
果林「ん……ありがとう、エマ」
エマ「最近あんまり浮かない顔してること、多いね」
果林「……そうね。本当に解決したのかしら、っていう想いはずっとあるのよ」
エマ「解決?」
果林「いじめの事。エマがずっと気にしてるでしょ。あの時私も『何か起きてからまた対応すればいい』なんて言ったけど……」
果林「侑やエマが言う通り、何か発散できる場所を先に用意すべきなのかしら」
エマ「私達ね、実はもうそのことについて動き始めてるの」
果林「え?」 エマ「せつ菜ちゃんが、本当は栞子ちゃんが苦手って事、気付いてた?」
果林「……ええ。少しは。同好会に入ったことで、苦手意識がより強まってるってことも、多少は」
エマ「歩夢ちゃんが、気持ちを聞き出してくれて。せつ菜ちゃんはまだ、栞子ちゃんの事を認めてないんだ──って」
果林「……そう、そうよね……。あの子の物分かりの良さに私、甘えていたけど……そうよね、あの子だって私たちと同じ人間だものね……」
エマ「それで侑ちゃんが『もう一回討論しよう』って」
果林「……ん? ど、どういう?」
エマ「河原で殴り合えばいいって。虐めの問題にも取り組むの。菜々ちゃんに、現生徒会長への不満を伝えて、もう一度菜々ちゃんと栞子ちゃんで討論するの」
果林「……ほ、本気? 彼方も言ってたけど、そんなの……」
エマ「でも、このままじゃやっぱり栞子ちゃんへの卑怯ないじめは止まらないと思うの。だって何も解決してないんだから」
果林「それは確かにそうだけど……」
エマ「だからこそ、今度は菜々ちゃんに代弁してもらうの。今の学園の──各部の、辛い思いをした子たちの想いを」
果林「……栞子ちゃんを追い込むの?」
エマ「……そうだね。そうなっちゃうのかもしれない。でも、今のせつ菜ちゃんの気持ちは何も解決できないし、目に見える形で想いを伝えないと、ずっとこの状況が続くかもしれない」
果林「……エマ」
エマ「こんなこと言うと、酷いかもしれないけど──私、せつ菜ちゃんの味方で居たい。もし現状に納得が出来ていないなら……せつ菜ちゃんの気持ちを、一番に考えたい。……これは、果林ちゃんにしか言ってない事」
エマ「果林ちゃん、やっぱり私、せつ菜ちゃんに負い目があるの。せつ菜ちゃんとかすみちゃんがぶつかり合った時、何もできなかった。だから今は……せつ菜ちゃんの事を、せつ菜ちゃんに寄り添ってあげたい」
果林「エマにそんな風に言われたら……私、断れないわ」 エマ「果林ちゃん!」
果林「じゃあ私の役目は彼方の説得──」
エマ「彼方ちゃんはもう賛成してくれてるよ?」
果林「えっ」
エマ「?」
果林「こ、こういう時って恋人にまずいの一番に相談するとか、そういう感じにならない?」
エマ「え……? あ、そっか! そうだね!」
果林「……もう私はダメかもしれない……」
エマ「えっ!? えっ!? 私なにか駄目なことやっちゃった!?」
果林「……Say Goodbye 私……」
エマ「果林ちゃん!? 果林ちゃーん!!」 ──────
────
──翌日 早朝 璃奈の部屋
愛「りなりー、りなりー?」
璃奈「ん……んぅ……?」
愛「おはよ、りなりー。よく眠れた?」
璃奈「ん……」
愛「そかそか。昨日はそのまま寝ちゃったし、早めに起きてシャワー浴びよっか」
璃奈「ん……おはよう、愛さん」
愛「うん。おはよう、りなりー」
愛(りなりーの寝息をずっと聴きながら、今この瞬間まで、アタシはどうするべきなのか考えていた。りなりーがこの世で一番大切なのは、たとえ世界がひっくり返っても覆らない、最重要事項だ)
愛(……それだけは、変わらない。変えられない)
璃奈「……愛さん?」
愛(……しおってぃーは確かにりなりーを傷つけた……いや、一度じゃない。何度かにわたって、しおってぃーを傷つけている──)
愛(……なぜ? どうして? あのしおってぃーが、どうして──)
璃奈「愛さん」 愛「えっ!?」ハッ
璃奈「愛さん、怖い顔してる」
愛「え──あ、あはは、ちょっと考え事してた! さ、シャワー行こ!」
璃奈「……愛さん」
愛「ん? どしたのりなりー?」
愛(きっと理由があったに違いない。ちゃんと今日、しおってぃーに話を聞いて、なにがあったか理解しないと)
璃奈「……ううん、なんでもない」
愛「そかそか」
愛(……このままじゃ、いけない。いけないんだ……) ──虹ヶ咲学園 放課後 校内
愛(結局しおってぃーに話を聞けなかった……昼休みは教室にもいなければ、生徒会室にもいなかった。今日こそは、そう思っても結局会えずじまい)
果林「愛? どうしたの? 今日はずっとぼんやりしてるけど」タタタタタタ
愛「え? あ、ああ……今日もしおってぃー来ないなぁって」タッタッタッ
果林「そう。だけどそんな呆けた表情じゃ今日のランニングは──」
愛(ランニング……そう言えば、しおってぃーを見かけたのもランニングしてた時だっけ)
愛「あ!?」
果林「お先にっ」タッ
愛「くっそ待て!」ダッ
愛(そういえばこんな風に、カリンと競い合ってたな──)
愛(しおってぃー……) ──────
────
──部室
着替えも終わって、部室に残っていたのはアタシとりなりーとしずく、カリンやエマっち、カナちゃんだけだった。
三年生の三人はテーブルの方で何かしゃべっていて、アタシたちはローテーブルのほうで特に何かするわけでもなく三人で駄弁っていた。
「スケッチブックが、ない」
ふとした瞬間に、りなりーがボードを掲げようと机の隅に視線を走らせて、伸びていった手がぴたりと止まった。
「えっ? スケッチブックって……璃奈さんボード?」
「練習始まる前に机に置いておいたんだけど……なくなってる。どこに行っちゃったかな?」
りなりーは小首を傾げながら、机の下を覗き込んだ。しずくもソファの下を覗き込む。探す二人を横目に、アタシはカリンに声を掛ける。
「カリン、りなりーのスケッチブック見てない?」
「え? スケッチブック? こっちの机にはないけど……なくなったの?」
果林が椅子から立ち上がり、少し速足でこちらにやってくる。机に突っ伏していたカナちゃんはそのまま夢の世界に意識を飛ばしているけれど、エマっちは机の方を探し始めた。
「そうなんです。璃奈さん、他にどこか置いたとか、覚えてない?」 「ううん……確かに置いた……と思う。たぶん」
少し自信なさげに呟くりなりー。首筋がヒリヒリする。
「うーん……練習始まる前にスケッチブックを置く場所ってどこかにある?」
「いつもはパーカーのポケットに入れてる。でも部室に置くときはいつもこのローテーブルに置く……」
しずくはソファから目を離し、今度は本立ての間やロッカーの上を探し出す。
心なしか不安げなりなりーに、アタシはさらに無意味に辺りを見回す。ひりひりと嫌な予感がしたのは、しおってぃーも同じ目に遭っていたからだ。
「……璃奈さん、教室に置き忘れた、とかではありませんか?」
「……ううん、あれをどこかに置いて行くっていうのは、あんまりないから──」
りなりーの言葉の途中で、アタシのケータイが鳴った。
「あ、ごめん、愛さんだ──ちょっと出るね」
拭えない不安感に駆られるように、アタシは部室を飛び出した。首筋をひりつかせるこの不安感は、一体何なんだろう……。 部室を出て、通話を繋げる。
「トモ? どしたの?」
『愛ちゃん今忙しい? 大丈夫?』
「ん……ちょっと取り込んでるんだけど……どした?」
『やー、一年生の教室の廊下で、天王寺ちゃんのスケッチブックの紙、一ページ見つけてさ。落とし物かなーって』
「……なんて? 今なんてった?」
『え、どしたの愛ちゃん……声怖いよ?』
「一年生の教室の廊下だね。 トモは今どこ?」
『え? 私? 私はもう帰ってるとこ。明日渡せばいいかなって』
「おっけ。わかった。また明日取りに行く」
通話を切った。心臓が馬鹿みたいに早鐘を打っている。一体何が起きてるんだ。なんで一ページだけ一年生の廊下に落ちてるんだ。
どうしてりなりーが部室まで持って行ったはずのスケッチブックのページが、向こうで見つかるんだ。
なんで、一ページだけ。
そのまま部室棟を飛び出す。数分後に一年生の教室が並ぶ廊下に辿り着いていた。 辺りを見回す。改めて深呼吸して、気持ちを落ち着かせる。大丈夫、別にりなりーが虐められているわけじゃない。
そう。虐められているわけじゃない。そういう考えにようやく至ると、少し気分が落ち着いて、ゆっくりと歩きだせる。
(ただ、スケッチブックを失くしてしまっただけだ。あれは大事なものだけど、ただ置き忘れただけなら、なにも心配することは──)
ふと、足元に何か触れる音がした。視線を向けて、小さくちぎられた紙切れだと認識する。……紙切れじゃない。画用紙だ。広げると、ピンク色の線が三本ほど、引かれていて。
「……え」
一瞬視界が真っ白になって、真っ黒になって、また真っ白になった。ぐるぐる世界が回っている。落ち着け。画用紙に、ピンク色で線が三本引いてあるだけだ。
それだけだ。落ち着け。まだりなりーのスケッチブックだと決まったわけじゃない。
落ち着け、落ち着け。落ち着け。息を吸え。酸素を取り込め。血が昇ったら冷静に物事の判断ができないぞ。 ふらり、ふらりと歩いて、隣の教室を目指す。ドアの窓ガラスに、自然と目が行く。
逆光と窓ガラス越しで少し見にくいけれど、女の子が一人、床に屈みこんでいる。床には小さな紙が散らばっていて──女の子は、スケッチブックを持って──。
駄目だ。と思った。ほんの一瞬だけだ。それ以上に、もう止まれなかった。両手が、取っ手に伸びる。止まらない。
あの子じゃないかもしれないぞ、という僅かな警鐘。この状況で、何がどうなっているんだという、混乱。
ドアを、開けた。冷静に、なんて、なれなかった。部室に置いてあるそれが──どうしてそこにあるんだよ。なんでちぎられた紙が、散らばってるんだよ。
ドアの開いた音で、少女が驚いた──というより、怯えたようにこっちを見る。見覚えのある姿だな、と思ったけれど。
それよりも早く、アタシは口を開いていた。低く。唸るように。人間、本気で怒ると、叫べないんだな、と思った。 ──
────
──────
生徒会室に差し込んでくる夕日で、私はふと我に返りました。
……結局今日も、愛さんから逃げ回って、同好会にも顔を出さず、ただ……ただ、時間を消費した……。
もう数日たっているのに、あの人を、愛さんを想う気持ちは止まらない。天王寺さんを憎いと思う気持ちと、同時に彼女を傷つけたという苦い思い。
それらに決着を着けるまでは、誰にも会えない、会いたくない……同好会の誰かに会って、天王寺さんを傷つけたと言われたら。
愛さんに、目の前で言われたら、私はもう本当に、立ち直れないかもしれない。……傷つけた現実は、放置しても風化するわけでもないのに、私はただそれらに蓋をするだけで。
独りで居れば、いつもこのことを考え続けて。全て自業自得なのに、それでも逃れようと足掻いて、一人で苦しんでいる。
「……帰りましょう」
生徒会室に入って、一度も開かなかった鞄を肩に掛けて、生徒会室を出ます。 生徒会室を出て階段を降りて、一年生の廊下に差し掛かった時。
画用紙が一枚落ちていました。なんだろう、と拾い上げて、ひっくり返します。裏には何か書いてあるのかも──。
「これ……!」
すぐにそれは見覚えのあるものだと気づきます。天王寺さんの、スケッチブックの一ページだ、と。私も幾度と見た、彼女が他者とのコミュニケーションで使う、表情たち。
その、笑顔のページ。それが私の両手に収まっている。どうして、天王寺さんのものが? 彼女は私と違って虐めを受けるようなことは無いはず。
でも、これは天王寺にとって大切なもののはず。じゃあ、なぜこんなところに?
辺りを見回します。天王寺さん。私が醜い嫉妬心を抱いて、悲しませた人。傷つけてしまった人。そして……やっぱり、憎い人。
それでも、これが彼女にとってどれだけ大切なものかは、少しは理解できているつもりです。
もしかしたら失くしてしまっているのかも。どこかにスケッチブック本体を置き忘れているのかも。
罪滅ぼし──。そう考えることすら烏滸がましいとは思いましたが、それでも私は廊下を駆けだしました。一年生の教室に、置いてあるのかもしれない。
天王寺さんの教室を目指して走る途中、教室の前にまた一枚画用紙が落ちていました。ドアの目の前。もしかして、何者かが持ち去って……?
私は意を決して教室の戸を引き、中に入ります。視界に飛び込んできたのは、何一つ、代わりのない教室の風景で──。
「!」
教室の一番奥の、床。小さくちぎられた紙が、散らばっています。その中心に、見覚えのあるスケッチブックが、無造作に置いてありました。
私は開けた戸を閉めると、恐る恐る、そこへ向かいます。 スケッチブックを拾い上げ、そのままちぎれた画用紙──いえ。これは、ただの紙。紙が散らばっていました。
何か嫌な予感がして、スケッチブックを開くと、そこには真っ白のページが並んでいました。
……え?
混乱して、スケッチブックを急いでめくります。白。白、白、白白白白白。真っ白のページ。
「これは……」
そこまで呟いた瞬間、教室のドアが開く音がしました。
一瞬、自分の置かれた状況を認識します。スケッチブック。それを持つ私。周りに散らばる、紙。
そして視線が勝手に、ドアの先へと飛びます。一瞬、ほっとした私が居ました。視界が捉えた彼女なら、正しく状況を認識してくれる。
そこまで考えて、彼女の表情を見た瞬間に、そんな甘い願望は一瞬で消し飛ばされました。
私が無人の教室に連れ込まれた時に、助けてくれた時よりも、きっと怒っている──。そう理解した瞬間。
私は自分の中の、大切な何かを、失ったような感覚に襲われ。先に何か言おうとしても、もう体は少しも動かなくて。
ゆっくりと、彼女は口を開きました。 「──お前か?」
愛さんの、低く、お腹に響くような、怒りに燃え上がる声が、私を貫きました。
「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」
深い翡翠色の髪。翡翠の瞳。怯えた──というよりも、絶望に満ちた、しおってぃーが、そこに居た。 作家さんか何かか?ってぐらい描写と切り方が上手いなぁ ここで切るって予想はしてたけど実際にやられるとちゃんと心臓に悪い... ここでおあずけか…!
実際に悪いことしてない事実は救いだが果たして おつおつ
ついにタイトル回収が…!!
もうめちゃくちゃハラハラしまくってる こうなるのは予測できたけど、ちゃんと解決してくれほんとに…
これで栞子落とされたまま終わったら救いがなさすぎる 誤解でよかった
栞子やらかすかと思ったから心配してた なんでここで切るんだよ〜
気になって寝れねえじゃねえか! おつおつ
タイトル回収したからこれからの展開読めないし期待 ここまで見事な伏線回収を虹ssで見るとは思わなかった 栞子が悪いことしてないのは救いだけど状況は最悪だな 誤解が解けるまでどれほど辛い展開になるかはわからないけど
この愛さんならボード傷つけた張本人に制裁しないまま終わらせはしないでしょう この愛さん、順平殺された時の虎杖みたいになってそう ここで切るか〜……!
しおってぃーがやってなかったのは救いだけどそれに今の頭に血が昇ってる愛さんが気づけるのかどうか……
続きも楽しみにしてます! 栞子「違うんです」
栞子「私は被害が少なくなるように生徒会書記の双子に指示しただけで…」
愛「それマジ!?」
愛「ありがとうしおってぃー!」
だろw あんまり傷つくと愛さんも傷つきそうだからほどほどに傷つけ栞子 まぁでも自分を助けるときより怒ってるって目の当たりにしたのはきついな りなりーの方が大事なのはいいんだけど、いきなり疑ってかかるのは栞子のこと信用してないように思える
しおってぃーは悪い子じゃないって気にかけて優しくしてた今まではなんだったんだよって思うの俺だけ? 愛さん自身が璃奈関連のことだと頭に血がのぼるって自覚してるみたいだからまぁそういうものかと 自分の恋人であるりなりーの表情をどうにかしろって栞子が言っちゃったんだし、こういう反応になるのは仕方ないのでは 俺だけ?じゃねーんだよなんか意見交換したいなら他所でもしくはせめて完結してからやれ 個別のSSの内容についての話を他所でやれってのはおかしい 別に意見交換したかったとかじゃないんだ、不快にさせたならすまん 栞子のほうがりなりーより重いいじめを受けてるのに今回の方が怒ってるっていうね 愛「え……しおってぃー……?」
栞子(打ち砕かれたのは、今度は張りぼての私という殻じゃない。私の、心だ。心が、打ち砕かれて粉々に砕けていく)
栞子(それでも、愛さんは憤怒の形相を潜めていく。ああ、もしかしたら。もしかしたらまだ、まだ──)
愛「なんで、しおってぃーが、こんな──」
栞子(表情が──動揺に代わっていく。そうだ、そんなわけない。私が、彼女の信頼を得られるわけが──ないんだ)
栞子(『まだ』なんて、あるわけがなかった。愛さんが最も大切にしている人は、天王寺さんで。天王寺さんを傷つけ、今この状況を見れば──)
栞子(私は、愛さんにとって、一体どんな存在に映るのだろうか──)
栞子「……っ」
栞子(つう、と頬から一滴。熱くしょっぱい水がこぼれていくのが分かります。もう、何もかもが、終わったんだ、と)
栞子「──ッ」ダッ
栞子(もう愛さんを、まともに見ることなんてできない──っ)
愛「あ、しおってぃー……!」
栞子(教室を飛び出した私に、愛さんの声が降り注ぎます。けれど、これが愛さんとの別れ。もう、もうあんなに幸せな感情を、楽しいと心を震わせる瞬間も、きっと、ない──)
栞子(……さようなら、愛さん) 愛(教室を飛び出していったしおってぃーを、アタシは追いかけることが出来なかった。未だアタシを包む混乱が、状況を理解させてくれない)
愛(しおってぃーがどうして……?)
愛(そこまで考えて、アタシはまだ嫌な予感が首筋を痺れさせていることに気づく。ちらばった紙。しおってぃーが持っていたスケッチブック)
愛(……歩み寄る。その散らばった紙に。そのスケッチブックに。一歩歩みを寄せるごとに、その嫌な予感から生まれる痺れが激しさを増す)
愛「……これ……スケブの紙じゃない」
愛(散らばっている紙は、スケッチブックの紙じゃない。そして、落ちていたスケッチブックは──)
愛「白紙……だ」
愛(あ。アタシ。最悪だ。とんでもない事、した)
愛(色々な感情が全身をくるむ。しおってぃーは、何もやってなかったんだ。アタシが、しおってぃーを──傷つけた)
愛(全身の力が抜けていく。しおってぃーの絶望に満ちた表情。あれは、アタシの顔を見てだ。一瞬表情が緩んだのは、アタシが第一発見者だったからだ)
愛(最後の最後でしおってぃーはアタシに手を伸ばしたんだ。なのにアタシは──なんて言った? しおってぃーに、なんて言ったんだ?)
──なんで、しおってぃーが、こんな。
愛「ぁ……ああ……」
愛(アタシ、しおってぃーを……しおってぃー……信じてなかったんだ……)
愛(ずるずるとへたり込む。しおってぃーを追いかけて、謝らなくちゃいけないのに──身体が、言う事をきかなかった) ──────
果林(愛が帰ってこないまま時間だけが流れ、私は部室棟を飛び出していた)
果林(いくら愛が璃奈ちゃんの為だからって、闇雲に学園中を探し回るなんて馬鹿なことはしないはず)
果林(むしろ闇雲に探し回っているのは私の方だ。満足に自分の現在地もわからないまま、愛の姿を探し続ける)
果林「どこ──どこにいるの、愛」
果林(迷いに迷って、ようやく一年生の教室がある廊下に辿り着く。一体どれだけ時間がかかったのかもわからなくて、我ながら本当に情けない)
果林「この階に居てくれると助かるのだけど……」
果林(教室を一つ一つ覗き込む。放課後の遅い時間、人はゼロで教室には誰もいない。お陰で聞き込みもできない──そう思った時)
果林「──愛?」
果林(ぽつり、と見覚えのある姿が教室の隅で見つかった。蹲った彼女の白い花、金の髪──そして散らばっている、紙屑)
果林(嫌な予感がした。ひどく冷たい汗が背筋を流れ、振り払うように私は教室に飛び込んだ)
果林「愛!」
愛「……カ、リン……?」
果林(こんなに弱っている彼女は、初めてだ──)
果林「愛! どうしたの!? 何があったの!?」 愛「アタシ……取り返しのつかない事、やっちゃった……」
果林「愛! 何があったの!? 愛、何かされたの!?」
愛(カリンの焦った顔。そうだよね、まずは、この状況、気遣うのが普通だよね。なのにアタシは、最初から、疑って──)
愛「アタシ……しおってぃーを……傷つけた……」
果林「傷つけた……? 栞子ちゃんを? 貴女が?」
愛(動揺するカリン。そうだよね。カリンはアタシがしおってぃーを傷つけるなんて、思わないくらい信じてくれてる──けど、アタシは……)
果林「愛、しっかりしなさい!」
愛(両肩を支えられて、まっすぐカリンと顔を突き合わせる)
果林「愛……どうしたのよ、愛……どうして……」
愛(カリンの信じられない、という表情。それを見れば、アタシが今どんなにヒドイ顔をしているのか、良く分る気がした)
愛「これ……これを、りなりーのスケッチブックを破いたのを、しおってぃーがやったんだって、アタシ、しおってぃーに……」
果林「……愛、あなた……」
愛(カリンの顔が、苦しそうにゆがんだ) ──部室
しずく「果林さんも愛さんも、遅いですね……愛さんは携帯を持って出たのに連絡が取れないし、果林さんは携帯を持たずに飛び出しちゃうし……」
エマ(やっぱり果林ちゃんを一人にしたのは失敗だったかな……)
璃奈「……私、二人を探しに行く。スケッチブックは作り直せばいい。でも、二人とも帰ってこないのは心配」
エマ「あっ、待って! じゃあ私も一緒に行くよ! しずくちゃん、彼方ちゃんを見ててくれる?」
しずく「はいっ。私はここでスケッチブックを探してみます。お二人とも、お気をつけて!」
エマ「うん、お願いねしずくちゃん。璃奈ちゃん、行こう!」
璃奈「うんっ」
ばたんっ
エマ「でも、二人ともどこを探してるんだろう……」
璃奈「愛さんならまず一番可能性の高い一年生の教室から探すと思う。でも、もうだいぶ時間が経ってる。だから逆を突いて三年生の教室を探そう」
エマ「そうだね……。うん、じゃあまず三年生の教室──」
ピリリリリリ ピリリリリ
エマ「あっ、もしかして……あ──」
エマ(演劇部の部長さん!?)
エマ「璃奈ちゃんごめんね、ちょっと電話出るね……先に三年生の教室に向かっててくれる?」
璃奈「うん、わかった。また後で」タッ
エマ「うん──後でね、璃奈ちゃん」
エマ「──もしもし、部長さん……?」 璃奈(二人ともどこを探してるんだろう……どこに行っちゃったんだろう……)タタタタタタ
璃奈「あっ?」
璃奈(階段を登り切って、廊下に出た瞬間──見覚えのある、翡翠色の髪が私の視界に一瞬飛び込んだ)
璃奈「栞子、ちゃん」
璃奈(栞子ちゃんの姿を見ると、心がじくじくと痛む。色んな言葉を投げかけられたけど──でも、私はあの演説を聴いて、私に投げられた言葉のすべてが本心だとは、思えなかった)
璃奈(きっと何か理由があるんじゃないかって──そう、信じている私が居た。愛さんに教えてもらったこと。話を聞いてみなくちゃ、知らないと何もわからないって事)
璃奈(本当に私の事が嫌いなら、それでいい。でも、誤解したままだったら、もっとだめ。エマさん、ごめんなさい。後をお願いします)
璃奈(私はひとりエマさんに心の中で謝ると──栞子ちゃんが去っていった、屋上へと続く階段を駆けだした) 夕焼けが沈んでいく。もう涙は流れない。ただ、元には戻れないんだと、今まで積み上げてきたすべてを、私が崩してしまったんだと思いました。
愛さん。私の初恋の人。私の根本は善であると、信じてくれた人。そして、私の醜い心で、彼女の信頼を裏切ってしまった。例えあの状況、私が無罪だったとしても──。
今までの私の行いを考えれば、愛さんの信用を失うのは当然の帰結。そう。私は、私は──天王寺さんを……愛さんが、最も大切にしている人を、傷つけた。
愛さんは知っている。天王寺さんを傷つけたのが私だということを。天王寺さんが愛さんに言わなくても、愛さんはきっと天王寺さんの心に気づく。
私は愛さんを裏切り、天王寺さんを傷つけ──。
「栞子ちゃん」
「!?」
誰もいないはずの屋上で、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
「やっぱり、見間違いじゃなかった」
「天王寺、さん……」
ただ静かに、彼女は──天王寺璃奈さん……愛さんの最愛の人が、そこに立っていた。 璃奈「良かった、見つけられて」
栞子「あ……愛さんは、一年生の教室、です」
栞子(この状況で、それでも彼女は無表情だった。私を糾弾しに来たのか、それとももっと何か別の事があるのか──私はただ、聞かれてもいないことをつぶやきます)
璃奈「ううん。栞子ちゃんを見つけたから、私はここに来たの」
栞子「わ、たし……」
璃奈「私ね、今迷ってるんだ。それに悩んでて。だから、栞子ちゃん──会長さんに、相談事」
栞子「は──」
栞子(何の話か、と思い、即座に思い返します。入学希望者を前にして述べたあの言葉だ)
璃奈「つい最近、同好会にメンバーが増えたの。最初に出会ったころは、仲良くなれるかどうかわからなくて不安で……でもみんなと一緒に部活をしてるうちに、馴染んできたんだ」
璃奈「でもね、私だけ……上手くその子と、馴染めなくて。私、うまく表情を顔に出せなくて。中学生の頃は、この事が原因で、気持ち悪がられたり──」
璃奈「仲の良かった友達にも、うまく分ってもらえなくて。ひとりぼっちだったんだ。今でこそ、色んな人に理解してもらえてるけど──」
璃奈「その子とは、どうしてもうまく馴染めなくて。きっと私が、無表情で、スケッチブックに頼って感情を表しているから、信用されないんだと思うの」
璃奈「でも、今の私はアレを使うか、がむしゃらに心を通わせようと、するしかないんだ。ねえ、会長さん。新しく入ってきた子は、私の事、やっぱり嫌いなのかな? 気持ち悪がられてるのかな?」
栞子(……ちがう。ちがう。貴女が悪いんじゃない。貴女が悪いんじゃない。悪いのは私だ。嫉妬して、みっともなく、あの人の一番は私でありたいと思った、私が悪いんだ)
栞子(あの時気付いたんです。例えどれだけ時間をかけても、私にはあの表情をしてもらうことなんてできない。あんなに愛さんが感情を露わにするのは──天王寺さんだけ)
栞子(最初から私は、勝てない勝負に挑んでいたんだって。愛さん。やっぱり不可能なことは、私には不可能のままなんです) 璃奈「ねえ、会長さん。もし私が、その新しく入ってきた子が私を嫌っているなら、私、これ以上付きまとうのは──」
栞子「違うんです!」
栞子(叫んだ。愛さんの信用を裏切って、天王寺さんの心を傷つけて、私はそのままなんていられない。去るべきは、私の方だ)
栞子(もう心は限界まで傷ついた。私の虚勢の殻はない。心も体ももうボロボロだ。それでも私は、たった一つの、三船栞子としての矜持までは失ってはいけない)
栞子(私は裏切り者だ。大勢の人を傷つけて生きてきた、愚かで馬鹿な咎人だ。でも、私は決めました。愛さんが信じてくれた優しさが、私にはなくたって)
栞子(もうこれ以上愛さんを裏切り続けることはできない。例え敵わない恋だとしても、私は、宮下愛という人を、これ以上裏切りたくはない!)
栞子「私……私。私は。……私も。みや……」
栞子(逃げるな。天王寺さんから逃げ出してはいけない。彼女は私の言葉で何度傷ついても、ここで、私と対話を試みてくれる。彼女もまた、私の事を信じてくれているから、私も──)
栞子「私も、天王寺さんと同じで、愛さんの事が、好きなんです」
璃奈「……!」
栞子(一瞬。本当に一瞬、あるかなきか、身体が一瞬強張ったように見えました)
栞子「でも……私、今日、わかったんです。愛さんの一番は、天王寺さんだって。あの日私を助けてくれた愛さんより、今日私を睨みつけた愛さんの方が、怖かったんです」
璃奈「え、と──」 栞子「醜い嫉妬心でした。貴女と愛さんのその関係に、ただ嫉妬したんです。ただそれだけで、私は貴女にあんな醜い、非道な言葉を投げつけたのです」
璃奈「栞子ちゃんが……愛さんの事を……」
栞子「もう、駄目でした。あの人が差し伸べてくれた手に縋った時。どん底だった私を、救ってくれたあの人を──自分だけの愛さんで居てほしいと、願ってしまったのです」
璃奈「……」
栞子「今思えば、貴女は私と真逆の選択をしたのですね。愛さんが私を救うことを、大勢のヒーローであることを、貴女は肯じた」
栞子「きっと貴女は優しいのですね。愛さんに救われたからこそ、他の人も愛さんに救われてほしいと願い、あの人の手は私にまで伸びた」
栞子「けれど私は、その伸ばされた手を、独り占めしようとしたのです。醜い独占欲で以て。私だけの愛さんになって欲しいと願ったのです」
栞子「……例え私が先に愛さんに会っていても、きっと私の恋は実らなかった。愛さんのすべてを受け入れて、信じて、愛している天王寺さんだから──」
璃奈「私も、沢山ヤキモチを妬いたよ。気が気じゃなかったときもある。でもそういう感情を表に出せなくて、不安になったこともたくさんある」
栞子「え──」
璃奈「でも、それでも、私は愛さんの枷にはなりたくなかった。私が好きな愛さんは、私の事が好きな愛さんじゃない。私を救ってくれた、あの時の愛さんだから──」
璃奈「例え愛さんが他の人を好きになっても。私は、愛さんが大勢の人を助け、救い、愛さんだけが放つ光で輝いてくれる方を、選ぶ。愛さんが幸せであることが、私の幸せだから」
栞子(……ああ。なんだ。本当に、勝てるわけがなかったんだ。最初から、二人はお互いの幸せだけを考えていたんだ) 栞子「……天王寺さん。私は愛さんが好きです。そして、貴女に嫉妬しました。私では到達できないその場所に居た、貴女に」
璃奈「……うん」
栞子「だから──天王寺さん。ごめんなさい。私は、貴女を傷つけました。私の、我儘な感情が全てで、貴女に一切の非はありません。ですから。どうか──どうか。許してください……っ」
栞子(笑うしかできないほどの完敗に、遂に嫉妬心も絶望も、何も残りませんでした。空虚とも違う、一種の満足感に似た何か。だからこそ、心から、謝罪します)
栞子(……さようなら。私の初恋)
栞子(そうつぶやいた後、もう一度頭を上げて前を見ると──目の前の天王寺さんが、私に手を差し伸べていました)
璃奈「仲直り、しよ?」
栞子(この期に及んで……こんな私に……『仲直り』……だなんて……)
栞子「──っ」グスッ
栞子(強く、差し出された手を、強く握る。すると、ほんの少し、天王寺さんの表情が、和らいだような気がしました)
璃奈「ところで……愛さんと、何かあった? 私が何か言う前に、愛さんの居場所を話してくれたって事は……」
栞子「ぁ……私……愛さん……愛さんを……裏切って……っ」
栞子(蘇る恐怖心と絶望。私の体が震えだして──けれど。私の手が、小さな両手に包まれる)
璃奈「大丈夫。今度は私と一緒に、愛さんに会おう。私と栞子ちゃんは友達。だから、辛い時は一緒に居るよ」
璃奈「そしてもう一度、お話ししよう、愛さんと。だから──教えて? 栞子ちゃんが、こんなに悲しい顔をしている理由を」 ──廊下
演劇部部長『連絡が遅くなってしまって済まないね。やっと尻尾を掴めたと思ったらこのザマだよ』
エマ「もしかして、栞子ちゃんのいじめの犯人が分かったの!?」
部長『端的に言うとそうだよ。委細を言えば宮下さんと三船生徒会長は嵌められたんだよ』
部長『多分いま君たちが探している天王寺さんのスケッチブックは今まさしく、三船さんを虐めていた人間が持っている。しかも無傷でね』
エマ「えっ──?」
部長『流石に宮下さんの──上手い表現ができないから、パートナーと言わせてもらうよ。そのパートナーの大切なものを傷つける勇気はなかったようだね』
部長『まあ、盗んだ時点でもうある意味終わりだとは思うけど……バレなきゃセーフの精神で、盗むだけ盗んで、後で一年生の教室にでも置いておくつもりだったんだろう。全く、本当にたちが悪い』
エマ「どういう……こと……? 盗む……って?」
部長『三船生徒会長を嵌めるために、三船生徒会長を虐めていた連中が、同好会の部室に侵入して天王寺さんのスケッチブックを盗んだんだよ』
エマ「!?」 部長『彼女たちはそっくりのスケッチブックを用意して、教室に破いた紙を散らしておく。三船生徒会長が生徒会室を出た辺りで、彼女のカオを描いたスケッチブックを一ページ置く』
部長『その後に部活の帰りがけの宮下さんの友達に一枚渡す。全く、三船生徒会長を嵌めるためにこんなことをやるなんてね。最早執念だよ』
部長『それに彼女はスケッチブックに描くパターンと、ルーズリーフに描くパターンがあるからね。大方宮下さんの友達はルーズリーフのものを渡されたのだろう』
部長『そして先に三船生徒会長を教室に誘導した後に、宮下さんが教室に行くように仕向ける。宮下さんの友達に渡したタイミングはそこだろうね』
部長『当然宮下さんは連絡を受けて部室を飛び出して教室へ飛んでいく。するとスケッチブックを盗んで破いた犯人は三船生徒会長だと勘違いする……』
部長『あの宮下さんなら見抜けるのでは、と期待しているけれど……彼女も人の子だ。天王寺さんと言う弱点……いや、弱点とも呼べないような特徴を突かれると或いは……』
エマ「そんな! そんな……ひどい……ッ」
部長『つい最近の彼女たちは、三船生徒会長を陥れることにご執心。他の事はもうどうでもいいように見えたからね』
部長『私の張り込みにも気付かなかったようだ。宮下さんと三船生徒会長がどうなったかは分からないが──今私は主犯の近くに居る』
エマ「──どこにいるの?」
部長『っ……か、彼女たちは、三年の教室に──』
エマ「ありがとう、部長さん」ピッ
エマ「……Niemals vergeben」 私にとって愛は、本当に様々な一面を持っている存在だった。友人で。好敵手で。相棒で。目標だった。どこかで私は、宮下愛という私の一つ年下の女の子を、勝手に神格化していた節があった。
神格化、なんていうと大仰だけど。私の様に気取らず、自然体でありながら人を惹きつけていく──愛と、せつ菜は、私にとって特に超えるべき壁だった。
だから、あの二人にはあまり気を遣わなくていい。人としても、スクールアイドルとしても、私より格上の存在だから。そう思っていた節がある。けれど、実際はどうだ。
せつ菜は栞子ちゃんの事で深く傷つき──無理をしていることは気付いていたけれど、せつ菜なら、と甘えていた──愛は今、私が見たことないくらい、痛々しく傷ついている。
他人の為に力を尽くすがゆえに、傷つき、それでも光を振りまいていく。私の様に、冷たい人間じゃない。自分の事しか考えない、私とは全然違う、眩しい存在。
でも、二人だって、まだ高校二年生の女の子だ。せつ菜も愛も、何でもできる、アニメや漫画の世界のスーパーヒーローなんかじゃない。人間だ。傷ついて、苦しむことがある。
私は彼女たちは傷つかない存在だと、勝手に思い込んでいた。
だからあの時も、あの子に栞子ちゃんの事を任せて、私は彼女に劣等感を抱いてるなんて独り言ちて。彼女達を私は、対等に扱っていなかったんだ。
「愛! しっかりしなさい!」
「アタシ……サイテーだ……しおってぃーのこと、全然信じてなかったんだ……」
うつろな瞳で彼女は呟く。畜生、と胸中でつぶやいた。こんな時にどうしてここに居るのが私なんだ。璃奈ちゃんが居れば、ただ抱きしめるだけで彼女の心を救えるというのに。 「愛……っ」
「しおってぃーの事、アタシが一番信じてあげなきゃいけなかったのに……最後の最後で、アタシ、しおってぃーを裏切って、傷つけたんだ」
「愛! 私を見なさい!」
「愛さん、しおってぃーに言ったんだよ。しおってぃーの根底には『優しさがある』って。でも、アタシがその優しさを信じてなかったんだ。最低だよ。アタシ」
「愛っ!」
貴女だって人なの。時には誰かを信じきれない時だってある。それをそんなに責めないで。人である以上、時にはそういう時だってあるに決まってる。
いついかなる時も、すべての人間を信じるなんて、そんなのできる方がおかしいんだから。
ぐすっと鼻が鳴る。何年ぶりに流したものか、両目には熱い感覚が宿っていく。
「ぁ……カリン……?」
私の名前を呼ぶけれど、うつろな瞳に光は戻ってこない。やめてよ。そんな顔しないで。不敵に笑って、私を呼び捨てて、強気な態度で居てよ。
「しっかりしてよ愛! 貴女がそんなんでどうするのよ!?」
駄目だ、こんな愛、見てると私まで辛くなる。こんなに傷ついたこの子を、私は見たくなかった。いや、私は我儘に理想の彼女を彼女に押し付けてる。でも、愛にはいつも笑顔で居てほしい。
そもそも、傷つく状況に追い込んだのは、私だって原因の一つだ。
「カリン……」
「愛が信じなきゃどうすんのよ!?」 愛の肩を掴んで揺さぶる。もうなんだっていい。立ち直って欲しい。クールキャラもクソもあるものか。愛に笑ってほしい。夏祭りの時、迷子になった私の手を取ってくれた、あの笑顔で。
「アタシが裏切ったんだよ……」
「裏切ってなんかない! ただ、ただ……どうにもならないときが、あるじゃない……っ」
絶望的に慰めるのが下手なのは、たぶん私が感情的になってしまってるから。ほんとはこんなこと、愛を余計に傷つけるだけなのに。
「でも、アタシが……」
傷ついた愛の表情を見て、私は悔しくなる。自分を思い切り殴りつけてやりたかった。栞子ちゃんの事を、愛一人に押し付けたのは私だ。
だから愛だけが栞子ちゃんを一番に信じなければならない状況にしてしまったんだ。私が彼女と一緒に栞子ちゃんに心を傾けるべきだったんだ。
死ぬほど情けない。泣けるほど悔しい。愛をこんな状況に陥らせるまで放っておいた自分が情けない。私は馬鹿だ。勉強もできないし、人の心もわかってやれない。
愛に任せていればいいなんて。裏方に徹してればいいなんて。結局きつい所を愛に押し付けた、私が非道だった。
「愛ぃ……!」
情けない声が漏れ出る。恥も外聞もあるもんか。クールな朝香果林なんてくそくらえだ。今くらい素の私で愛にぶつかれ、朝香果林。
「愛が、愛が、笑ってくれないと私、どうしたらいいかわかんないのよ……」 「……アタシは、しおってぃーを……」
違うの。私が、愛と一緒に、栞子ちゃんを信じるべきだったの。
「愛……愛っ。私は」
やばい、本当に涙が止まらない。悔しいやら情けないやら悲しいやら、もう自分の中でも感情がぐちゃぐちゃになってる。
「愛──ごめんなさいっ……私が、私が……あなた一人に押し付けたから──こんな目に……」
愛に縋りつく。そのまま、うつむいて、ぐすぐすと鼻を鳴らす。
「私も、貴女と一緒に、やるべきだった──何が相棒よ……親友よ……私、何ひとつ、愛の事……わかってなかったのよ……」
今こんな時に謝罪したって、なんにもならない。愛はそんな事言われても、どうしようもないじゃない。
「カ、リン……」
「ごめんなさい、愛──私、貴女を、貴女に、甘えてた──ごめんなさい……っ」
「カリン……どうして、泣いてんのさ……?」
弱弱しい、愛の声。私はハッとして顔を上げる。
「駄目じゃん、カリンいつもクールに振舞うって言ってんのに……」 弱弱しく、微笑む愛。私は泣きべそ顔で、愛を見据える。
「クールじゃいられないの。私の……私の相棒が、こんなに傷ついてるんだから、冷静になんて居られないわ……」
「カリン……」
「愛。私、貴女に甘えてた。栞子ちゃんの事、貴女に任せればいいって私が勝手に判断していたの。貴女ならやってのける、なんて」
「カリンが信用してくれた証拠だよ。しおってぃーを信じられなかったのは、アタシの──」
違う。たとえ信じていたとしても──。
「私が貴女の相棒だって言うなら、苦楽を共に、やるべきだったの。私は貴女の相棒だなんて言いながら、貴女と私は対等じゃなかった」
「か、りん……?」
「愛。今はまだ、貴女の相棒だなんて名乗れない。だから、お願い。貴女に甘えている情けない私の最後の甘えを、聴いて」
「カリン──」
「愛が自分を責めるなら、私が愛を許すことを、許して。愛が誰かを信じられなくたっていい。貴女は人間だもの。いついかなる時も万人を信じるなんて不可能なの」
「……」
「私は愛が今までやってきた、栞子ちゃんに対する行動を知ってる。培ってきた信頼は、なくなったように見えるかもしれないけど──」
「それでも、貴女ならまだチャンスはある。私にはできない。彼方にも、エマにも、この世界の誰にもできない。この状況に貴女を陥らせてしまった私だからわかる。貴女なら、できる」
涙が止まらない。悔しい。こんな時に、愛と一緒に立ち向かってやるのが、相棒というものだ。これはただ、愛に縋って懇願するバカな女だ。 「愛。行って。栞子ちゃんともう一度、話してきて。貴女なら、取り戻せる」
カリンの言葉が、乾いた心に沁みていく。そうだ。悪いことをしたら、謝る。おばーちゃんが言ってるじゃないか。
誰かを知るためにやるべきこと。悪いことをしたらするべきこと。
私はしおってぃーを傷つけた。たとえそこにどんな理由があろうとも、それは変わらない。なら、私が自身に絶望しても、やらなきゃいけない事がある。
「……カリン、やっぱカリンは、アタシの相棒だよ。DiverDivaっていう、最強のユニットで、最高のライバルだ」
カリンの言葉。心に熱が、灯った気がした。きっとうまく笑えた。そう思う。
「……愛……」
カリンまで泣かせるとは、アタシはなんて罪な女だ。これ以上罪は重ねられない。
「カリン、アタシたちは……相棒で、親友で、ライバルで──」
「「うぇいうぇいの関係」」
立ち上がる。両脚は地に着いた。歩ける。まだだ。まだ終わりじゃない。宮下愛は、まだ終われない。りなりーの言葉が蘇る。
──愛さんは迷わずに、愛さんの思う通りに、動いてほしい。
「カリン、行ってくる」
ひらりと、ハンカチをカリンに投げる。
「泣き顔は、エマっちにしか見せちゃだめだぞ」
「……ばか」
拳を握りしめて。また開く。大丈夫、今度の私は冷静だ。行ける。行こう。しおってぃーを探しに。そしてケリを付けるんだ。 うぇいうぇいの関係ってなんだっけ何処かで聞いたんだよな……
ラジオドラマだっけ……? いじめはエマちゃんが乗り込むのもあって解決しそうだけど、せつ菜の蟠りがまだあるんだよな…どうなるかな >>234
これドイツ語で検出されたんだけどどういうこと? >>260
スイスの公用語はドイツ語フランス語イタリア語ロマンシュ語の4つだぞ 「絶対に許さない」ってちゅんるんボイスで聴きてぇなぁ 誤解@ 『スイス語』が存在する(あるっちゃある)
誤解A スイス人はみんなどの公用語も使える 一部でエマが当たり前のように日本語+五ヶ国語をマスターしてる認識があるけど
どこが初出なんだろ
スイスでは出身圏の言語に加えて学校で二ヶ国語習うって聞くけど 言語がまったく違う他国の高校で優秀な成績を納められるってことはエマさんが一番の才女なんじゃないかと思った りなしおの問題が解決してもせつしおの問題もあるからどうだろう ──三年生教室
エマ(教室の戸を開けると、驚いたように三人の視線が私へと向かってきました)
エマ「みんな、ここで何してるの?」
エマ(三人。皆バレー部員の子だ。学科は違うけど、でも姿を見たことはよくある)
「!?」
「エマちゃん!?」
「なんでここに……?」
エマ「……璃奈ちゃんのスケッチブックを探してたんだけど──貴女達が見つけてくれたんだね。どこで?」
「……」
エマ「璃奈ちゃん、それがなくて困ってたの。部室に置いておいたはずなんだけど……どこで、見つけたのかな?」
「……ねえエマちゃん、エマちゃんは何とも思ってないの?」
エマ「……栞子ちゃんの事?」
「! 何か思うところ、ないの!? エマちゃんが好きで好きで仕方ないスクールアイドルを、馬鹿にして、廃部にしようとした奴だよ!? 何も思わないの!?」
エマ「……そうだね。どうしてスクールアイドルをあんなに嫌うんだろう、とは思ったことはあるかな」
「じゃあ──」 エマ「でもね。果林ちゃんと彼方ちゃんの三人で、栞子ちゃんを虐めようなんて、思いもしなかったよ」
「……エマちゃんはわからないのよ」
エマ「……」
「適性がないなんて言われて、無理矢理転部させられて、悔しい思いをしたこの子とが!」
エマ「……それで、虐めていい理由になるの?」
「な──」
「なにを──!」
エマ「栞子ちゃんのやり方が悪辣だったとして。虐めていい理由になるの?」
「……」
エマ「三人とも、私に教えて? 日本では、悪いことをしたら虐めていい、っていうルールがあるの?」
「そ、れは──」
エマ「ないよね? 虐めていい理由なんて──ないよね」
「それでもアタシは今の状況に全然納得いってない! なんでのうのうとあいつだけ自分の好きなことをやってんの!? エマちゃんは何とも思わないの!?」
エマ「……私、言ったよ? なぜだろう、って思ったことはあるし。どうしてこんなに? って思うこともあった。でもね?」
エマ「虐めなんて、少しも思いつかなかったんだよ」 「おかしいじゃん! アタシらの活動は散々邪魔されて! それであいつは愛ちゃんに諭されたかなんだかで、コロッと考えを変えて!」
エマ「……そうだよね。皆から見れば、『コロッと』としか、思えないよね」
「は……?」
エマ「ねえ、誰も直接口論する、っていう思いはなかったの?」
「な──?」
エマ「言いたい事があったら、直接言う。当たり前のことだと、私は思うんだ。弟妹たちにも、同じように教えてるんだけど……みんなは違うの?」
「「「……」」」
エマ「卑怯なことはしちゃいけないって。少なくとも私は、そう思ってるよ」
「……」
エマ「……私がここに来たのは、いじめを止める為。ねえみんな、いじめは悪い事って理解できた上でやってたんだよね?」
「……」
エマ「返事して?」
「……そりゃ、そうじゃん」
エマ「……栞子ちゃんに、何が言いたいの? 私に、教えて?」
「え……?」 ──屋上
愛「しおってぃー!」
栞子「!」
璃奈「愛さん」
愛「え、りなりー……どうしてここに?」
璃奈「スケッチブックを探してたら、栞子ちゃんと会ったからお話してたの。愛さんは?」
愛「愛さんも──愛さんも、しおってぃーを探してたんだ。謝らないといけない事があったから」
栞子「え──? ち、違います、違うんです愛さん! 悪いのは私の方で──」
愛「しおってぃー、アタシ、しおってぃーの事全然信じてなかった。あんなにしおってぃーを信頼したようなそぶりで、全然しおってぃーの事、信じられてなかったんだ」
愛「どうしても、りなりーのことになると、アタシ、カッとなりやすくて。でもしおってぃーにはそんなの全然関係ない話で──」
愛「だから、ごめん! しおってぃー!!」ペコッ
栞子「あ……。あの、えっと、ぁ……」チラッ
璃奈「──大丈夫」コクン
栞子「……愛さん」
愛「! しおってぃー……!!」パッ
栞子「私も……私も。愛さんに、愛さんと璃奈さんに謝らないといけない事があるんです!!」 愛「え? しおってぃーが?」
栞子「私は、璃奈さんに酷い事を言いました。それで強く璃奈さんを傷つけて──愛さんの信用も裏切りました」
栞子「……だからあの時、あんな風に愛さんが怒っても、仕方ない、と私は思います。今日の事は、私の自業自得でしかありません」
愛「しおってぃー、りなりーを傷つけたことと、愛さんの信用は全く別だよ。しおってぃーを信頼できなかった、愛さんが悪かったんだ」
栞子「いえ! 違います、私が──私が愛さんの信頼を裏切ってしまったから──」
愛「違うよ、しおってぃー、愛さんが──」
璃奈「……二人とも鼬ごっこ。これじゃあ前に進まない」
愛「!」
栞子「!」
愛「あはは、確かに。じゃあ、喧嘩両成敗って事で──しおってぃー、それでいいかな?」
栞子「愛さんこそ。それでいいなら──ありがとうございます」
愛「……ふぅ。良かった……ってりなりーもしおってぃーも、仲直りしたの!?」
璃奈「うん。もう大丈夫。仲直り、した」
栞子「天王寺さんに……その。許してもらいました」 愛「そかそか! よかった……! でもしおってぃー、仲直りしたならこの際、りなりーの事も下の名前で呼びなよ」
栞子「! え、と──」
璃奈「璃奈って、呼んで?」
栞子「……りな、さん」
璃奈「……うん」
愛「……ふふっ、なんか面白いね」
栞子「ええ!?」
璃奈「愛さん、笑うのは失礼」
愛「ふふふ……や、ごめんごめん。でも、でも──安心したよ、愛さん」
栞子「?」
愛「三人とも、仲直りできたから。ほっとしちゃったよ」
璃奈「私も。栞子ちゃんと仲良くなれて、良かった」
栞子「……はい。私も……あれ? そう言えば愛さん、璃奈さんのスケッチブックが……」
愛「ああっ!? そうだ、りなりーのスケッチブック! あれ、ニセモノだったんだ!」 璃奈「偽物? どういうこと?」
栞子「……」
愛「そうなんだ。愛さん、りなりーのスケッチブックを探す途中で、ニセモノのスケッチブックを持ってるしおってぃーを──」
栞子「その話は! とにかく、私と愛さんが見つけたスケッチブックは誰かが置いた偽物で──本物は別の場所にあるのかもしれません」
愛「多分アタシとしおってぃーは嵌められたんだ。仲違いさせるように。その為にりなりーを利用するなんて絶対に許せない」
愛「──りなりーにまで手を出した以上、落とし前は絶対につけさせてやる」
栞子「!」ゾクッ
璃奈「愛さん、落ち着いて。取り合えず探しに行こう?」
愛「……わかった。でも、犯人を捕まえたら容赦はしない。しおってぃーも行こう、アタシが悪かったとはいえ、しおってぃーも──」
栞子「……いえ。私はもう少し、ここに居てもいいですか」
璃奈「!」
愛「え、どうし──」
璃奈「愛さん! 行こう?」グイ
愛「り、りなりー?」
栞子「はい。すぐに──また、元に戻りますから」
愛「え──」 璃奈「栞子ちゃん、じゃあ──」
栞子「はい、また後で──璃奈さん、愛さん」
愛「うん……じゃあ、また後で──」
ばたん
栞子(誰も居なくなった屋上で、私は空を見上げます。もう陽は落ちる。太陽が海に落ちていく)
栞子「改めて……愛さんは、やっぱり璃奈さんの方が大切……ですよね」
栞子(愛さんの視線。言葉。そういった言動から、私は目敏く機微を見つけてしまいます)
栞子(今はまだ、やっぱりこの気持ちを捨てることはできません)
栞子「さようなら、愛さん。ずっと、ずっと──初めて会った時から……好きでした」
栞子(消えていった塔屋の向こうへ、私は静かに呟きます)
栞子「……きっといつか、いつか……私もこの気持ちに、ケリを付けてみせます……」
「ひと段落着いたかなぁ?」
栞子「!?」 彼方「三人で何か話していたみたいだけどぉ……一息つけたみたいだねぇ」
栞子「こ、近江さん……!?」
彼方「話の内容までは聞いてないから安心してくれ〜」テクテク
栞子「あ、あの、私──っ」
彼方「でも、ずいぶんと辛い思いをしたんだねぇ」
栞子「……つ、らい……」
彼方「そうだよ〜? 栞子ちゃんはずっとずっと辛かったんだよねぇ。多分彼方ちゃんにもわからないくらいの、辛さで」
栞子「……つらい……」
彼方「そう、辛いでしょ? ほら、ベンチ座ろ〜」ペタン
栞子「でも……この辛さは、自業自得で……」
彼方「自業自得でもなんでも、吐き出さないと余計辛いだけだぜ〜?」
栞子「っ」
彼方「ほら、座りなよ〜」
栞子「……」 彼方「言ったじゃんかぁ。困ったときは彼方ちゃん達に言ってねぇ、って」
栞子「あ……それは……でも……」
彼方「ほらっ」グイ
栞子「!」トスッ
彼方「ほーら」ギュッ
栞子「ぁ……」
彼方「さぁさ、心の中のものを全部吐き出しちゃえ〜」
栞子「……」
栞子「……私は……私は」
栞子「近江さん。私は、愛さんの事が好きでした──愛さんの一番になりたかったんです──」 ──教室
エマ「……そうだよね。皆恨み辛みはあるよね」
「わかるでしょ──わかるでしょエマちゃんなら!」
エマ「……私はね。虐めの根っこの部分を取り払いたいって思ってるの」
「……え?」
エマ「虐めの根っこの原因は、栞子ちゃんに対する、不満だって──私たちは考えてる」
エマ「だから、その不満を栞子ちゃんに口に出してぶつけないと──きっと虐めはなくならない」
「エマちゃんだって──エマちゃんだって、三船にも原因があるって思ってるんでしょ!?」
エマ「同じにしないで」
「っ」
エマ「栞子ちゃんも同じように、貴女達に言いたい事があるはず。こんなに卑怯な手に出たことや、どうしてああいう手段を取ったのかって」
エマ「……私は貴女達の言い分を、聞きたかったの」
「……」
エマ「今度、栞子ちゃんと関連する部活が巻き起こした一連の騒動について──中川さんが、部活側代表として、生徒会長に質疑、応答をするの」
「えっ」
エマ「だから私たちは、各部、同好会にあった不満を聞き出して、まとめて、中川さんに伝えて──話し合う場を、設けるの」
「な──」 エマ「中川さんと栞子ちゃんに、また話し合ってもらうんだよ。今度は、各部活で、その話を聞きたいって希望した人たちの前で」
「……エマちゃん、それ、私たちも出たい」
エマ「うん。もちろん、出る権利はあるよ」
「……」
エマ「でも、栞子ちゃんを虐めたことは、全く別の問題……ちゃんと報いは受けてもらうね?」
「えっ?」
エマ「もうすぐ、愛ちゃんが来ると思うの」
「え……」
「嘘……」
「まじで……?」
エマ「璃奈ちゃんまで巻き込んだこと。愛ちゃん、本気で怒ってると思うから」
がらっ!
エマ「……来たみたいだね」ニコ
「──やっと、見つけた……! お前ら……お前らが、りなりーの──!」
「バレー部のひとたち……どうして……」
エマ「……じゃあ、始めよっか、愛ちゃん」 ──部室
果林「結局しずくちゃんに迎えに来てもらった挙句、最後までお留守番してもらって、ごめんね?」
しずく「いいえ。彼方さんが起きて部室に出ていく前に、今の状況について説明を受けていたので……」
果林「……しずくちゃん、最初に言ってたわね。栞子ちゃんの事、知りたいって」
しずく「……はい。栞子さんをめぐる一連の騒動と、彼女が受けていた被害については──粗方、彼方さんから」
果林「そう。彼方から聞いた栞子ちゃんと、貴女が接した栞子ちゃんに、違いはあった?」
しずく「それは……わかりませんでした。分かることは……自分の正義に従って、正しいと思われることを成す。そして……実際に、手を伸ばした。せつ菜さんを、その。蹴落としてでも」
果林「……」
しずく「そしてそのやり方に同意されず、反発を呼び、虐めを呼んだ……」
果林「その虐めの根本を取り払うには、栞子ちゃんにはもう一度だけ、表舞台で──せつ菜とやりあってもらう必要がある」
しずく「それが、侑先輩たちが今取り組んでいることなんですね」
果林「そう。各部に現生徒会長への不満を聴いて回って、それを代表してせつ菜──いいえ、菜々に伝えてもらう。それで──すべての遺恨を取り払う」 しずく「……糾弾されると分かって、栞子さんは表舞台に立つでしょうか……?」
果林「立つわ。あの子は絶対に立つ。あの子だってわかっているはずよ──この一連の騒動に終止符を……清算するなら」
果林「あの子は立たなくちゃならない」
しずく「……」
がちゃ
エマ「みんなただいまぁ!」ニコニコ
璃奈「戻ったよ」
愛「おまたせぃ!!」
果林「あら、お帰りなさい三人とも。その表情とスケッチブックを見る限り……やるべきことは、やってきたのね」
愛「うん。きっちり落とし前は──あれ? しおってぃーと……カナちゃんは?」
しずく「えと、彼方さんは栞子さんを迎えに──」
ガチャ
彼方「呼ばれて飛び出て呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン」
栞子「ただいま戻りました」
果林「噂をすればなんとやら。文字通り役者はそろったって感じね」
彼方「部長さんにも事の顛末、後で話しておかないとねー」 果林「……さて。改めてみんなに集まったことだし、改めて状況を説明しましょうか」
エマ「今ここに居ない侑ちゃんや歩夢ちゃん、せつ菜ちゃんやかすみちゃんは……?」
果林「あの子たちは栞子ちゃんが虐められてた事を知らないから、改めて後日私と彼方から話をするわ」
彼方「任されたよ〜」
果林「さて。事の発端は栞子ちゃんが提案、実行した強制転部や提案した入部テスト等に対して、反発が広がったのが始まりね」
栞子「……」
愛「カリン、そういう言い方は……」
栞子「いいえ、事実です。事実には向き合う必要が、私には特にあります」
愛「しおってぃー……」
果林「……そうね。そしてその反発から、見える形でバレー部の三人から虐められてしまった」
璃奈「虐めに関しては、愛さんとエマさんがこっぴどく……こてんぱん……ええと、取り合えずもう大丈夫かな、って」
彼方「さて、確かにあの三人はきっともう手出しはしてこないだろうけど……栞子ちゃんに対する不満そのものはなくなってないのが実情だねぇ」
しずく「……そうか、他の部活でも抱いている不満そのものは、何も解決してない……?」
彼方「びんご〜。だから、後顧の憂いを断つ。それももう徹底的に」
栞子「……後顧の憂い……」 果林「やり方としてはシンプルよ。みんなが抱えている不満を、表面化させるってわけ」
愛「!? 表面化って……それじゃあしおってぃーはどうなるの!?」
果林「……愛、長い目で見ればわかるはずよ」
愛「……そりゃ、不満を抱え続けるよりも、どこかで解消した方がいいとは思うけど……」
栞子「……果林さん。ありがとうございます。私の為に考えてくださったことなんですよね……」
果林「私が発案じゃないわ。それに、冷たい言い方をするようだけど……貴女の為だけじゃないわ。各部に不満を抱えている人間と──」
エマ「せつ菜ちゃんの為でもあるの」
栞子「!」
愛「せっつー……」
果林「侑たちは今、各部の不満を聴いて回っているの。あの子たちはせつ菜が抱える不満を解決するため、という色合いの方が強いけれど」
彼方「大勢の人間が一度に栞子ちゃんに不満をぶつければ、それこそ──」
しずく「……部活紹介の時のようになってしまう……」
彼方「そうそう。だから、中川菜々と言う部側の意見をまとめた代弁者を立てて、もう一度討論会を行うって寸法さ。前生徒会長なら適役だよねぇ」 璃奈「討論会という名の……不満を述べる場であると同時に」
愛「……今後一切、今までの事でしおってぃーに対して悪口等を言わせない……」
果林「そういう意味を持った討論会にするつもりよ」
栞子「……私は……」
果林「……正直言うと貴女には今一度辛い立場に立ってもらわなければならない。けれど……これを乗り越えれば、もう文句は言わせないっていう大義名分が出来る」
彼方「どうかな、栞子ちゃん。過去の事を掘り返すようだけど……すべての因縁に、決着を着けられる……そう思って、やってみない?」
愛「……しおってぃー」
璃奈「栞子ちゃん……」
栞子「……立ちます。立たせてください。今度こそすべてを受け止めて──その上で。私は、ここに居たいです」
しずく「栞子さんは……栞子さんは、怖くないのですか?」
栞子「……怖いです。けれど、私がスクールアイドルを好きになって、姉さんと同じ立場になってみて──知りたいんです。姉さんが、今も不幸なのかどうか」
栞子「そのためにも私は──すべてに決着を付けたい。朝香さん、近江さん、ヴェルデさん。私に、その討論会に、立たせてください」
果林「決まりね。生徒会を通じて中川菜々名義で意見書が提出されるはずだから、後は生徒会の方で、うまく処理してくれれば良いわ」
栞子「はい。わかりました」 ──エマの寮室
果林「ふぅ……これで栞子ちゃんをめぐるすべての事に決着がつきそうね」
エマ「そうだね」
果林「……ところでエマ」
エマ「ん?」
果林「虐めっ子連中に、その、どんなことをしたの?」
エマ「んー……知りたい?」
果林「……いや、やめとく」
エマ「そっかぁ」ニッコリ
果林(……エマを怒らせるのは止めたほうが良いわね) ──翌日 カフェ
栞子「……」
せつ菜「……」
侑「二人とも暗いよ!? 暗すぎない!?」
歩夢「ゆ、侑ちゃん……!」
せつ菜「あ、あの侑さん、私はですね、その……表立って話をするとか、そういうつもりは全然なくて……」
侑「駄目だよ。言いたい事があるなら、絶対に言わないとダメ。一緒に部活動やってく仲間なんだし、こういう大きな問題は、絶対に解決すべきだよ」
せつ菜「あ、歩夢さん……!」
歩夢「ご、ごめんねせつ菜ちゃん。侑ちゃんも薄々気付いてて……隠し通せなくて……」シュン
せつ菜「べ、別に責めようとしたわけではなくてですね……」
侑「栞子ちゃんも──きっと討論会には栞子ちゃんがスクールアイドルをやることについて……と言うよりも、栞子ちゃんが好きなことをする、と言う事自体に反発を抱いてる人が大勢集まると思う」
侑「こういう会をお膳立てした私が言うのもおかしな話なんだけど……これを乗り越えて欲しい、って私は思うの」
侑「ただ、私はせつ菜ちゃんと栞子ちゃんとの間だけの問題だと思ってたんだけど……まさか、関連する部活も巻き込んだ話になるとは思ってなくて……」
栞子「私は承知の上です。高咲さんたちは、できるだけ小さく問題を解決しようとしてくださっていたのも、知っています。高咲さんたちは私と優木さんの間だけの問題だと考えていたんですよね」 歩夢「でも実際は、栞子ちゃんは──その。いじめ……られてて」
栞子「はい。今もきっと私に不満を抱える方は大勢いると思います。だから──中川さんに、すべての部活の代弁者になっていただいて」
栞子「私ともう一度、討論を行う。そう言う事に、なるんですよね。だからこそ……すべての意見を私に──せつ菜さんの想いを私に、ぶつけてください」
栞子「私も……私も、なぜあんな行動をとったのか……なぜ手のひらを返し、スクールアイドルをやりたいと思ったのかの理由を、皆さんに説明します」
せつ菜「……わかりました」ガタッ
栞子「せつ菜さん」
せつ菜「もう一度あなたと舌戦ができること……楽しみにしています」
栞子「はい……よろしくお願いします。優木せつ菜さん」
侑「二人とも、それが終わったら仲良くなってよね」
歩夢「そうだね……今度こそ、全部解決して、仲良くなって……改めて、十一人で、スクールアイドル同好会、やっていこうね」 乙
感情の問題だから話して理解してもらうってのは最悪の選択肢になりかねないけどどうか おつ
なんだかなぁ…
個人的にはバレー部のほうの肩を持ってしまってるわ >>320
超わかる
スクスタでやったことがチラついてさ… おつおつ
次々とハラハラする展開が来てほんと続きが楽しみになるなぁ スクスタの設定をあまり気にしすぎたらアカンで
どんな理由であれいじめを実行した者に対しては一切の同情の余地なし バレー部は栞子本人攻撃してるだけならともかく愛さんとりなりー巻き込んだからライン越えでしょ スクスタだと後に「やっぱ違うな」となって戻ってきた人含めて全員納得して転部してるけど
このSSだと無理矢理転部させられたことになってるんだよな 清算は大切だが仲良くならなきゃいけないもんなんだろうか >>314
今週のWaku-Waku(どんなコト?)
ねえねえねえ教えて(聞いてみたい!)
いっぱいだWaku-Waku(どんなコト?)
じゃあ発表してごらん? OK!! このSSは本当に丁寧に登場人物掘り下げててすごい
だけどこれだけフォローして寄り添って描写されててもせつ菜推しとしては見るのがしんどい
寄り添うくらいならスクスタみたいにサイコに笑い飛ばして貰った方がマシってレベルで原作の展開が胸糞過ぎる スクスタせつ菜に言って欲しかったことを前スレでかなり言ってくれたしこの舌戦でもと期待してる
本当はこの栞子じゃなくてスクスタの方に言って欲しいけど まあしたことはなくならないし、なんなら上位次元では今なお問題未解決だから同じキャラである以上尾を引いてしまうのは仕方ねえわ 生徒会長の座を奪われたせつ菜
部活を転部させられた生徒
生徒会長とスクールアイドルを両立して楽しむ栞子
多くの問題提起と解決方法を書いてて凄い こういう恨みって明確に報い受けないと収まらないからなぁ
虐めとかあったけど方向性が違うし
栞子が同好会辞めるくらいじゃないと たぶん今後もう詳しい言及はないんだろうけどしおってぃー虐めてたバレー部員の末路が気になりますねぇ……
続きが楽しみです! よく考えもせず交代を許した生徒に一番責任があるとはいえ
どう好意的に解釈してもあなたの為だからと人の生き方に指図するのは毒親行為でしかないわ
ハローワークみたいなところもあくまで訪れた人に対しての相談場所であって自分から押しかけたりなんてしないし “皆のため”の試策を打ち出してるはずの当人は誰の心にも寄り添わないで、自分ばかり周りから寄り添って貰ってるっていうのが
独り善がりというか、甘やかされてるというか、随分と都合の良い世界というか それに気付いたからごめんなさいしてるって話でしょ
でそのごめんなさいじゃ納得できねえよって人たちも居るわけで まあ実際に被害を受けた側に立って見たら納得できるはずないわな
自分の大切なものを傷つけられたorやり直しのきかない時間を奪われたとして悪気はなかったもうしないって土下座されたら許すか?大切な物によっては例え死んでも許せないだろ 341レス中80レスが本文で草
めっちゃ盛り上がってんな 盛り上がってるって言っても毎回同じようなレスばっかなんだけどな ──講堂
せつ菜「ここで、もう一度栞子さんと戦う……」
せつ菜(今の私は、私個人の想いと、各部活が抱えた不満を持って、栞子さんと対峙していることになります)
せつ菜(あの時の私は言い返すこともできず、ただどうしようもなく……棒立ちしていただけでした)
せつ菜(そして今……もう一度リベンジの機会を与えられて……でも、私は未だ複雑な思いを抱えたままです)
せつ菜(誰かの大好きを否定する。それは確かに私の理想に相反するもの。でも──彼女が今まで受けてきた仕打ちを知って尚、私はまだ彼女を批判しようとしている……)
せつ菜(三船さんの力になりたい、とは一度考えました。そして彼女が同好会にやってきて……また不満が溢れてきて──)
せつ菜(そして、私個人だけでなく、様々な部活からもその不満を意見として抱えている……)
せつ菜(……私は……彼女に……) かすみ「せつ菜先輩!」タタタッ
せつ菜「かすみさん? どうしたのですか、そんなに急いで……?」
かすみ「あの。討論会についてなんですけど……」
せつ菜「ああ、そのことでしたか──かすみさんにまでご心配をかけてしまって、すみません……いいえ、心配してくれてありがとうございます」
かすみ「かすみんは……その。どうすればいいのか、良く分らないんです。確かにせつ菜先輩としお子が話し合って、それで仲直りできたならいいなって思ってたんです」
かすみ「でも。もっともっと広い視野で見れば、そもそもしお子がスクールアイドル……と言うよりも、興味のあることをするっていうのが認められない人が大勢居るって、かすみん、今ようやく……実感できたんです」
せつ菜「かすみさん……」
かすみ「せつ菜先輩は、今確かにしお子への不満を持つ人たちのダイベンシャ? になってますけど……もしそれを本当に、すべてぶつけてしまったら……しお子は……」
せつ菜「そうですね……スクールアイドルを続けることは難しいかもしれません」
かすみ「……かすみん、わからないんです。本当は討論会なんてすべきじゃないのかもって、思ってきて……」
せつ菜「……こればかりは、とても難しい問題です。栞子さんのやってきたこと。私の想い。周りの想い。いじめが起きてしまったこと」
せつ菜「すべてが絡んで起きていることなんです」 かすみ「……せつ菜先輩……」
せつ菜「栞子さんには、私、複雑な思いでいっぱいです。かすみさん、貴女はどうですか? 栞子さんのすべてを、許せていますか?」
かすみ「かすみんは……最初はやっぱりむかつきました。納得できなかったし、意地悪な奴って思いましたもん」
かすみ「でも……今は。今は……しお子と一緒にご飯食べたり、遊んだり、練習を頑張ってるうちに……友達だって、思えるようになりました」
せつ菜「……そうですよね。かすみさんは……そういう優しい人です。でも私は──駄目なんです」
かすみ「かすみんが優しいとかせつ菜先輩が優しくないとか、そういう話じゃないんですよ! そう思っても仕方ないですよ! だってせつ菜先輩は、かすみんよりずっとひどい目に……あ……」
せつ菜「ありがとう、かすみさん。明日、私はここに中川菜々として立って、生徒会長と討論する予定です」シュル パサッ
かすみ「せつ……菜々先輩」
菜々「優木せつ菜が受けた悲しみ。各部の──部員が受けた苦しみ。優木せつ菜が掲げてきた理想と真逆の行いをする彼女に。私は代弁者として、明日、ここに立ちます」
菜々「各部の方が私を信頼してくれたから──私が代弁者になることを認めてくれたのです。これは私だけの問題ではありません」
菜々「かすみさん。私は……徹底的に、彼女と戦います。皆の大好きを否定しない世界。優木せつ菜がその信念を掲げる以上、ここは曲げられないのです」
かすみ「菜々せんぱい……」ウルッ
菜々「……そうでなければ。優木せつ菜も、転部させられて悲しい思いをした人も、浮かばれません。──中須かすみ部長」
かすみ「……」
菜々「もし彼女が──……」
かすみ「……」グスッ 菜々「優しいですね、かすみさんは」
かすみ「うぅ……ほんとはせつ菜先輩の味方です、ってすぐ言わなきゃいけないのに……かすみん……しお子の事も、もう、ぐちゃぐちゃで……」
菜々「かすみさんまで、巻き込んでしまってすみません。いつも笑顔で居てほしい貴女にまでこんな気持ちにさせてしまって──」
かすみ「……ひっく、ひっぐ……」
菜々「かすみさん、どうか見守っていてください。貴女の理想の形にならなかったとしても……私と栞子さんが行きつく果てを、確かめてください」
──────
愛「しおってぃー」
栞子「愛さん。どうしましたか?」
愛「しおってぃーは──良いの?」
栞子「……討論会のこととして、聞きますね? それについても……はい。私の過去を見える形で清算するには、この手しかないと思います」
愛「愛さんはさ、しおってぃーを同好会に誘わなかったのは……こうなるんじゃないかっていう想いがあったんだ」
栞子「……愛さん」
愛「しおってぃーがもし自分の心に従って、同好会に入ったら……アタシたちはともかく、今まで不満を抱えていた子たちが黙ってないって、思ってたんだ」
愛「しおってぃーはそれを承知していたかどうかも、愛さんは確かめなかった。しおってぃーの過去の行いはともかく、愛さんはそれを否定も肯定もできなかったんだ」
栞子「……気遣ってくださったのですね」
愛「そう言えば聞こえはいいけどね。結局でも、せっつーともう一度やりあうことになるまで、アタシは何もできなかった」
栞子「……私は、スクールアイドル同好会の会員以前に、生徒会長です。私の行いが納得できず、私もその不満を抑え込めなければ──しかるべき形で責任を取ります」
愛「しおってぃー」 栞子「……私は──優木さんに、現実を叩きつけてもらいます」
愛「しおってぃーはでも、もう散々に辛い思いを──」
栞子「それはそれ、なんです。私が虐めを受けていたことは現実です。ですが──それは個人的な感情で巻き起こった、一つの小さな事件です」
栞子「私がやってきたことへの清算は、何一つできていないんです」
愛「……」
栞子「愛さん、見守っていてくれますか?」
愛「……ごめんね、しおってぃー。それしかできないんだよ、愛さん。せっつーの想いも、悲しい思いをした子たちの気持ちも、わかるんだ」
愛「……だから、ここから先は……愛さん、一緒に居られないんだ。辛い時、悲しい時に、隣にいるって決めたのに──結局は……」
栞子「良いんです。これは私が生徒会長として立つべき事案。そこに……『友達』を巻き込むことはできません」
愛「! とも……だち……」
栞子「そうです。私と……愛さんは……『友達』……ですから」
愛「うん、うんっ。愛さんとしおってぃーは『友達』だ。だから……いつでも、アタシの胸を貸すよ!」
栞子(いいえ。貴女と私は友達ですから。その胸に飛び込んでいいのは──彼女だけです)
栞子「はい。その時は──飛び込ませてもらいますね」
栞子(きっとうまく笑えた──と私は、思った。愛さんも笑顔で返してくれたから) ──夜 遊歩道
果林「彼方」
彼方「果林ちゃん、やっほー」
果林「悪いわね、呼び出しちゃって。はい、これ」ポイッ
彼方「お、さんきゅうさんきゅう。果林ちゃんこそ。寮は大丈夫?」パシッ
果林「窓からエマの部屋に入る予定よ」
彼方「やれやれだぜ……」
果林「……ねえ彼方、明日の事だけど……」
彼方「明日のことは明日案じよ」
果林「……冷たいじゃない」
彼方「冷徹なのは、果林ちゃんもだぞ〜?」
果林「……そうね。いったい何人の子が気付いてるのかしら」
彼方「愛ちゃんと栞子ちゃんと……せつ菜ちゃんは気付いているかもねぇ」
果林「……でも、私達は……こういうことになると知って、流れに身を任せたのよ」 彼方「彼方ちゃん達、侑ちゃんが提案した『喧嘩』っていうのに、否定気味だったもんね」
果林「……虐めの問題も同時に起きていた以上、こういう状況になるんじゃないかって……想像出来ちゃったのよ」
彼方「でも強く否定はできなかった。だって、せつ菜ちゃんの事を考えても、他の部活の皆が持つ不満を考えても──虐めは否定できても……不満そのものは、否定できない」
果林「私も、貴女も、栞子ちゃんに対し、少なからずネガティブな感情を抱いたことは間違いない。それがある以上……」
彼方「結局彼方ちゃん達は明日栞子ちゃんがどうなるか分かった上で……見捨てたんだもんね」
果林「……愛が最後の最後まで侑の行動に同行しなかったのは──結末が見えていたからでしょうね。最後の最後まで、止めようとしていた態度だったもの」
彼方「他の子たちはきっと分かり合えるって信じていたんだねぇ。あの子たちは、本当に良い子だから」
果林「エマも……こんな結末になるなんて、思いもよらなかったでしょうね」
彼方「残酷だねぇ、彼方ちゃん達は。結局栞子ちゃんに良い顔しながら、最後の最後で見捨てたんだから」
果林「──そうね。後顧の憂いを断つ──栞子ちゃんがこれ以上非難されないようにする……」
彼方「そのためには、皆が見える形で、納得できる形で、栞子ちゃんは、罰を受けなくちゃならない」
果林「……」
彼方「大衆の前で手酷く批判を受けて、見える形で罰を受けて──留飲を下げて……それで、解決」 果林「……」
彼方「地獄だね。彼方ちゃん達はきっと地獄行き。こうなると、分かった上で、彼方ちゃん達は」
果林「……そうね。地獄行きね。私達は結局あの子に何もしてあげられなかった」
──虹ヶ咲学園 寮付近
彼方「──ここまでくれば、後は大丈夫?」
果林「ええ。でも彼方──帰り道は、大丈夫? もうかなり暗いけど」
彼方「ん〜? その点は大丈夫。彼方ちゃんにはとってもつよーいボディガードがいるから」
果林「……それ、貴女がずっと弓道場で昼寝していることと、関係ある?」
彼方「……ノーコメント、だぜ」
果林「そう。──じゃあ、また明日」ヒラヒラ
彼方「また明日〜」ヒラヒラ 彼方「ふぅ……」テクテク
「終わりましたか、彼方」サッ
彼方「うん、ごめんねぇ、夜遅くまでこっちに呼び出しちゃって」
「いいえ、大丈夫です。ここから神田はそう遠くありませんし、彼方を一人にする方が心配です」
彼方「ふへへ……照れちゃうなぁ」
「……彼方。後悔していますか」
彼方「……何のことかな?」
「栞子の事です。生徒会長であること、同好会に所属し続けること、すべての行いに清算をつけること。その三つを、同時に解決できなかったこと」
彼方「……彼方ちゃんは最初からそんなこと望んでないよ? ただ、容認できない事は容認できない、妥当であれば、そこに落ち着かせる……それだけサ」
「……そうですか。それならば、私は何も言う事はありません。さあ、駐禁を取られる前に車を動かしましょう」
彼方「おっ、クルマクルマ〜」
「貴女の好きなお菓子も置いてますよ」
彼方「あのお饅頭が好きなのは、そちらの方では〜?」
「そうですか。では私が全部戴きます」スタスタ
彼方「あぁ〜、嘘だよぉ〜!」タタタタ ──討論会当日 講堂
「大勢の方が集まっていますね、中川さん」
栞子さんが、無表情に呟きました。彼女がここで口を開くとは思ってなくて、私はハッと顔を上げます。
「そうですね、栞子さん」
彼女の瞳には怯えは見えなかった。たった一人、味方もなくこれからあの舞台で立って戦うというのに。彼女は堂々としていた。
「栞子さん、今度は……全力で行きます」
「……はい。よろしくお願いいたします。全力で……全力で、よろしくお願いしますね」
私は深呼吸をして、舞台袖から歩き出した。
「中川さんっ……」
「副会長、行ってきますね」
舞台袖で待機している副会長に微笑んで──私は、舞台へ上がりました。
ざわりと変わる空気。私は所定の席に座り──彼女が上がってくるのを待ちます。 罪を裁かれる前というのは──こういう面持ちなのでしょうか。私は深呼吸をして、改めて胸中を覗き込みます。
今後の事を想うと、少し心に影は注しますが──今まで私が選択してきたすべての事が、今私に降りかかろうとしているだけ。
様々なことをしてきた──たくさんのものを失ったし、でも同時に、得られたものもあった。
それらを含めて、やってみないと分からないことで──やってみたから、分かる事、得られることは、沢山ありました。
間違いだらけの私の道でした。けれど──確かに正しいと本気で得られるものもありました。
そしてそれらを差し引いて、最後の最後に、あの場所で──私は、裁かれる。
大丈夫。私はもう一人じゃない。この舞台を降りた時──私の高校生活は、もう一度始まるんだ。
「副会長」
「……はい」
「これからも、こんな私ではありますが、よろしくお願いいたします」
「……三船会長。頑張って来てください」
──行こう。あの場所へ。 ──屋上
璃奈「愛さん──……行かなくていいの?」
愛「りなりー。うん……そうだね。今日は、講堂には行かないよ」
璃奈「……愛さん、栞子ちゃんは……」
愛「りなりーも気づいたんだね」
璃奈「……うん。愛さんがどうして同好会に誘わなかったのか……考えたら、良く分かった」
愛「そっか。まあ……最終的には……同好会を辞めざるを得ない状況になるって、分かってたから」
璃奈「……」
愛「人の──大衆の心は、理屈じゃ絶対に動かせない。愛さんはあれ以上しおってぃーへのヘイトを貯めたくなかったんだ。でも、しおってぃーは動いた」
愛「愛さんの言葉に従って、とても素直に動いたんだ。憎んでいたスクールアイドルを知るために、同好会に入った」
璃奈「……」
愛「愛さんと出会った時点で虐めが始まっていた以上、それは尚更だったんだ。愛さんが実際にやってみないとわからない……そう教えてしまった以上、こうなるのは……当然だったんだ」
璃奈「……」
愛「しおってぃーはきっともう、同好会には居られない。例えせっつーとしおってぃーが仲直りしたとしても──もう、状況が『形のない皆』がそれを許さないんだよ」 愛「それはもう、愛さんにはどうしようもない。だって……そうならないように、こういう状況にならないように、同好会に誘わなかったんだから」
璃奈「……愛さん」
愛「……愛さんはさ。しおってぃーの為に出来ることはしたつもりだよ。そして、しおってぃーは愛さんと関わることで知ったことを、忠実に実行した」
愛「……結局、誰でもない。愛さんがしおってぃーにとどめを刺す形になっちゃったんだよ」
愛「……もし。もし……またしおってぃーが何かの形でスクールアイドルに関わる事があったら……愛さんは、今度こそ、味方で居てあげたい」
璃奈「愛さん……」
愛「……今日は、もう少し、ここに居ようと思う。りなりーも、一緒に居てくれる?」
璃奈「うん、居るよ。愛さんがもし、栞子ちゃんの味方で居るために同好会と対立する立場に立つとしても──私は、隣にいる」
愛「……へへ、スクールアイドル同好会は一つしかないんだから、対立することなんてないよ」
璃奈「物の例え。それくらいの気持ちで、私は愛さんの隣に居るから」
愛「……ありがとう、りなりー」 ──翌日 スクールアイドル同好会
しおってぃーは、淡々と自分の私物を片付けていく。元々ものを持ち込まない子だったから、あっという間にここを去る準備はできてしまった。
「それでは、中須さん、これを受け取っていただけますか」
「……」
しおってぃーが差し出したのは、退部届と書かれた封筒だった。結局……昨日の討論会で、しおってぃーは一切の弁明をしなかったようだ。
せっつーの鋭い問いに、しおってぃーも同じように熱弁を振るった。しおってぃーが望んだ世界。理念。信じた理想。そしてそれらは人の好きを踏みにじるものだったと。
そこまで、しおってぃーは述べ切った。せっつーは各部の不満を体裁よく整えた意見として、しおってぃーにぶつけた。
そしてせっつー自身もまた、優木せつ菜として受けた痛みをあの場で訴えた。彼女の大好きを否定し、貴女は自分の好きに従うのかと。
せっつーにとっても苦しく苦い発言だったのかもしれない。大好きを認めなくてはいけないせっつーが、大好きを否定せざるを得ない状況に。
……結局行きつくところに行きついた。せっつー自身も、あの場に立つ前から、分かっていたんだと思う。
せっつーは、完膚なきまでに……しおってぃーを叩きのめした。最初から観衆を味方につけた状態で、せっつーに負けなんてあり得なかった。
いや。もし……愛さんがしおってぃーと出会っていなければ、しおってぃーはもう一度、せっつーと互角に弁で鍔迫り合いをしたかもしれない。
「栞子ちゃん、私は……今でも、ここに居てほしいと思ってる……よ」
差し出された退部届を見ようともしないかすみんに代わり、声をあげた。カリンとカナちゃんは、ただじっとしおってぃーを見つめていた。 「ありがとうございます。ですが……昨日、せつ菜さんとの話の中で、決めたことですから」
しおってぃーは柔らかく微笑んだ。せっつーもしおってぃーを真っ直ぐ見据える。
昨日散々言葉を交わしあい、二人の間には友情──というよりも、幾多の戦場で何度も刃を躱しあった戦場の友……と言うべきような雰囲気が流れていた。
「そうですね。私と、貴女で、決めたことです」
昨日、あの討論会の後──しおってぃーが同好会を退部することで、一つの決着を迎えた後、せっつーは歩夢に肩を抱かれて舞台を降りたらしい。
生徒会長も降りろとヤジが飛んだらしいが、せっつーがそれを制した。選ばれたのはしおってぃーであり、しおってぃーを降ろす為なら私は再立候補はしない、と断言した。
せっつーにとって、理解して覚悟した上でも──苦しい事だったのだろうか。歩夢は逆に、せっつーの苦悩をとてもよく分っていた。
「侑さん、代わりに受け取ってくださいますか?」
しおってぃーは、退部届をゆうゆに差し出す。ゆうゆは一度しおってぃーを見て、かすみんを見て──退部届に手を伸ばした。
「待ってください。かすみんが──かすみんが、受け取ります」
俯いていたかすみんが、涙目でしおってぃーを睨む。
「そうですか。それでは……中須さん、どうぞこれを──」
「でも! 受け取りには──一つ、条件があります」
「条件……?」
「かすみんのこと、名前で呼ぶこと──ううん、スクールアイドル同好会のメンバーの事全員、名前で呼ぶこと」 「! ……良いのですか?」
かすみんの言わんとするところを、しおってぃーも理解したようで。
「良いも悪いも、同好会のメンバーじゃなくたって。かすみんたちは──友達です」
ぼろぼろと泣き出すかすみん。
「……ありがとうございます。かすみさん。それではこれを──」
差し出された退部届をひったくって、かすみんはしおってぃーを抱きしめた。
苦い思いが、去来する。
これが最適解なんだろうか。過去の行いを清算して、これ以上しおってぃーが辛い目に遭わないようにするために──その選んだ果てが、同好会を抜けること。
涙をこぼすかすみんの嗚咽だけが部室を占める。
「……エマさん。彼方さん。果林さん。歩夢さん。せつ菜さん。侑さん。しずくさん。かすみさん。璃奈さん。愛さん。短い間でしたが──お世話になりました」
「栞子ちゃん」
カリンが踵を返そうとしたしおってぃーに声をかけた。
「……いつか──同じ舞台で、踊りましょう」
「……はい」
それを残酷だとは思わなかった。カリンの言葉は、あくまで願望で──切望だった。
しおってぃーは最後に微笑んで、部室を去っていった。そして、それきり、彼女がこの部室に来ることは、なかった。 ──後日 カラオケボックス
「はい、一人です。一時間でいいです。機種は何でも構いません」
その週の土曜日。私は携帯電話と財布をポケットに入れて、近所のカラオケボックスにやってきました。
独りでは入るどころか、近づくことすらなかったカラオケボックス。
「はい、ありがとうございます」
ビニール袋に入ったウェットティッシュと空のグラスが入った小さなかごを受け取って、私は指定された部屋へ行きます。
「……ふぅ」
狭い部屋に一人ぽつんと立ち尽くす。テレビから騒がしい音が聞こえてきます。
「っと」
ソファに座って、タブレットに触れます。最初に歌おうと考えていた曲をひとつ、選びました。
「え……と……」
ぽちぽちと四文字のタイトルを入力すると、予測にはもうその曲が出てきていて。
私はぽちりとその欄を叩きます。
いつか愛さんが歌っていた、あの軽快で特徴的なイントロ──。
(……ご照覧……いえ、ご笑覧あれ──!)
私は出だしから──調子っぱずれに、大きな声で、その曲を歌った。 「……?」
歌い終えて、スマホにひとつ着信が入っていました。なんだろう、と思い開いてみると愛さんからでした。
愛:今暇? 暇ならカラオケ行こうぜ!
愛:写真
写真には、果林さんと、璃奈さんと侑さんと歩夢さんと──せつ菜さんと愛さんが映った写真。
テレビは未だに賑やかに虚しく音声をたれ流している。
部屋は薄暗く、注いだジュースもわざとらしく甘い。
でも──。
「──もしもし、愛さんですか? 今私、もうカラオケボックスに──」
数十分後、ここは賑やかになることを私は知っている。
私は本当に色々なことをした。それは災いとなって私に降り注いだけれど──同時に。
それ以上に得難いものも得られた。その得難いものの中には、ちくりと刺さるトゲもあるけれど──でも、大丈夫。
私もきっと、璃奈さんのように、愛さんの幸せを第一に考えられるようになれば──良い思い出だって、笑える日が来る。
ばぁんと、小さな部屋の扉が開いた。
あの時と同じ。ノックなんてない。一人きりの私の空間を、ぶち破ってやってくる人。
「しおってぃー!」 金色の光。太陽みたいにきらきらな人。あの輝きに、私は救われていく。
蜂蜜色の瞳から放たれる強い光の奔流に、私は呑み込まれる。ああ、この人は。私を、私が欲しい言葉を、惜しげもなく投げかけてくれる。
「一緒に遊ぼうぜっ」
今度は独りでソファから立ち上がる。扉を開けるのに、ノックなんて要らない。
「はいっ──遊びましょう!」
光り輝く彼女の元へと飛び出す。薄暗い部屋を飛び出して──私は、今度こそ、間違えたりはしない。
私も、誰かに光を与えられる存在になるために。私自身が、光を放つために。
さあ、その決意をこの目に宿らせて。ここからその光の輝きを、紡いでいきましょう。
愛「──お前か?」栞子「ぁ、ちが、違うんです、宮下さん」 完 完結おめでとうございます!!
描写が細すぎます
神SSでした
更新してくれて本当にありがとうございました おつおつ
原作が一部(エロ)除いてこっちだったならどれだけ納得できたことか
副会長が祀り上げられて再選挙って事態にはならなかったんだな 乙、最高のssだった!
もし過去作があったら教えて欲しいな おつ!
1ヶ月ぐらいホントに楽しませてもらった
言葉にならないほどの神SSでした 良いSSだった乙
せつ菜推しのヘイトの原因は討論会だろうからそこに踏み込むのはやむなしか
単なるやり返しにせず他生徒からの支援をつけるパワーバランスが絶妙だったなと
最終的に前向きな終わりかただったのは救い
終わるまでは触れないようにしてたけど
かつて良いようよし書いてくれた人だと絵で気づいたよ ラブライブ!じゃなかったらどこかの公式物語に出来そうな程だわ 切ないな......
愛は最後まで栞子の真の想いに気付かずじまいか......
とにかくお疲れ様でした 乙
全キャラ描写が凄く丁寧で滅茶苦茶引き込まれた。これ読むのがここ最近の楽しみでした! 正直このSSを読んだのを後悔してるかな
読んだ自分が悪いんだけど ついに完結したか
乙乙
胃袋キリキリするのについ読んでしまう引き込まれる作品だった そばかすの歌詞からちょっと引用した感じか
お疲れ様でした
楽しませてもらいました 内容が良いのは勿論だけど久しぶりにりなあいを見たような気がする
最近りなあいがめっきり減ったからなぁ 結局、栞子に嫌な思いさせてばっかりだったな
一縷の望みを持たせておきながら愛への想いは全く報われず、部活は辞めさせられて、挙句に残った会長職も不満を持つものが少なからず潜んでる
体裁よくまとめたつもりかもしれんけど、イジメSSみたいなもんだろ
せつ菜推しと栞子アンチが喜ぶだけじゃん こんだけメンタルゴリゴリ削られるSSも珍しいわ
すげーもん見させてもらった 会長職も降りろなんて声が出てて反発されたりで思い描いてた理想の学生を〜達成なんてそれこそもはや無理に近いんだし、それなら会長職に固執しないで辞めて好きに同好会やれば良いのに、とは思うけどな
そこで二択になったなら針の筵な感じで会長続けるより同好会選べよと 降りるには政治と違って更迭だけじゃなく、誰か祀り上げて再選挙しないといけないからな
それに生徒会長をやりたがる人は学生には多くないと思うし
正直、降りるのは簡単じゃない 栞子好きとしては気分が悪い
どうせ最後は救いがないんだろうと途中からリアルタイムで追うのは断念したけど、案の定だよ
こんなの手の込んだ嫌がらせや殆どいじめ虐待SSに近いわ まあ良くも悪くもあれこれをガッツリ描写すると読む側はダメージ受けるから
公式みたいになあなあで済ませておくってのは案外最適解かもしれんなと 愛さん→ただの友達で恋愛としては歯牙にも掛けられず
スクールアイドル同好会→半ば強制的に辞めさせられる
生徒会長→最終的には反対勢力や反発多くてごく一部の人に支えられてるだけ
一学生として→イジメに遭った上に嵌められる、同好会メンバー以外は友人ほぼ0の描写
ここまで栞子という1人のキャラを貶めるのもたいしたもんだよ
せつ菜好きは、さぞ大歓喜なSSだったんじゃないか? 甘えんなよ栞子推し
公式でボロクソにやられた奴もいるのに二次創作で発狂してんじゃねーよ 青春はこれからも続くんだしこのほろ苦さは好き
同好会って箱には入れなくても人と人の絆は切れないんだし 完結乙
さすがに生徒会長が任期途中で2回も変わったら歴史に残りそうw 最初の最初からずっと追わせて貰ってた
完結おめでとうとありがとう!
すげえもん見ちゃった気分だ! このSSを通して何がしたかったの?
栞子の良さを分かっていこうとする訳でもないし、それまでの言動を振り返ればこういう報いを受けて当然って言いたいのかな?
>>1は栞子に存在ごと虹ヶ咲からいなくなって然るべきって気持ちなの?
どのような意味でしょうか! 乙
栞子はやっぱ報いを受けてから関係をやり直すべきだと感じた 栞子は同好会メンバーには理解されて友人になれたんだからだいぶ恵まれてると思うぞ
自分の未熟さから権力で当人の意思を無視して転部させた←これリアルで考えるとドン引きだから 栞子が当人の適性を教授、示唆(例として部活など)
↓
本人それに乗り気でやる
↓
本人がやっぱり元々やってた方に戻る
↓
栞子が適性を重視した方が良いと何度も説得
↓
折り合わず
じゃなかった?
権力で当人の意思を完全無視で強制転部ではなかったと思うが 人が好きなことやるの適性とか言って否定しておいて、自分は好きなことやるのかよってのに落とし前つけるには同好会辞めるのは仕方ないか…ただ同好会メンバーとの絆は消えないからね
ハッピーエンドではないけど決してバッドエンドでもない おつおつ
そして祝完結!
めちゃくちゃ心情描写が上手くてワクワクしたり胃がキリキリしたり、とにかく更新が楽しみなSSだった
報告の時のイラストもめっちゃ可愛かったし、全体的に最高だった
バッドエンドも覚悟してたけど、希望のある終わり方で安心した
素晴らしいSSをありがとう どうあっても、栞子の未熟な理想に大勢が振り回された、って事になるからな
最初のやらかしが大きすぎてどうあっても詰んでる状態
でもまあ、考え無しに当選させちゃった生徒たちが一番あかんと思うわ このSSの出だしも「適切な部に転部した人も、また夢を追うと言って元の部に戻ってしまったり」と書いてあり
別に本人の意思無視で生徒会側が部を決めるような事はしていない
ただ、のちに本人の意思完全無視の入部テストを絶対譲れない優先事項として導入しようとしてる人間のやる事だからな
本編でも言ってた通り「不満に思っても後で正しさを理解してくれる筈」という考えなんで強い圧で「説得」し続け相手が参って折れただけの場合も普通にあると思える
これのリンコとかはそういう話だと思う このSIMもんじゃが荒らし続ける限り学級会は続くのだろう…… 読み終わった、こんな大作を見事に書き終えるなんてほんと凄い。もっかい最初から読み直したくなるね これはむしろ栞子救済のストーリーだと思ってるんだけど違うのか 良くも悪くも読者の感情を揺れ動かす話だったと言う事で
俺はssの更新が待ち遠しくなるくらい楽しめたよ
大作をありがとう 良くも悪くも読者の感情を揺れ動かす話だったと言う事で
俺はssの更新が待ち遠しくなるくらい楽しめたよ
大作をありがとう 海未ちゃんのSS読んだ覚えがある
歴戦の書き手ですな このビターな感じたまりませんね……
欲を言えば愛さんにはしおってぃーの想いを知ってほしかったけどそれやっちゃうともう友達にすら戻れなさそうだからさすがに無理だよね……
とにかく大作完結おつです!!!!!一ヶ月に渡って楽しませていただきました!!!!! 清濁併せて読み応えあった
強いていえば終始トリックスター気取りの3年組のキャラがキモかったくらい これ見て栞子好きになるやつは少数かもしれんがこれ見て栞子嫌いじゃなくなるやつは一定数いそう これ見て栞子嫌いじゃなくなるようなやつはそもそもメインストーリーの時点で栞子も雨野の被害者だってことで好かないまでも嫌いではないんじゃないの
所詮二次創作は二次創作だから これ同好会メンバーと友達になったとなんて言えるか?
彼方も言ってるけど結局見捨てられて同好会辞めさせられてるじゃねえか 栞子やらかしすぎたんだなぁって思った
栞子のあの所業で公式みたいに生徒会も同好会もってやろうとすると公式みたいにガバガバにせざるを得ないんだろうな 筆舌しがたいほど素晴らしいSSだった
毎日の更新が楽しかったし、量も質も全く申し分なくいつも楽しませてもらったよ
栞子がやったことはやったこととして、どういう風に清算すべきなのかのifとしては完璧に近い出来だと思う
唯一苦言を呈するなら読後感台無しの連中よな… 継続的にいじめてた連中、ハメようとした連中、討論会で部活を辞めることを伝えた上でなお生徒会長まで降りろと叫んだ連中は何もお咎めなしなの? せつ菜ちゃん推しだがいもん見せてもらったと思う。
少なくとも自分の中のせつ菜ちゃんはめちゃくちゃなストーリーを否定せず強く行動できる……なんていうかブラック企業の社員みたいなマインドに近かった。なんでもプラスに考えるっていう感じか。でも歩夢ちゃんへの独白のシーンで等身大に感じられた。栞子ちゃんが同好会を辞めてしまい、事実とは異なってしまうけれどこれも一つの道だと思う。ファンの数だけ結末が異なるキャラってのも珍しいけどね。同時に誰もが納得する未来なんてのは永久に訪れないんだろうなと実感したわ。
兎にも角にもお疲れ様でした。目が覚めるようなSSでした。次回も楽しみにしています。 良いssとは言えんかな…
これで満足する人がいるならいいけど 満足する人がいるならいいけどっていうか
絶賛されてるのが気に食わないんだよね… 然るべき手順を踏んで他人の部活を変えさせてきた栞子の行いが自分に返ってきただけのことよ
同好会が庇い立てできるのだって自分たちは部活辞めさせられてないからでしょ
唯一実際生徒会長降ろしという明確なマイナスを受けたせつ菜は納得し切れてないし 絶賛されているのが気に食わないとな斬新な意見だな
さっさと失せろ >>439
同好会別に庇ってなくね
むしろ討論会の場を作ったのが侑たちだし むしろ栞子を救うための討議会でもあるんだし
同好会としては批判の声がなければ辞めさせてなかっただろうこともわかるでしょ 批判の声があってもせつ菜という直接の被害者さえいなければ栞子を庇い続けた気がしないでもない
せつ菜以外の同好会の面々は、「まあ栞子ちゃんに批判的な意見も出るよね〜」くらいの立場に見える よくあるなろう系の話だったな
主人公側を絶対としてそれに対してのお馬鹿悪役
そして主人公サイドSUGEEEEE
結果ありきのストーリー構成
下手なエロ描写に迫真の虐め描写なんてまさになろう系小説そのものだった
でも暇潰しにはなったよお疲れ これで栞子の存在がいかに歪で虹ヶ咲にとって足手纏いである事がわかっただろう
さっさとランジュ引き連れて消えろブス 同好会メンバー達は栞子に良い顔しつつも裏では「もうあいつはどうなっても知らん、どうせやめることになる。」とスーパードライだし、生徒会メンバーも結局新生徒会長を受け入れてなさそうな雰囲気で皆やってることほぼいじめみたいなもんで登場人物全員悪人アウトレイジって感じだ。
一回なにかをしでかした奴は罪を償っても一生許されることは無いって辺り大変日本的でリアルだとも言えるが。 めちゃ読み応えあったし面白かったわ
確かに今までのことを考えるとこうなるよなという感じやけど心理描写伏線の張り方レベルが高かったから引き込まれまくったわ
ありがとうございます!! この世界線の2ndシーズンでの栞子とDDはどうなるんだ…? 同好会には戻れないからランジュのお世話も兼ねて
部で活動するってのは理由付けにはなりそうだけどね
DDは罪悪感もあってしお子についてきてくれるんでしょう ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています